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第79話 抗った先に見えるもの

一段とくだらない話。

「さて、君達に問おう。学校の行事といえば何がある?」


ロングホームルームの時間はこの問いから始まった。



「一人一つ言ってもらう。答えが被った生徒または言えない生徒には罰として家に大量のアスベストを送ります」


スガさんは馬鹿か!?

罰ゲームの域超えてるって!

死ぬって!

懐かしいぜアスベスト!

10年経って死ぬって!


しかも無茶だろ!

30人いるんだぞ!そんなに行事なんてねぇだろ!


「あっ、やっぱアスベストはさすがに酷いので罰は………いけない、何も思い付きませんね。加藤が決めて下さい」


何で加藤なんだよ!

その人選だけはしちゃダメだ!

アスベストでいいから!


「頼みましたよ加藤。お前には期待しているから」


チクショウ!

スガさんは加藤がどんな奴かわかった上で頼みやがった!


「わかりました………先生のご希望にそえるよう頑張りたいと思います」


やる気になるんじゃねぇ加藤!

チクショウ!


「ケケケケケケ…」


怖ぇよ加藤!


「男はプライドを、女は貞操を守りたかったら死ぬ気で行事を答えろや!ケケケ」


何する気だよ加藤!?

特に女子にやっちゃいけない事をしようとしてないか!?


修羅場はこの一言で始まった。


こんなの先に言わないと後から苦しくなるだけだ。

でも発言は挙手制。

しかも何故か指名するのは加藤。


「安心しろ。俺はフェアな男だ」


どーゆーことだよ!


加藤は男子はそれなりに平等に当てていった。

俺も序盤に当てられ

『球技大会』

と答えた。

それで安心していたのだがやはり加藤は加藤だった。


さすか加藤と言うべきか、女子を綺麗どころばっかり残して当てていくんだよ。

マジで女子に何するつもりだよ!?


その中に山崎さんが残ってるんだよ!

山崎さんの貞操に危機が迫ってるんだよ!

ちっちゃい体で一生懸命手挙げてる山崎さんに目もくれずに男とブス女ばっかり当てやがってチクショウ!


コイツはホントに腐ってやがる!


他にも島さんとか武さんとかも残ってるけどそんな奴ら関係ないね!

可哀相だけど君達は山崎さんの代わりに加藤に犯されてくれ。山崎さんが無事ならなんでもいいから!

てかスガさんも加藤がレイプを仄めかすような発言してるのに何で止めないの!?

いや、さすがの加藤でもレイプとまではいかないか。でもセクハラだったら平気でやりそうだ。


そんなのゆるさねぇ!


島さんの乳揉んでいいから!

武さんの尻撫で回していいから!

山崎さんだけはダメだ!



「非難訓練?」


俺の願いが通じたのか山崎さんに当たった。

よかった!

でも非難訓練って…ナイスだぜ山崎さん!



その後………皆は頑張った。

終盤、戦いは熾烈を極めたが皆諦めなかった。

どんな絶望的な状況でも目が死んじゃいなかった。

抗った。必死で抗った。

挙手し続けた。

着実に残り人数を減らしていった。

すでにノルマが達成した者はまだ残ってる者の為に答えを考え続けた。そしてそれを教えた。

まだ残ってる者はこのデスゲームから抜けていく仲間を自分が大変なのに祝福した。


一人が皆の為に。

皆が一人の為に。


クラスは家族になった。

抽象的な意味…血の繋がりはない。

しかし本当の意味での『家族』

親友?

仲間?

家族だ。

俺はコイツらと家族になれて誇りに思う。



そして30の行事は出た。


最後に答えたのは武さんだった。

最後まで諦めずに頑張った武さんに俺達の家族は最大の祝福をした。


加藤は一体何をさせるつもりだったのだろうか。


「俺の為だけにスク水着て一日俺の世話をしてもらう」


それを聞いた瞬間武さんは青ざめ身体が震え出した。

加藤なら本当にやりかねん。“世話”というのは“下の世話”も入るのだろう。

でももう終わった。

もう怖がる必要なんてない。

よく頑張ったね。

皆、武さんを褒める。

怖がってる彼女を慰める。


「頭を撫でてほしい………」


ある方向を指差しそう言った。


「………増田くんに…」


なんて大胆なんだろう。

彼女はこんなにも積極的な女性ではなかったはずだ。

皮肉にもこのデスゲームが彼女を人間的に成長させたのだろうか。


それにしても相手は増田。

妹しか愛さないこの男が変わるいいきっかけになりそうだ。

妹以外で異性を好きになるかもしれない。

撫でてやれ。

俺は増田に言ってやった。

他の男子も増田の今後の事を想って送り出した。


増田のそーゆーことを知らない女子連中もキャーキャーと騒ぎ立てる。


「………」

増田は困った顔をしながら無言で武さんの頭を撫でた。


武さんは肩をすぼめて真っ赤になった。

それを見て皆笑った。





30の答えは次回に回そう。

今はこのほのぼのとした空気を楽しもう。


30も行事なんてねーよ!考えなくちゃ!何があるんだ!?

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