第64話 準備に取り掛かろうじゃあないか
七年ぶりに眼鏡を外して学校行ったら自分のこと気付いてくれませんでした。俺は眼鏡のオマケじゃねーぞ!
「・・・・というわけだ。手伝ってくれるよな?」
「やらないわけがない! では早速準備に取り掛かろうじゃあないか」
俺は加藤にドッキリの内容を伝えた。
それにしても加藤、速答だったな。加藤は女装しないといかんのやぞ。
そーゆーことに関して羞恥心というものはないのだろう。さすが加藤だ。
この男、やりおる!
「女子の制服はどうする気だ?」
加藤が俺に聞いてきた。
「もってないのか?」
俺は驚いた。
「ない」
全くおかしな話だ。
・・・スク水もってて何で制服もってねえんだよ!
俺は軽く怒りさえ感じた。
「制服がないといくら俺が可愛くても女に化けることなんてできないぜ?」
「お前のような素材ではどう転んでも可愛くならないから大丈夫だ。でもどうする?」
「ん〜〜〜、借りる?」
「誰から?」
「女子からに決まってんじゃん。俺がスク水持ち歩くように制服持ち歩く野郎なんていると思うか?」
そりゃそうだ。いるわけがない。
そんなやつがそんな簡単にいるわけがない。
加藤こそオンリーワン。
かけがえのないただ一人の存在。
ってそんなこともない。
こんな変態、いとおしく思うはずがない。
なめんな!
「女子って誰に?」
加藤にアテなんてあるのかよ。
「そんなんもちろん、やまざ・・・」
「いいわけねえだろ! バカかてめーは!」
何考えてんだよ!
「山崎さんの服にお前の皮膚なんて触れていいわけねえだろ! 加藤のぬくもりなんて与えていいわけねえだろ!」
「そんなに言わんでもいいじゃんか・・・冗談なのに」
「だって想像したらすごい嫌悪感だったんだもん」
これはしょうがない。
「だったら島さんだったら貸してくれるんじゃね? あの人ノリいいし」
やべぇ、めんどくさくなってきた。やめれないかな? 高橋なんてもうシカトでよくね?
なんて思い始めた俺がいる。でも言い出しっぺがそんなこと言えるはずもない。俺はそんな場の空気を悪くするような男ではない。
俺は加藤の提案に肯定しておいた。
「いいんじゃない?」
島さんに向かった。
「・・・というわけなんだけど制服貸してくれないかい?」
うーん、小説って便利。
俺は島さんに事を伝えた。
「ん〜〜〜、どうしよっかね〜」
さすがに速答ってわけにはいかないか。
「別に全裸の上から着るわけじゃないんだ。ましてや匂いを嗅ぐなんてことも大々的にはしない。おねがいします」
加藤はいらんこと言うんじゃねえ!
逆効果だろ!
てか匂いは楽しむつもりだったのかよ。そんなの山崎さんにやったらマジ殺すぞ。
「う〜〜〜ん、ちょっと待っててね。香織ィーー! なんか野田くんが私の制服欲しがるんだけどー! どうしたらいいー! あっいや、無理矢理脱がそうとする〜〜〜!」
なん・・・だと?
「島さんなんてこと言うんですか!」
「まぁ、いいじゃない。あっ、香織来たよ」
本当だ。もう山崎さん来たよ。
すっげえ早歩きで来たよ。
島さん、どれだけ場をかき回したいんだよ。
「野田くん! それ以上やったら怒るよ!」
山崎さん、それ以上も何も俺はなんもしてません!
「アタシ・・・汚れちゃった・・・」
「すまない、俺がいながら守ることができなかった・・・ちくしょう」
島さんと加藤も乗っかるんじゃねえよ!
ああもう!
めんどくせえなあ!
「・・・というわけなんです」
小説って便利。
山崎さんにも教えた。
「それで女子の制服が必要だと・・・」
うわぁ、山崎さん呆れてるね〜。
やっぱ俺はバカです。
「それを加藤くんが着ると」
「はい・・・」
「なんで加藤くんなの? 野田くんやればいいじゃん」
はい?
「そうだよ! 野田くんやりなよ! だったらアタシ、服貸すよ!」
島さんも何言ってんだ!
てかやっぱ加藤には貸したくなかったんだ。
「絶対いやだよ! 恥ずかしい!」
こんなのいやに決まってんじゃん!
俺の男としての尊厳に関わる!
「とゆーか是非着てほしい! 見たい!」
なんか島さんテンション高くなってね?
「私も、素敵だと思う。・・・チェックのスカートの野田くんはまだ見たことないし・・・」
山崎さんもノリノリじゃん・・・素敵ってなんだよ。
てか“まだ”ってなんだ?
まあ確かにスカート穿いた俺を見せたことなんてないが。
てか見せるわけねーだろ!
そんなことしたらフられるわ!
そんな趣味もねーし!
「あっでも自分の彼氏に他の女の服なんて着てほしくないよねぇ〜」
「ん〜〜〜、まあね・・・でも大丈夫だよっ。どうせ私のじゃ小さすぎて着れないだろうし・・・」
「それもそうだね!」
「あはははっ」
「盛り上がってるとこ悪いんだけど・・・」
「「盛り上がってるってわかってるんなら何も言わないよね?」」
ハモった!?
こええよ!
「「拒否権は?」」
「ないです」
「「はい合格!」」
なんだよこれ・・・
てかどうしてこうなったんだ・・・
あのラブレターのせいだ!
・・・俺のせいだ。昔の俺のせいだ。
くそっ昔の俺め!
昔の俺死ね!
タイムパラドックス起きずに死ね!
「やれば・・・いいんじゃねえの・・・」
なんだよ加藤。
何、ふてくされてんだよ!
着たかったのかよ!
着たかったんだな!
俺は着たくないんだぞ!
それが普通なんだぞ!
着たかったんだな!
この男、やりおるッッ
テスト期間も終わり〜春休みに入ったので〜それなりに安定して更新できそうです。