第14話 なりゆきまかせ
作者的には劇的な展開。読者的には・・・
町田[香織のこと好きらしいね〜協力してあげよっか?]
自室でゆっくりしてたらこんなメールが来たんですが・・・・町田とはこないだの球技大会の打ち上げでアドレス交換をした。山崎さんとも交換できたのがうれしかった。
とりあえずこんなこと言うのは奴しかいねえ!
俺→高橋[町田さんにいらんこと言ったやろ!?]
高橋[町田って誰(笑)]
俺→高橋[変なメールが来たんですが]
高橋[野田が山崎さんが好き。みたいなことは言ってないけど(笑)]
高橋の(笑)がすげえむかつくんだけど。コイツ絶対言いやがった!
俺→町田[高橋がいらんこと言った?]
町田[高橋って誰(笑)]
なんなんだよこいつら!
俺→町田[知らないならいいや。俺こういうの死ぬほど苦手だから協力とかやめて]
冷たく言いすぎたか。
町田[とりあえず次の土曜ヒマ?みんなでどっか遊びに行かない?]
シカトしやがった!この大林素子めッッ!
俺→町田[みんなって?どっかって?]
町田[もちろん香織と!高橋も一緒だから大丈夫!場所は君も考えて!]
なんと!?
俺→町田[土曜なら開いてるけど・・・]
町田[じゃあ決まりだね!高橋と香織には私がすでに伝えといたから]
なんと!?やっぱり高橋が関わってたか。いちいちこいつら仲いいな。
俺→高橋[町田さんに全部聞いた!何、勝手に進めてんだよ!]
高橋[おまえの為だろ。いいじゃねえか]
俺→高橋[それを言われるとなんも言えん。でもおまえは面白がってるだけじゃん!]
・・・・高橋から返信が来ねえ。
っと思ったら町田から来た。
町田[それと、私と高橋途中からいなくなるんで]
俺→町田[なんで!?]
そんなこと何でするんですか大林素子ッッ!
町田[なんでじゃない!ここまで私たちがやったんだからいい加減あんたががんばりなさいよ!]
俺→町田[そんなこと言わんと、そこを何とか・・・]
町田[もう私がやれることはここまでです。あとは二人で勝手にやってください。というかぶっちゃけるけど私、高橋のこと好きなんだよね。だから私も二人きりになりたいの!]
なんと!?俺、何も言えねえな!
俺→町田[そうなの!?なら、わかった]
町田[じゃあ、細かい事は後で連絡するからね〜]
人の手だけ、自分の力を全く使わず人生初のデートってやつをすることになった。
緊張がやべえ。・・・・・・胃が痛い。
高橋[頑張れよ!全面的に協力してやるから]
今更高橋から返信が来た。のんきな奴だ、自分のことを思う奴がいるとも知らずに。
俺→高橋[おまえも頑張れよ]
高橋[俺は頑張る必要ねえし(笑)]
やっぱ高橋わかってない。
そして土曜日が来た。
映画を見に行くことになった。これは俺が提案したのだが、そのとき町田から『やっぱちゃんと考えてるんじゃ〜ん』って言われて恥ずかしかったのを覚えている。
映画を見た後ご飯食ったりしてぶらぶらするらしい。
いつ高橋たちと離れて二人になるかは聞かされてないが映画見た後だろう。
あぁ、緊張で胃が痛い・・・
さあ、でも行くか。
集合場所の駅前までチャリで10分かかる。
身体に感じる風がここちいい。駅前に着くころには眠気も吹っ飛んでいるだろう。
なんて気取ったこと考えてる自分にキモイな、と思ってるうちに集合場所に着いた。集合時間の九時の10分前だ。
・・・・山崎さんもういる。私服初めて見た。なんかうれしい。ジーパンにポロシャツか、変にオシャレじゃなくてイイネ。俺の格好はというと綿パンにTシャツ。オシャレさの欠片もない。
他の二人はまだ来てないな。
「野田くんおはよう!」
山崎さんが俺に気付いて先にあいさつしてきた。
「おはよう。まだ二人とも来てないんだね」
「だね。まだ時間じゃないしもうすぐ来るんじゃない?」
「だね」
そして二人でベンチに座り高橋たちを待つ。
九時半・・・あいつら来ねえよ!なんで!?
「来ないね。私、町田に電話してみる」
「じゃあ俺も高橋に電話してみるわ」
プルルルル〜〜〜
ガチャ
『高橋、どうしたの?なんでこねえの!?』
『あのな〜。今日、途中から二人きりにする予定だっただろ?それが駅前行く途中で町田と一緒になって、もうそのまま俺たちは野田たちのとこ行かねえってことになったんだわ』
『まじで!?じゃあ今おまえ何してんの?』
『町田とファミレスにいる。というわけで頑張れよ』ガチャ
切りやがった。
どーしよー!大変だー!逃げてぇー。
あっ、山崎さんも電話終わったようだ。
「野田くんも高橋くんに聞いただろうけど今日、町田たち来ないんだって」
「らしいね。今、一緒にいるらしいね」
「どういうことだろうね?なんで今なんだろうね」
えっ何で?どーゆー事!?
「今って?」
「あっ・・・」
山崎さんがしまったような顔をした。もしかして
「もしかして今日、途中からから高橋たちがいなくなること知ってた?」
「え!?・・・うん。でも野田くんも何で知ってるの?」
やべえ、墓穴掘った!
「それは・・・」
「お願い野田くん、正直に答えて!」
「・・・今日は俺の為に山崎さんと二人きりにしようという作戦で・・・・」
やべー!言っちまったよー!逃げてぇー!
「えっ?・・・・私も今日は私のために野田くんと二人きりにしようっていう作戦で・・・」
どーゆー事だ?
みるみる山崎さんの顔が赤くなっていく、たぶん俺の顔もそれに負けないくらい真っ赤になってるだろう。
「野田くんは好きな人いる?」
「いる」
「誰か教えてくれる?」
「山崎さん。山崎さんは?」
「野田くん」
「うそつけ」
「うそじゃないよ!」
「・・・こんなことってあるのか?」
「あるんじゃない?いいんじゃない?」
なんか、恋人同士になった。
「このまま初デートする?」
「するっ!」
こんな幸せがあるんだろうか。
俺は彼女と一緒に映画館へ向かった。
こういうこと書くのがこれほどこっぱずかしいとは思わなかった。とりあえずくっつけちゃった!