第38話 部活動二日目
マックグリドルっておいしいね。朝マックが好きだ。
「やっと来た!遅いよ君たち、もう武さんは泳いでるよ!」
プールサイドに行くと土屋先生にそう言われた。
武さんは一人で泳いでいた。今日もスク水じゃないか。
「後の二人は?」
「高橋と町田はうんこしてます」
「二人とも?」
「厳密に言うと高橋がうんこしててそれに町田が怒ってます」
ビミョーに嘘ではないだろう。
「なんですかそれ?」
「二人とも異常なんですよ」
「・・・そ、そんなことを学校でしていいのですか!?」
土屋先生は驚愕の表情をした。何か勘違いしたらしい。
「いいんじゃないですか?こういうのは双方の同意があれば」
もっと混乱させるようなこと言っておいた。
「そういうものなのですか・・・考えられません。それと加藤くんは何でいるのですか?」
「俺にもわかんないです。誰がこんなクリーチャー連れてきたんですかね?」
結局加藤はそのままついてきやがった。
「誰がクリーチャーだ!いいじゃないか先生!俺もプールで遊びたいんだ!」
「何言ってるんですか!ダメに決まってるじゃない。それに今日は野田くんも泳がせませんよ」
なんと!?
「なぜ?遅れたからですか!?」
「経験者の二人と比べて実力に差がありすぎるので違う練習メニューです。筋トレばっかやってもらいますよ!」
「マジですか!」
「マジです。ノルマは腹筋背筋腕立てスクワット各100回です!これが終わったら泳いでもよろしい!当分はこれでいきますからね!」
「マジですか!」
最悪だ。
「マジです。せっかくなので加藤くんもやりなさい。君も終わったら泳いでいいから」
・・・・・
「筋トレしにきたんじゃねえんだぞ」
腕立てしながら加藤がそんなこと言ってきた。
「だったら帰れよ」
同じく腕立てしながらそう答えた。
「いやだ。スクール水着がいるもん」
「やまり気付いたか変態よ」
「あたりめーだ。高校生になってスクール水着なんて見れるなんて思ってなかったからな。武さん、最高じゃねえか。もう泳ぐとかどうでもいい、スク水を見たい」
「きめえな」
「スク水の魅力がわからないとは悲しい奴よ」
「むしろホッとしてるよ。それより山崎さんに欲情したら殺すからな。マジで」
「それは大丈夫だ。山崎さんはお前の所有物となった瞬間萎えた。性の対象では無くなった。今の俺は武さんだ。非の付けどころの無いスク水姿に俺の心は奪われた!」
「・・・そうか。死ぬほどどーでもいいな」
そんなことより俺は今ショックなことが起きた。
カルピスがすっげえ薄かった時のような、コーラがすっげえぬるかった時のような小さなショックが俺を襲った。
「腕立て何回やったか忘れた・・・・」
「どんまい」
「お前が話し掛けたせいじゃん!・・・まあいいか。これも死ぬほどどーでもいいことなんだけどさ、加藤ってロリコンだよな?なんで巨乳好きなの?矛盾してないか?」
「これは感覚の問題だ。こーゆー神秘的なことに関して論理で片付けようとしたらいけないんだ。というかできないんだよ。野田も考えてみろ、自分がなぜおっぱいが好きなのか」
「・・・・確かにわかんねえな。神秘的かどうかは知らねえが加藤の言うとおりかもしれん。何でだろうな?」
「そうなってるんだよ」
「だな。不思議だな」
「神秘的だろ」
「だな・・・また回数忘れた」
・・・・・
「おい野田コラ!」
腹筋をしてたら急に名前を呼ばれた。
「どうした高橋?遅かったな」
「どうした?じゃねえよ!またいらんこと言いやがって!」
高橋は怒ってるみたいだ。
「だからどうしたんだよ?」
「なんで俺が町田とスカトロやってたことになってんだよ!土屋先生に変な忠告受けたぞ!」
「なんて?」
「『こういうのは自由だから止めはできないけど時と場所を考えてね』って言われたわ!」
「おもしれーな」
「おもしろくないわ!誤解が解けなかったらどうすんだよ!土屋先生結構マジっぽかったぞ!」
「どんまいスカトロ野郎。てか俺は嘘を言ってないよ、勝手に先生が勘違いしただけだろ」
「謝る気すらねえのかよこの野郎!いいかげんにしろやああああああ!」
・・・・・
その後、高橋にボコボコにされた後土屋先生の誤解を解いた。
町田にも軽ーく謝っておいた。
「次そーゆーことやったらプールに沈めるから」
こんなこと言われた。
すまないと・・・思っている。
こんぐらいの冗談はいいと思うんだけどな〜。
っと、武さんを見ている加藤を見ながら思った。
加藤なんて見てないで山崎さんを見よう。
俺はさわやかなコメディは書けないのだろうか・・・・