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第122話 山崎さん


ダメだもう。


あの日。あの夜。あの夏祭りの夜。

チューしてから様子が変だ。もちろん俺の。


気付いたらいつもチューの先の事を考えてやがる。

今まではそんなこと一切なかったと思う。いや、ふとしてみたことはあるかもしれんけども。


それが今じゃどうだ?

湧く湧く!

今までの分も合わさったかのように山崎さん主演のエロい想像がじゃんじゃん沸いて来る。



俺のまだ見たことない山崎さんの形、大きさ、色、質感。

いっぱい想像しちゃってるよ山崎さん。

多分俺の中に昔からいたエロい虫が山崎さんの唾液を栄養に成長、爆発的に増殖を遂げ、脳を侵食してしまったんだ。


侵食されてしまった俺はもう虫の言いなり。

虫の満足するまで妄想を続けなくてはならない。しかし!しかし奴らは満足なんてしない!


到達点に達するまで悶々とうごめき続け、俺を苦しめるんだ。

そして奴らは何かをキッカケに俺の中の理性という部分を喰っちまう。



思い通りになってたまりますかい!


さて激しく詭弁、奇弁を垂らしたところで何の意味もない。虫も無い。わかってる。

どうしたもんだろうか。いや、どうも起きないだろ。冷静に考えてみろよ俺。

そんな度胸も行動力もねぇだろ俺。



色欲の前に我を忘れ……

『山崎さんッッ!』

ガバッ

『いやっ、どうしたの急に野田くん!いや!』

『ゴメンっ、でも今なんだ!うおーー!』

……おい、こんなことあるわけないだろ。

バカバカしい。





でもね…………山崎さん、俺は君のアソコにチンコ入れる想像してるんだよ。

こんなの初めてなんだよ。

そりゃ俺だって今までに何度か何人か好きになったことはある。

でも今回のようにエッチな想像はしたことがない。無意識のうちにストッパーが繋かっていたのだろうか、したいと思った事も無いはずだ。何だか酷くカッコ悪い事のように思えて、不潔な事のように思えて。



それがどうだ!?

今は妄想を頭に浮かべるのが凄く気分の良いものなんだよ。

幸せで胸いっぱいになるんだよ。


理由は漠然としてるといえば漠然としている。が、核心している。


強く思っている。想っている。念っている。





それほど山崎さんのことが好きになれたんだ。





これはとても立派な事だと思う。

昔の俺は正直、女の子なら誰だっていいような馬鹿だった。

山崎さんとだって最初の方はただ浮かれていただけだった。

初めて彼女が出来た嬉しさと、その彼女がとても可愛いという優越感に浸ってただけの馬鹿だった。


そんなプラスチックのような安くて軽いチープな気持ちから滑らかでいてずっしりとした重量感のある陶磁器のように変化出来たんだと思う。


やはり素晴らしい事だ。



……ああ、凄く会いたくなってきた。

セックスとか童貞喪失とか処女膜貫通とかそんなの関係なく会いたい。

まだまだ色んな山崎さんを見たい。



以前、加藤がこんなことを言っていた。



『女の子の眼鏡ってさ、似合ってなけりゃないほど可愛いよな』



激しく同意した。

山崎さんの水泳時の様子そのものだった。

水泳キャップが似合ってない(似合う奴もあんまりいないと思うけど)。

息継ぎのときの表情が凄い。

泳ぎ切った後、鼻水垂らしてる。しかも気付かない。


こんなときの山崎さんが大好きなんだ。


だからもっと沢山の山崎さんが見たいんだ。素敵なんだ。





電話しよ。

明日暇かな、なんだったら今からでもいいけど。



俺は携帯を開いた。


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