第5話 何してるの?
昨日俺が泣かしてしまったアレ。漫画とか小説なんかの中の話だったらものすごくたいしたことのないトラブルなのだろうが俺にとっては一生忘れられない出来事になった。
結果的には泣かしてしまったのだがそこまで深く女子と関わったのは初めてだった。
正直女子が苦手だ。
おはようもろくに言えない。自分から女子に声をかけることなんて高校に入って一年経つが多分まだ五人ぐらいだったと思う。
とにかく恥ずかしいのだ。自分でも分からないくらい恥ずかしい。女子と話そうとすると緊張でどもる。
俺だって男子高校生だ。女子と仲良くしたいという気持ちは人並みにある。
でもその気持ちが恥ずかしさを上回ることが絶対にないのだ。
それに反するように俺の妄想は日に日に素敵に内容が濃くなっていく。
現実ではまともに会話も出来ない俺がこの中では超愛されてるんだ。楽しいイベントがたくさんおきるんだ。一切男臭くない世界なんだ。
こんなの楽しくてたまらない。
その理想と現実のギャップにいつも激しく落ち込むんだ。
というわけで今日は理想と現実が違いすぎたことによるストレスで風邪を引きました。
たいしたことないようなので学校へは行きます。
「おはよー、風邪ひいたー」
「大丈夫かよ、休めよ」
「さすが高橋。俺の心配をしてくれるんだな。とりあえずこんどお礼するよ。身体で」
「きしょいわ!やっぱ帰れ」
俺は本来ツッコミキャラもボケキャラもする。普段は加藤というボケキャラがいるときはツッコミとして働くが加藤がいないと俺はこんな感じだ。
「そういや加藤いないな、てか誰もいなくね?」
「そりゃそうだろ、今日学校休みだぞ。建校記念日だと」
まじか!!風邪でも頑張って来たんだぞ!チャリで50分かけて来たんだぞ!!
最悪だぁ〜
「じゃあ高橋はなんでいるんだ?」
「俺もミスった・・・」
「・・・帰ろうか。せっかくだから今から高橋ん家いっていい?」
「おう。どうせ暇だし」
そう言って教室を出ようとしたら、誰か入ってきた。
加藤じゃん。
この展開相場は普通山崎さんだろ!!加藤なんかのぞんでねえんだよ!
なんとなく隠れて奴の様子を見ることにした。
「俺一人!?そーいや今日休みじゃん!ミスったー」
不自然に独り言が多いなーっと思いますがそこはご都合主義ってことで。
「でもなんか普段絶対教室でやれないことをやれるんですね。わかります」
そう言って服を脱ぎだす加藤。
何やってんだ加藤ッッ!?おもしろいからもっとやれ。
パンツ一丁になった加藤は次に教室の真ん中に移動した。
「一度やってみたかったんです」
教室の真ん中の机の上で正座し始めた加藤。
「黙想ッッ!!!」
目を閉じ黙想を始める加藤。
「やめぃッッ!!」
やめる加藤。ふぅっとため息をつく加藤。満足そうな顔だ。悦に浸る顔がムカつく。
まじで何がやりたいんだよ!!!
その時誰か教室に入ってきた。
山崎さんじゃん!
こんどは本当に山崎さんじゃん!!
加藤はまだ机の上で裸で正座してる。
目が合った!
「何してるの?」
「修業です。ではっ!」
加藤は走って教室を出てった。
出そびれた俺と高橋、どうする!?