第83話 あの子は小悪魔
学校がめんどくさすぎる!
あ〜いい天気いい天気。
「あ…暑い、暑いぃ……ぶふぅ…ぶふふぅ」
あぁ………
あなたの全身からほとばしる汗…
その汗にまみれたあなたの肉体…
オーラのように湿気と熱気を帯びた肉体…
なんて愛らしい…
愛おしい…
暑苦しい…
「ぶぶふっ……ふうふう…ぶふふふふぅ…うぅ…暑いよぅ」
息をするだけで苦しそうなあなた…
暑苦しい…
「さっきから僕の後ろで何いってるんだよ!?」
肉木が俺のほうを振り返った。
「僕が言ってるみたいにしないでよ!僕はそんなに気持ち悪い息遣いしない!」
怒られちゃった。
「ブヒィ!ブヒッブヒ!?」
「まだ続ける!?しかも遂にブヒって言った!?遂に豚!?ヒドイ!」
「だって体動かしてるわけじゃないのにそんなに汗かいてる肉木が可愛かったんだもん」
「何だよその理由!」
「肉木は可愛いぞ?自分で自分の魅力に気付いてないんだよ。小悪魔系?無意識に皆の心を奪っていくって言うの?」
「知らないよそんなの!」
「なぁ皆、肉木の可愛いとこ言っていこうぜ」
俺はクラスの皆に提案した。
「やめてよ!」
題して
『小悪魔nikugi〜夏の視線を独り占め!〜』
スタート!
「肉木と言えばやっぱその豊満な肉体だよな。肉木が肉木たる所以だな」
こう言ったのは高橋。
「やっぱそうだよな」
「言うなれば肉木のアイデンティティそのものだもん」
「僕の存在理由それ!?」
「表現するならジューシーって言葉が一番しっくりくるな。さすが肉木だぜ、食べ物以外でジューシーなんて言葉使わせるなんて………可愛いよ」
「やめてよ!」
「肉木って頑張りやさんだよな。というか我慢強い」
こう言ったのは水野。
はて?その心は?
「今日はこんなにも暑いのにその脂肪と言う名のダウンジャケットを着続けのは凄いぜ。俺だったらすぐ脱いじゃうな」
「僕の脂肪は装備品じゃない!これは何年も時間をかけて身に纏ったものなの!簡単に着脱ができると思わないで!」
「………可愛いよ肉木」
「やめてよ!」
「食べ物に対する想いの強さが常軌を逸してるよな。特に肉に対する執着心は究極だもん」
加藤が言った。
その通りだな。
「………その通りだから何も言えない…お肉好きだもん………」
「『おかわり』って台詞を言わせたら日本一だな。やっぱり可愛いぜ………母性本能くすぐられまくりだ」
「やめてよ!加藤くんに母性があったらおかしいでしょ!」
「可愛すぎる………
『お腹が空いたブー』
『ぜーんぶマヨネーズかけて食べちゃったブー』
『カレーが飲みたいブー』
『チョコレートになっちゃえ』
って言ってくれ」
「いやだよ!しかも最後のは魔神ブウじゃないか!」
「カービーに似てるよね」
島さん参戦!
「容姿もよく食べるところも………もう存在自体がどこと無くカービーだよね」
「やめてよ!」
「でも私、スマブラではワリオ使いなんだ…ごめんね」
「知らないよそんなこと!」
島さんワリオ使うんだ…
「ビスケット・オリバの彼女?」
武さん参戦!
「マリアに似てる!」
町田参戦!
「誰だよ!?」
ビスケット・オリバの彼女…マリアとはバキに出てくるキャラクター。
超絶デブ。キングサイズのベッドと同じ大きさ。
「マリアより重ちーの方が似てるだろ!」
高橋再参戦!
「「誰よ!?」」
武さんも町田もジョジョは読んでないんだな。
重ちーとはジョジョ四部のキャラクター。
デブ。スタンド『ハーヴェスト』が強すぎるデブ。
「否定できない…」
肉木は誰だかわかったようだ。
てかバキとかジョジョのキャラよりもっと有名なデブキャラいるだろ!
ドラえもんのジャイアンとかコナンのゲン太君とかいっぱいいるだろ!?
「発汗がいいよね」
山崎さん参戦!
「新陳代謝がいいのは良いことだよ」
山崎さん、フツーに褒めてる…
まぁ、山崎さんの口から人を馬鹿にする言葉なんて聞きたくないからいいけどね。
「冷し中華とかソウメン食ってても汗かきそうだもんな」
でも俺は言う。
「山崎さんに新陳代謝って早口で何回も言ってもらいたいんだけどどうですか?」
加藤が小声で話しかけてきた。
何でだ?
「………っておい!いいわけねーだろ!何考えてんだよ!」
「じゃあゆっくり、し・ん・ち・ん・代謝って言ってもらうのはダメかい?」
「ダメに決まってるだろうが!」
肉木メインの話なのにオチがこれかよ………
作者も昔はデブでした。デブの気持ちはよくわかります。豚と呼ばれると傷付きます。気をつけてね。『おいデブ!』とか傷付きます。気をつけてね。………現在作者はダイエットで入った部活で痩せました。