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第116話 午後のパレード

お祭りの屋台って原価の数百倍で売ってるとこもあるらしいですね。タイトルに意味はありません。たまたま聴いてたのがコレで……まぁ、祭はこれでオシマイです

「山崎さん、今来た女の子の名前誰も知らないからよろしくね」

「何をどう、よろしくするの!?」

「……俺にもわかりません」


とりあえず山崎さんにコソコソと状況説明。

二人で出店回りたいなぁ……とか思う。



「野田くん、あの子が高橋が呼んだ子?……超可愛いじゃない!どーゆー関係!?」

町田が突っ掛かる。現物が来たら急に食いついてきたな。

だったら……


「可愛いよね。このごろ仲良くしてもらってるらしいよ。最近だとお風呂デートしたみたいだし」

「お風呂デート!?……過激!…………あ、千代美の時みたいに嘘ね。何度も騙されるほど愚かじゃないわよ」

「でも実際に来てますぜ。しかも超可愛い。俺が言ったことが八割以上嘘だったとしても、実際仲よさ気ですぜ。あんだけ可愛いんだから魅了されまくってるのかもしれませんぜ」

「…………私はどうすればいい?」

「あの子に自分というものをアピールしてきなよ。とりあえず知り合わないとね」

まぁ、名前すら知らないんだけども。


「野田くんっ……他の子を可愛いって言い過ぎじゃない?しかも超付けて。ありえないよ?」

おっと、山崎さん。これ以上俺を魅了する気ですか?

俺の袖を引っ張りながらそんな台詞吐かないでくださいよ。


「ゴメンナサイ。でも俺なんかに嫉妬してくれて……死ぬほど嬉しいです」

「……野田くんは思ったことをそのまま言い過ぎだと思う。ありえないよ?」

今は照れてるだけのようです。



そんなことより高橋とあの子は!?




………………

「や、やあ」

どうも高橋です。

さて、どうしていこうか。まさか加藤達、名前知らないなんてな……そのこと知ったらけっこう悲しいよな?



「こんばんは高橋くんっ、ありがとねっ。正直ヒマしてたからねー」

「やっぱり?」

会話を繋げてくしかないな。加藤達助けてくれる気ないし。

「浴衣着て来たんだな」

「うん。せっかくだから自分で着たんだけど、どうだい?」

「自力で着付け出来るの?やるねぇ」

でもどうせパンツ穿いてないんだろうな……


「そんなことより私のこと紹介してよっ!女の子二人ははじめましてだよ!」

やべぇ。遂にきた。


「あのバレー日本代表みたいなのが町田。なかなか気さくな奴だよ」

「ホントに長いね。てか日常会話で『気さく』って言葉使う人初めて会った」

うるせぃ。

「そんで低身長の方が山崎さん。ちなみに野田の彼女」

「えぇ!?あんなに可愛い娘さんの彼氏が野田くんなの!?何があったの!?」

やっぱ山崎さんって可愛いんだな。そんで野田が不憫でならねぇ。

「特に何もないと思うけど」

「へぇ〜〜。でも私が来てちょうど良くなったね」

「何が?」

「男女の割合。野田くんは山崎さんでしょ。町田さんは加藤くんでいいでしょ。私は高橋くんとでっ」

そういって腕を絡ませてきた。

「何を!?」

「君優しくて好き!」


マジでぇ!?

すっげえ直球!


「マジで!」

町田……いつの間に!?

「マジですっ。町田さんだよね?……私、高橋くんに魅了されちゃったみたいです」

「高橋もマジで!?」

「俺もわからん。どこからが冗談なのか……」

「冗談なんかじゃないです!」



やべぇ。それなりに嬉しいぞ。

でも、この子が友達いない理由が何となくわかる……てかもっと名前聞きづらくなっちまった。



………………

まさかの展開だ。

どうも野田です。


とりあえず祭に来ました。

あの子は始終高橋にひっついてます。腕組んでますし。


完璧に気後れした、押しの弱い町田は俺達の方へ……


流石の加藤でさえ町田を慰める。

俺は見ててすっごい面白い状況だ。これなら山崎さんと二人の夏祭りじゃなくても満足だね。



この六人で回ることに……



「高橋くんっ金魚すくいやりたい!」

「いいよ」

一つの綿菓子を二人で食べながらそう言う高橋の彼女(仮)。てか高橋も順応性高すぎだろ!

もう綿菓子二人で食うか!?


「……加藤くん……高橋にすくわれた金魚、救ってきて」

「任せな」

町田が陰湿になってる!

加藤もちゃんと乗ってあげるんだな。


高橋のポイを自分のポイをぶつけて破る加藤。


こいつやりおる。

「何やってんだよ加藤!」

「事故!」


こいつやりおる。


「ベビーカステラ食べよっか」

「いいね〜高橋くん!」


高橋もノリノリじゃね?


「……ベビーカステラ買い占めてきて、加藤くん」

「それは無理です!」

「じゃあカラーひよこを高橋に高値で売って来て」

「もう意味がわかりません!」


と、言いつつもその後も、スーパーボールすくいを邪魔し、ヨーヨー釣りを邪魔し、射的を邪魔する加藤。

徹底した汚れ役に感動すら覚える。それでいて町田をなだめるのにも余念がない。


こいつやりおる!




俺と山崎さんはというと、このほほえましい光景を眺めながらタコ焼き食ったりベビーカステラ食ったりりんご飴舐めたり、なかなか楽しませてもらいました。




なんやかんやで夏祭りはお開き〜〜。

俺と山崎さんは一緒に帰る。今日初めての二人きり。

あぁ…………キャラの独り歩きがとまらねぇっ!

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