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第42話 窒息させる勢いで

さて、今から部活だ・・・

「ここが野田くんの部屋かあ〜」


ゆっくり見渡してるね、山崎さん。見られて困るもんは完璧に隠したのでありませんよ。




「俺の部屋何もないでしょ。退屈で死んじゃわない?」

今、山崎さんは中学の卒業アルバム見てる。

俺の部屋にはテレビと机と大量のマンガと本があるだけ。二人以上で遊べる的なものは唯一オセロだけ。

小さいころからゲーム機やオモチャに無関心だった俺はその当時大人気だった64、ミニ四駆、ベイブレードさえ経験せずに育った。

親はそんな他の子と明らかに違う俺を見て天才だと思い、大量の本を買い与えた。

小学生時代は流行のオモチャに興味がまったく無かったせいで友達的なものの話について行けず、というか友達が超少なくて暇だったので本ばっかり読んでた。シートン動物記が大好きだった。そんな暗〜い子供だったのにいじめられることが無かったのは要領がいいからだと思う。どちらかというといじめてたもん。

中学生時代は陰気なキャラじゃキモイな、って思ってよくしゃべるようになった。

そして口が悪いだけの高校生に成長する。



そーいや俺、何の取り柄もねえな、口が悪いだけだぞ。何で山崎さんは俺のことを好きでいてくれてるんだ?

・・・そんなのどーでもいーわ!

もちろん俺は山崎さんのこと大好きだしね。



「別に退屈じゃないよっ。だって・・・死ぬほど大好きな人と一緒にいるわけで・・・その死ぬほど大好きな人の部屋にいるわけで・・・」


「・・・うん」


「私の頭のなかじゃ今、凄い盛り上がっちゃってるのッッ。そんな、退屈に感じる余裕なんて無いよ」


「・・・うん。正直俺も盛り上がっちゃってる」

山崎さんは卒業アルバムを閉じて俺の目を真っすぐ見た。


「山崎さん?」


・・・これは勇気を見せないかんのでしょうか?


「・・・・」

山崎さんは無言で、座ったまま上体を俺のほうへ寄せてきた。


・・・家にきてまだ三十分ぐらいしか経ってないよ、この展開は早くない?

やんのか?やるべきなのか?


「・・・・」

上目遣いで俺のこと見てやますやん。


・・・勇気見せるしかないでしょう!気付いてないフリなんてできるはずがねえ!

よっしゃブチュッとやってやるよ!



頭だけを山崎さんにゆっくり近付ける。

どうやるんだ?

タイミングは?

衝突時のスピードは?

手はどうしとけばいいんだ?

息は?

角度は?

触れ合ってる時間は?

目は開けるのか?閉じておくのか?

わかんねえ!

シートン動物記にはこんなこと書いてなかったぞ!

みんな何で知るんだ?64か!?ベイブレードか!?


ちくしょう!ベイブレードやっとけばよかった!



それでもゆっくり近付け、近付け、近付け、近付け・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もう触れるッッ


コンコン


「お茶で〜〜〜す」



・・・母ちゃん!?


何で!?何で来ちゃうんだよ!ベタすぎるだろ!

こんな使い古された定番のオチいらねーんだよ!

まじベタすぎるだろ!

いいかげんにしろ!調子に乗るな!



「今日はあついね〜」


「今、一瞬で寒くなったんですけど」


気持ち的なものがものすごい冷めた・・・


チューの描写なんて恥ずかしくて書けるか!

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