第28話 戦う理由
人として生まれ男として生まれたからには誰だって一度は志すもの
“地上最強”
地上最強など一瞬たりとも夢みたことがないッッ
そんな男は一人としてこの世に存在しないッッ
それが心理だ!!!
だから男は戦う。この先に何が待っていようがかまわない。それが絶望だとしても男は迷わず進む。
先を知るには今という時を全力で生きなければならない。
だから男は戦う・・・
「食らえっ!空手チョップ!」
「ぐへえっ」
どうも。空手チョップを食らった俺です。
空手チョップを放ったのは加藤。
トイレでの戦い。
「くそったれめ!やはり素手の戦闘力じゃ加藤が上かっ」
「ぐだぐだ言ってんじゃねー!パーンチ!」
「ぐはっ」
肩に加藤の右ストレートが入った。
かろうじて急所は避けたが次はないだろう・・・これだけは使いたく無かったのだがな、やむをえん。
「エクスカリバーよ!我に力を与えたまえぃ!」
そう言って掃除道具入れから便器磨き用デッキブラシを取り出した。
「聖剣エクスカリバーだと!?卑怯だ!」
エクスカリバーとはRPGなどでお馴染みの伝説の最強の剣である。最近ではソウルイーターなどで活躍しているのが有名である。
加藤が抗議してきたが知ったこっちゃ無い。
「卑怯?何を言う、トイレは俺のテリトリーだぞ。この場所で俺に戦いを挑んだ時点でこれくらいの覚悟はしておいてくれないとねぇ?」
そう言ってデッキブラシ(エクスカリバー)の先を加藤に向け歩を進める。
加藤はじりじりと追い詰められて、ついに壁ぎわまで来た。「さぁて、もう逃げられないよ?チェックメイトだ」
俺の勝ちだ。歓喜し、そしてエクスカリバーを振り上げた。
「ふっ」
加藤は鼻で笑った。なぜ笑うことができる?気でも狂ったのか?理解不能だった。
それほどエクスカリバーは絶対的な力があったのだ。
「なぜ笑える?と聞きたそうな顔だな野田。おしえてやるよ、それはお前が俺を追い詰めたと勝手に勘違いしていて笑えるからだ」
「虚勢を張るのはよせ!エクスカリバーの前ではどんな奴でも無力なんだ!」
そうは言ったが加藤からは嘘を言ってるようには聞こえなかった。
加藤はなにか奥の手がある?
「動揺してるねぇ。じゃあ見せてやるよ、本気の俺を・・・・・界王拳!」
その瞬間、加藤の姿が視界から消えた。
「どこにいった!?」
「ここだ。今の俺は界王拳によってさっきの三倍のスピードで動ける。もう野田に勝ち目はない・・・・極め付けの・・・狼牙風風拳だ!」
俺は体中を目にも止まらぬ速さの乱打を浴びせられ最後に重い一撃を食らって吹っ飛んだ。
加藤の強さは界王拳を使えるヤムチャということか。
このままじゃ勝てない。
もう必殺技をつかうしかないぜ。
「とっておきを見せてやる!」
そう叫んだ俺はエクスカリバーの先端のブラシ部分に便器の水を染み込ませ・・・・・振った!
びしゃっ!
「や、やったか!?」
この必殺技を食らって精神的にやられない奴などいるわけがない。
俺の勝ちだ。
卑怯な勝ち方ではない。地の利を生かしただけだ。
それと、
策ではない!勇気だ!
これが言いたかった。
「いいかげんにしろよテメエら!掃除中だろうが!遊んでんじゃねえええええええ!」
あ、高橋いたんだ。
「なんで俺一人でトイレ掃除しないかんのだ!テメエらもやれよ!・・・・・てか、お前らが掃除やるわけねえって諦めて一人で文句も言わずにやってたのに何がエクスカリバーだ!いいかげんにしろよ!便器の水が俺にもかかってんだよ!てかむしろ加藤よりもかかってんだよ!何で俺が被害受けなかんのだ!」
高橋、キレキャラとして自分売りたいのかな?
「掃除をしろおおおおおお!」
「「はい」」
「魔封波ぁ!」
丸めたゴミを凄い勢いでゴミ箱に投げる加藤。
魔封波とは亀仙人がピッコロ大魔王を封印しようとしたとき使った技である。
「加藤!お前は普通にゴミをゴミ箱に捨てれんのか!それが魔封波だとすれば使った反動で死ね!」
亀仙人はこれを使った反動で死んだ。ピッコロ大魔王は封印できなかったので見事な無駄死にであったのは有名な話。
高橋大変だな。
中二病が治らない作者はこういったセリフばっか頭に浮かびます。