第33話 バカップルめ!
さあ、センター二日目ですよ!俺も一年後か・・・
どうも、これから山崎さんとデートの俺です。
今日のデートはピクニック。ただのんびり歩いて公園で昼ご飯を食べようの予定だ。
甘々でベタベタでラブラブなデートを楽しむつもりだ。
そんであわよくばチューを・・・・・ってそんな度胸あるわけないだろ!調子に乗るなコノヤロー!
・・・あ、来た。俺の天使。
「おはよ〜野田くんっ」
「おはよ〜山崎さんっ」
今日の山崎さんは水色のワンピース。普段、山崎さんはズボンしかはかないので学校の制服以外でスカート見るの初めてだ。似合うね〜、映えるね〜。
それに対して俺はTシャツ短パン。中学生かよ!実際中学の時から着てる服だよ!ポロシャツとか着ればオシャレなんか?わからん!誰か教えてくれ!いや、やっぱ恥ずかしいからやめて!
「ん〜〜〜〜なんか照れるね〜〜〜」
「だね〜〜恥ずかし〜〜〜ね。とりあえず公園まで歩こうか」
手をつないで歩きだした。
何度かデートはしたがまだこっぱずかしいんだ。
でも手は自然につなげるんです。
「バドミントンとか買ってって公園でやる?」
山崎さんが提案してきた。
「でも俺たちどっちも運動神経超悪いよね。ラリー続かなそ〜」
「だね〜」
「でもいいんじゃない?それなりに楽しーんじゃない?買おうっか」
「うんっ楽しーんじゃない?」
というわけで途中のスーパーでショボーいラケットを買っていった。
その後もぶらぶら歩いてゆっくり時間をかけながらお昼時に公園に着いた。
「お弁当食べよっか!作ってきたんだよ!」
知ってましたよ!その手に持ってるトートバックがずっと気になってましたよ!
「本当に!?食べよっ」
ベンチに座って弁当を受け取る。
フタを開けると・・・・・・・素敵だなぁ!
卵焼き、ウインナー、唐揚げ、プチトマトその他弁当の定番おかず、仕切りにレタスなんか使ったかわいらしいお弁当だ。
早速卵焼きから食べてみる。
「どうかな?」
そんなのもちろん。
「おいしいよ!料理上手だね。でも・・・」
「でもなに!?」
「いや、すごいどーでもいいことだよ!気にしないでっ」
「気になるから言って!」
「はい。呆れないでね。卵焼き・・・普通においしかったから」
「どーゆーこと?」
「山崎さんなら砂糖と塩間違えるようなベタなミスやってくれてるかな〜ってちょっと思ったから。そんな可愛い失敗してくれてるかな〜っと」
「バカじゃないの!」
「バカですね。すいません」
「はやくほかのも食べて下さいっ」
「はいっ」
「全部おいしいですねっ」
「ありがとうごさいますっ」
弁当の次は買ってきたバドミントンだ。
ポーン
ポーン
ポーン
「結構打てるねっ」
「ねぇ!楽しいねっ」
ポーン
ポーン
ポーン
ビュンッ
「あっ!」
山崎さんがラケットを横振りした瞬間、ラケットがすっぽ抜けて俺に飛んできた!
やっべぇ!ラケットがグルグル回ってなんか気円斬みたいになってるって!
アブネぇ!!
「ふんっ」
脊椎反射だった。俺はスウェー(マトリックスの鉄砲避けるやつみたいな)で気円斬を避けた!
「あぶねー!あぶねー!」
「ごめん!大丈夫だった!?」「無傷です。たぶん今まで生きてた中で一番の運動神経出せたと思う。ありがとう。」
「どんだけポジティブなの!?」
帰り。行きと同じようにゆっくり歩いて帰る。
行きも通ったのだがラブホテルの前で。
「疲れたね、休憩しよっか。・・・・・休憩するだけ!疲れたからちょっと休憩するだけだから!何もしないから!休むだけだから!」
なんてことは冗談でも絶対に言いませんよ。
一発で嫌われてしまいます。
でもラブホテルの前は気まずい。
「疲れたね」
え?山崎さん?
「超楽しかったけどねっこーゆーデートもいいねっ」「だね!また行こうっ」
だよな、山崎さんがそんな気あるわけないだろ!
こんなこと一瞬考えた俺死ね!
・・・・でもいずれは・・・
独り身の作者にはこの話を書くのはつらかった。切なさに襲われた。