第34話 働け。俺のために
さて、待ちに待ったプール掃除の始まりですよ。
今日は水泳部として初めての活動の日。感慨深いものがあったりなかったりします。
プールはすでに水は抜いてあるので底の泥などを洗い落とす作業をする。
去年までは一、二年生から適当に選ばれたクラスが掃除していたのだが今年は水泳部ができたのでせっかくなので水泳部にやらせようとなったらしい。プール掃除も水泳部設立の条件らしい。
学校側め、足元を見やがって・・・・25メートル5レーンもあるプールを水泳部だけにまかせるつもりか!
五人でやるにはあまりにも広すぎる。無理だ!
と、いうわけで助っ人を頼んだのだが・・・・・
人見知りな俺はクラスの奴にしか頼める奴がいないのに全員断りやがった。
そんでヤバいなーって思いながらプールに行ったら人がいっぱい来てるじゃないか!50人以上はいるぞ!
「どーゆーことだ?」
俺は訳が分からなくて高橋に聞いた。
「俺が集めた」
なんと!?
「高橋いいいいい!お前は優秀な部下だな!でもどうやってこんな人数集めたんだ?」
「条件を出してやったんだよ。“夏の部活って暑いよな〜部活後プールにでも入れたら最高だろうな〜。掃除手伝ってくれたら夏休みプールの隅っこぐらい使わしてやるよ?どうする?”って。そしたら運動部の連中がこんなにも来たんだ。スゲーだろ」
「高橋いいいいい!スゲー!有能すぎる!」
なんか高橋、商売上手そうだな。
「まあ、こんな権利俺が決めれるわけがないけどな」
「テキトーかよ!」
「まあな、所詮生徒どうしで交わしたやくそくだしね。もしこの条件が学校に認められなかったとしてもそれはすでにプール掃除が終わったあとになるしな」
「お前、策士やな」
「てかむしろ学校側は認めないでほしいな。運動部の連中にはタダ働きしてほしい。なんか奴らは報われないでほしい」
「なんで!?」
「なんとなく、コケにしたいだけ」
「性格わりぃ〜よ!」
「というわけで奴らにはたくさん働いてもらおう。指示を出してくれ、野田」
「部長と呼べ」
「イヤだ」
「なんで!?」
・・・・・・・・
「みなさん、お集まりいただきありがとうごさいます。あなた方には二手に別れてもらってプールの中とプールサイドをやってもらいます。プールの中は底がヌルヌルでちょっと気持ち悪いかも知れませんがそのヌルヌルが逆に楽しいでしょう。ヌルヌルで滑って服がベタベタになるのも逆に盛り上がるでしょう。プールサイドは服が濡れたりすることがなく無難に出来るでしょうが、クソつまんないでしょう。さあ、どちらか選んで掃除をはじめてください!」
完璧な指示を出したぜ。ついでにプールサイドの掃除もやらせてやるぜ。
「というわけで山崎さん達は何もやらなくてもいいよっ!」
運動部のバカ共が働くからな。
「いいの?なんか悪いねっ」
「ありがたいねー香織」
「ねぇ」
やはり人間は二つに分けられる支配するものとされるものだ。
俺はもちろん支配する側だ。
目下では50人以上が俺の指示で動く。なんて気分がいいんだ。
これが全校生徒なら?・・・
やべっ、たまんねえな。
生徒会長にでもなるか。