第113話 おしゃべり場
特に何が起こるわけでもなく……いいよねっ
「何で俺なんでしょうか?」
「君が一番理性的だと思ったからよ」
……まぁ、確かにあの中じゃあ俺が一番マトモだろな。君も含めてね……
どうも、高橋です。
野田と加藤は先に帰して何故か俺だけ残るよう指示されました。
一体何なんでしょう?
俺はあいつらと違って今日初めて会ったんだぞ。
「用件はなんですか?」
俺も早く帰りたいんだけども……
あいつらが俺の部屋で悪さをしてないだろうか不安でならねぇ。
……ありえない事だけど、愛の告白ってことはないだろうな。
一目惚れですたい。って。
ありえない事だけど、もしそうなら断るぞ。
フツーに可愛い、てかすっげぇ可愛い部類に入ると思うし、魅力的なスタイルもしてる。だが断る。
いくら可愛くてもこの子今パンツ穿いてないんだろ?
何で平気なんだよ。
ピチピチのミニTにタイトなホットパンツ。
なんかおっかねぇよ。
まぁ万が一にも告白なんてことはないからいいけどね。
「好きです。付き合ってくださいっ」
「…………何いってるんですか?」
「嘘です」
「わかってます」
「やっぱ君は冷静な人ね」
何、この冗談。タイミング良すぎだろ。
ちょっと動揺したじゃねえか。
「とりあえず君、名前は何て言うの?」
「高橋です。君は?」
「……あれ?加藤くん達から聞いてない?」
「何も……君の存在は今初めて知りましたよ」
「え〜〜、絶対私の話したことあると思ってたのに」
何?この人、少々自意識過剰?
「残念ながら一瞬もしてません。名前は?」
「……なんだか悔しいので言いません。加藤くんから聞いてください」
何この人!?
やっぱ変な人だ!
…………
「……まったくどういう事だ。こんな事ってありえるのか?実に不可解だ。そして不愉快だ。そうは思わんか?野田」
「あぁ、思うぜ。一種の不安さえよぎる。俺は、いや俺達は……」
「よせ野田、考えれば考えるほどドツボにはまるぞ。高橋が帰って来れば全て明らかになるんだ。それまで待とう」
「……なぁ加藤?知る勇気より知らない勇気の方が大切な事だってあるんじゃあないか?」
「それは逃げてるだけだ。逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ」
「……そうだな俺が間違ってた。男は戦い続ける生き物なんだよな」
「そうさ、元々それを教えてくれたのは野田だったじゃあないか」
「済まない。酷く動揺してたみたいなんだ。でももう大丈夫だ。俺はもう昔のように前を真っ直ぐ見て歩ける」
「いつもの野田に戻ったようだな。それでこそ野田だ。この野郎、心配させやがって」
「心配してくれる人がいるかぎり俺はいつだって復活できるんだ。ありがとな、加藤」
「よせやい、照れるじゃねえか。俺の方こそありがとな」
「…………よしっ!小芝居終わり!」
どうも、野田です。
「今回のは実に気味の悪い出来でしたね」
コイツは加藤。
ホットパンツの女の子に帰るよう指示されたので加藤と共に高橋ん家に先に帰りました。
そりゃなんかするしかないでしょ。
とりあえず部屋を漁ってみました。
エロ本とかエロDVDを探してみたんです。高橋の性癖を調べてみる試みでした。
無いんです。エロ関係のブツがなにもないんです。
徹底的に探したのに見付からないんです。
そこで俺達は高橋ホモ疑惑が再浮上し、怖くなりました。
パソコンの履歴も見ました。
動画サイトの名前はありませんでした。
本格的に怖くなったので、高橋は履歴を消したってことで無理矢理納得しました。
でも、自分の部屋にあるパソコンでそこまで用心するかな?
……考えるのはやめよう。
とりあえず他にやることがなかったので部屋の至る所にフルーツ缶を隠しておきました。
見つからなかったら腐って大変だね。
一緒にガチホモ系雑誌も隠しておきました。
(親に)見つかったら大変だね。
てか加藤は何でガチホモ系雑誌なんて持ってるのか聞きました。加藤いわく社会勉強らしい。
そのあとは加藤が高橋の妹に悪戯しに行こうと言うのを阻止し、暇になったので小芝居しておりました。
てか高橋帰ってくるの遅いな。
もう二時間は経つぞ。気付けばもう夜中の十二時過ぎてるじゃん。
ホットパンツの女の子と何やってんだ?
「ひと夏のアバンチュール?」
「高橋に限ってそれはないだろ野田」
「だよな。ホットパンツの女の子もそんなノリじゃなかったしな」
「あの子もそーゆー子じゃないからな」
「そういや加藤もあの子の名前知らんの?」
「忘れちゃった」
「……ひど」
「高橋に聞くからいいだろ」
…………
もうそろそろ帰していただけませんか?
この言葉が言えなくてどれくらい経つだろう。
どうも、高橋です。
銭湯の近くのファミレスに来てます。
「……あとね、学校の先生って理不尽すぎじゃない!?」
「そう?」
「そうよ!自分の事しか考えてない!」
「ん〜〜〜、そうかもね。でも俺に実害がないからよくわかんないわ」
「うちの学校ホンットに酷いのよ!だってね…………」
もう何回こーゆー話を聞かされたかな?
俺が引き止められた理由は話し相手が欲しかったかららしい。ずーーーっと愚痴聞いてますねん。
学校の事・部活の事・家族の事・自分の事……エトセトラ。
他に話し相手、というか友達はいないのかと聞いたらいないらしい。
悲しいよ!
でもまぁ……理由はわからん訳じゃない。
なんか若干ウゼェもん。
しかもどことなく変ですし。なんかズレてるんだな。でもね、かわいそうだしかね……女子校って男子がいないから治安が悪いらしいし。
こわっ!
「ねぇ聞いてる!?」
「ほとんど聞いてます」
俺ってイイヤツだな。これがブサイクちゃんでもちゃんと話聞いてあげる自信ありますもん。
でもいつ終わるんだろう……?
女子校って……実際どうなのよ