第17話 部名はトップシークレットで!
「バスケ部ってずるいよな」
今、部活終わりの部室。加藤がこう言ってきた。
「何が?」
何のことかわかんないから聞く俺。
「今日ずっと見てて思ったんだけどかっこいいもん。そりゃもてるわ」
たしかにバスケはかっこいい。てか自分の部活やれよ。何ずっと見てんだよ。
「それ俺も思ってた!いつも見てそう思ってた!」
コイツは三島か。何いつも見てんだよ。部活やれよ。うちの部員ひでえな。
「それに比べてうちの部活はまったくもてない!一人も彼女がいないなんでやばいぞ。死活問題だ!だからこれからバスケ部の要素を我が部で取り入れたいと思う!他言はないな!」
加藤が変なことはじめようとしてるゥー!
「加藤ー!おまえは最高にクールだぜー!」
支持者がいる!?
「もてたいかー!」
「「「おッー!」」」
「彼女ほしいかー!」
「「「おッー!」」」
「女子とイチャイチャしたいかー!」
「「「おッー!」」」
この空間こええ!加藤と共鳴するやつがこんなにたくさんいることがこええ!ちょっと前までコイツらと一緒だったと思うとこええ!だって今俺は彼女いるもん。
てかやべぇ、山崎さんのことばれたら間違いなく殺される!コイツらが暴徒と化し部室が未曾有のバイオハザードと化す!へたしたら山崎さんにも危険がおよぶかもしれねえ!
失敗は許されねえ。
「加藤、どんなことからはじめるんだ?」
「おぉ俺の右腕の野田か。とりあえずバスケ部がなぜかっこいいかの調査からはじめてほしい。頼めるかな?」
いつ加藤の右腕になったんだよ!
「・・・まかせろ」
「いい返事だ。頑張ってくれよ。結果が来るまで俺はケータイで幼女でも見てるかな。皆も野田にまかせてくつろぐがいい」
なんでだよ!
「野田、よろしくな!」
「よっしゃ、俺は漫画読も」
「じゃあ俺はラノベ」
「頑張れよ野田!」
「しくじったら殺すぞ」
みんな手伝う気ない!?どんだけ他力本願だよ!ダメ人間の集まりか!?しかも最後の奴こわすぎだろ!どんだけ女子に飢えてんだよ!
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「調査終わったぞー」
考察も踏まえたなかなか良い調査書じゃないか。
「幼女が養女にこないかな〜・・・・・ってほんとか!?今すぐ発表してくれ」
加藤からやばい発言が聞こえたのだが・・・まあいいや
「では・・・バスケというスポーツは他で類を見ないほどスピーディーな展開をするスポーツだ。得点もどんどん入って見ているものをなかなか飽きさせない。クールでスタイリッシュなプレーがバスケは多いんだ。かっこいいんだ。次にバスケは試合時間内コート内を走り回る。だから当然汗もハンパなくかく。これがデブであったのならこれ以上ないくらい醜いのだがバスケをやってる奴は皆、一部の例外はあるものの高身長で細身なんだ。これなら汗かいてる姿が絵になるんだ。かっこいいんだ。次にユニフォームだ。はっきり言って他のスポーツのユニフォームよりオシャレだ。ゆとりのあるダボダボのズボン、ノースリーブのように肩を出したユニフォームはとても動きやすそうでさわやかな印象を与えるんだ。かっこいいんだ。そして最後に、これが一番大事なことだ。よく聞いてくれ。世の女性の大半は背が高くて細身の男性を好む。これが一般的にかっこいいと言われているからな。そして前述したようにバスケ部には高身長で細身の男が多い。これで何が言いたいかわかるよな?
つまり・・・バスケをやってる奴がかっこいいのではなくてかっこいい奴がバスケをやっているのだ!!!!!」
どうだ、俺の調査内容は!
・・・・反応無しか?
よく考えられてると思ったんだがな。
心なしか皆の元気が無くなっているぞ。
「・・・・それじゃあ俺たちはかっこよくないからバスケをやってないってことになるじゃん・・・」
加藤、それは極論だ。加藤は顔はそんなに悪くないのだから異常な動言をどうにかすればもてると思うんだけどな。調子こくから言わないけど。
「野田、そういうことじゃないんだよ・・・」
「違うんだよ・・・違うんだよ」
「くやしいなぁくやしいなぁ・・・・」
俺は間違ったことを言ってしまったようだ。
「たとえそれが真実でも聞くものに希望のないものなど大嘘よりも罪だ」
加藤からそう言われた。
あぁ、そうなのか。悪いことをした。
皆、すまない・・・・・俺は黙って帰るよ。
「なんか、ごめんな」
そう言って俺は皆に背中を向けドアにむかった。
ガチャ
「野田くーん!部活おわった!?」
・・・山崎さん・・・・・・・・・・・・・
「なんか、マジでごめんな」
山崎さんの手を引いて走った。