第72話 欲望の城
鬼束ちひろさんの歌を聞きながら書き上げました。是非読んでください！
「テメェ、自分の欲望を吐いてみろ」
どうも野田です。
加藤に急にこんなこと言われてア然！
欲望…だよな？
“こうだったらいいのにな”
って言うやつだよな。
「………山崎さんと結婚したい」
これだな。スゲー恥ずかしいけど。
「糞がッッ！」
何で！？
「どうせ欲望を“こうなったらいいな”って意味と捉えたんだろ？」
何でわかった！？
「糞が！欲望ってのは吐き気がするほど生々しいものだろうが！お前はそこまで落ちぶれてしまったのか。昔のお前はこんなんじゃなかった！もっと凶悪な男だった！お前の性欲は底無しだったじゃねえか！」
………俺、そんなだったか！？
「昔のお前に同じ質問をしたことがある。
『欲望吐いてみろよ』
『そうだな………女の子に全裸でダンスダンスレボリューションやらせたい！』
『気持ちいい程の変態だな。しかもダンレボか、懐かしいな。それは前から見るのか？』
『後ろからだ』
『何故？野田は尻より乳のほうが好きだろ？』
『乳の方が好きだ。でもこの場合は後ろの方が“燃え”る！俺が見てるってことを忘れるほど夢中でダンレボしてほしい。いや、俺が見てることをちゃんと意識しながらも恥ずかしがりながら完璧に踊ってほしいからか？………まあ、とにかく後ろから見たい！』
『なるほど。じゃあエアホッケーなんかも全裸でやらせたいだろ？』
『いいね〜。あと太鼓の達人とかシューティングゲームとかもな！』
『野田………夢が広がるぜ！』
『加藤！ゲーセンって天国だったんだな！』
昔のお前はこんなこと言ってたんだぞ」
「嘘つけぇええええ！」
やべ、言ったかもしれん。思い出してきたんだけど。
「俺は昔の野田に戻ってほしいんだよ。山崎さんとの結婚なんて………そんな夢のない話すんじゃねえよ！」
「夢あるだろ！最高に幸せだろうが！」
「聞いててつまんねぇんだよ。どうせまだキスもしたことないんだろ！？」
「………べつにいいじゃねえかよ！」
「そんなキスもできねえヘタレが結婚なんて言ってんじゃねえよ」
言うねぇ加藤。だったら俺も
「何をそんなに偉そうにして…内心ホッとしてんだろ？俺がまだ初チューしてないこと。お前もまだだもんな。まあ、俺と加藤じゃあ彼女の有無という絶対的な違いがあるけどな」
俺はまだ言うぜ。
「俺にはチャンスがあるんだよ。ちょっと頑張ればすぐにでもブチューっといけるんだよ。加藤にはそれがないもんなぁ、チャンスなんてないもんなぁ。………まあ人格でも変えないかぎり加藤にチャンスなんで来ないだろうけどなっ」
「何だその言い方は！まるで俺がロリコンでシスコンでドＳでスカトロ嗜好の異常性癖者みたいじゃあないか！」
「………よくわかってるじゃあないか」
自己分析は完璧だな。
てか加藤、スカトロジストだったのか…衝撃のカミングアウト！
聞きたくなかった事実！
「ゴメン、スカトロは嘘」
「なーんだ」
本当か？
そんなことより俺の夢を馬鹿にした加藤に最後の一撃を与えなくては…
「そんなことより加藤。俺、チューはまだだけどな………いや、聞いたらお前立ち直れなくなるな」
「言えや。俺のこの鋼の精神力で全て受け切ってやる」
「チューはまだだけどな、おっぱいの感触は知ってるんだ」
「………ッッマジ…かい？」
泣いてやがる。
「マジだい」
「いつ？」
「脱会リンチの後(ずっと前の話参考してちょ)ッス。おっぱいって凄いぜ！奇跡の柔らかさだよ！なんかね、高層ビルの上から落ちてもおっぱいがあれば無傷で助かりそうだもん！奇跡の産物なんだよ！」
「揉んだの？」
血吐きながら泣いてやがる。
「揉んだっつうか…埋めた」
「顔？」
「うんっ。暖かかったっ」
「俺揉んでないよ？」
「そりゃそうだろ」
「何デ？君ハ揉ンダンデショ？」
おかしなことを言い出したよ。
「俺も揉んだわけじゃないから。感触知ってるのは顔だぜ」
「ソンナコトワカッテルサ。俺モ揉ンデイインデショ？俺マダ揉ンデナイデショ。俺マダ揉ンデナイデショ！俺マダ揉ンデナイデショ！」
壊れた！？
こえーよ！
「山崎さん以外のだったら揉んでいいよ」
「本当カ？ダッタラ、野田ノ姉チャンの乳揉ンデイイカ？」
まさかのチョイス！？
う〜〜〜ん。
「いいぜ」
山崎さんじゃないしいいよもう！
「本当カ？野田ハ優シイナ。ポニョ、野田好キ！」
「ありがとな、でもお前はポニョじゃないゾっ」
「ハーイ」
「じゃあもう帰っていいか？」
「ハーイ！」
俺は壊れた加藤を置いて教室を出た。
まあ、明日には直ってるだろ。
「オ腹イッパイ！揉ミタイオッパイ！」
ラッパー！？
遠くから加藤のリリックが聞こえる………
あ、鬼束ちひろさんは一切この話に影響与えていません。………逆に何でこーゆー話ばっか浮かぶんだろうか。鬼束の力をもってしても爽やかなコメディーは無理………大好きな歌手さんです！
