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第4話 ねーよ!!!

「今日のロングホームルームはせっかくだから山崎さんへの質問タイムにしようか。何か質問ある人手挙げてー、っと言っても君たち高校生は変に恥ずかしがって誰も質問してこないだろうから全員強制的に質問させることにした。もし断った場合、この生理的に嫌な物の入った箱に手を入れてもらいます」


題して『山崎香織に30の質問』。担任・スガさんの最後の一言で皆一斉に手を挙げはじめた。こええよ!!スガさん。



「名前はなんですか」

バカがバカな質問してきましたよ、山崎さんが困るだろ。考えろバカが。つまんねえんだよバカが。

「え・・山崎香織です」


「すでに知ってることを質問するんじゃない。しかもつまらん。減点1っと」

スガさん、減点ってなんですか!?そんなシステムしりませんよっ。


「部活は何をやってたんですか」

「水泳です。でもこの学校には水泳部が無いらしいので何部に入るかはまだ決めてないです」

まじか!その胸で水泳はやべーだろ!ダイナマイトミニマムボディがはじけるだろ!

こんど泳ぐときはポロリしないように俺が押さえといてやるよゥ!


「好きな色は?」

それは俺が聞きたかったやつ!高橋!俺の質問をとるんじゃねえ!俺が誰よりも一番知りたかったんだぞ!特に理由はないけどね!

予想では山崎さんはピンク好きだ。それにまちがいねえよ!

「オレンジです」

・・・・・まあ、違うと言ったら違うんだけどオレンジもピンクも同じ暖色って仲間だよね。そうなるともう同じ色みたいなもんだよね。というわけで俺の予想通り!



質問してない人も残り五人となったとき

「そうそう、言い忘れてたけど最後の一人になった積極性の無い生徒も罰を受ける対象になるからね」

はやく言えよ!まだ何も考えてねえよ!

とりあえず手挙げた。

当たった。



「じゃあ、この学校の中で一番居心地のいい所は?」やばっ。転校初日の人にする質問じゃないだろコレ。でもう〜う〜小さく唸りながらちゃんと考えてる姿がかわいいぞ。

「え〜と、この教室の自分の席です」

まあ、あえて言うならそうだろうな。申し訳ない。

「だって・・・前に野田君がいるから・・・・」

とんでもないことを言った彼女は真っ赤な顔で俺に向かってイタズラっぽく笑った。



・・・・・こんな素敵な展開あるわけねえ!ちゃんと質問を考えるんだ。

どうしよう、聞くことね〜。知りたいことならいっぱいあるんだけど聞けるわけがないのばっかりだ。

「早くしないと箱に手を入れてもらうよ」

煽るんじゃねえよ!もうッッ!


「転校してよかったですか!」

「え・・・・・・ッッ・・・・・」

言葉がつまった山崎さんは顔を伏せて泣きだしてしまった。


山崎さんは本当は転校したくなかったんだ。そりゃ普通そうだろう。仲の良い友達とか思い出の場所とかにもさよならを言わなくてはいけないんだもんな。

それを我慢して新しい土地で頑張っていこうとしてたのに俺の言葉でそれらを思い出させてしまったんだ。

俺はなんて軽率なんだろう。最低だ。さっきまで頭のなかだけど色々調子こいてた自分が死ぬほど恥ずかしく思えてきた。




山崎さんが泣いてしまいグダグタのまま質問会は終わり、そのまま帰りのホームルームがはじまった。


自分の席に戻った山崎さんはもう泣き止んではいたが気まずすぎる。泣くことになった原因が目の前にいるなんて山崎さんも嫌だろうな。



でもこんな展開で続けたくない作者がいた!オチが無いならせめて欝な展開だけでも払拭しようというご都合主義の話の続きだ!



ホームルームが終わったあと自己嫌悪に陥りながら教室を逃げるように出ていく俺。あやまることも出来ないヘタレです。

今日はまっすぐ家に帰ります。



そして次の日、一晩考えやっぱり謝らないといけないと決心し早めに学校にいった。

朝練の生徒以外まだ学校に来ない時間。誰もいない教室に入ったとき黒板に白い字で大きく何か書いてあるのが目に入った。


『気にしてないよ!仲良くしてね!!』


誰もいないはずの教室に山崎さんはいた。自分の席に座っていた山崎さんは立ち上がって


「気にしてないよ!仲良くしてね!!」


黒板に書いてあるのと同じことを俺に言った。


そして照れながらイタズラっぽく笑った。




って、ねーよ!!!

帰りぎわ普通に謝ったわ!!!

普通に許してくれたわ!!!

笑顔で許してくれたわ!!!

かわいいじゃねえか!!!


調子にのるな!



泣かした罰として生理的に嫌な物の入った箱に手を入れたのは別の話。

何も言うまい・・・

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