第112話 ビバノンノン
なんだか久しぶりになりました。なんだかホームって感じがします。息抜きおわりです。
「なぁ一ついいか?」
加藤が湯舟に浸かりながらそう言った。
今晩は高橋ん家で三人でお泊り会です。
近所の銭湯に来ました。
てか夏休み初日からお泊まりってどうなのよ。
楽しいからいいけどねー。
「何でも言ってごらん」
俺は加藤に発言を許可した。
「ダメだと言われても喋ったけどね。今ふと思ったのよ。俺達は今、銭湯にいるよな?」
「間違いなくいるな」
高橋が答えた。
「男子高校生が三人いるんだぜ?割合的に考えてもこの銭湯には女子高校生が三人いるはずだよな?……でもどうせいないんだよな。納得いかねぇよ。だから女ってのはダメだ……」
言い過ぎじゃね?
「何が言いたい?のぼせたの?」
「いや、脳みそはこれ以上ないほど冴えてる。なんだかな〜って思っただけです。今回は聞き流して結構です。ただ俺は一枚壁を隔てた向こうで同年代の女の子が裸でいると思うと堪らなく昂揚するんだよ。でもどうせいないんだよ。だからガッカリだ、って話」
「さいですか」
加藤はどうしてこーゆー事しか考えれんのだろうか?妙に共感できるけども。
俺はまた湯舟にゆっくりと浸かりなおした。
高橋は身体を洗いに風呂から出た。
やっぱ広い風呂はいいね。
何だかスゲェ気持ちい。落ち着かねえけども。
「って高橋!石鹸で頭洗うなよ!」
俺は高橋が頭に直接石鹸を押し付けてカシャカシャやってんのを見てア然。
「だってめんどいじゃん」
軽いカルチャーショックですよ。
だからコイツは針金みたいな髪質してたんかい。
「野田だって排水溝にオシッコするのやめろよ!」
「してねぇよ!大声で最悪なこと言ってんじゃねえよ!」
「どおりでさっきからここらへんの湯が黄色っぽいと思ったァ!」
「加藤も乗るんじゃねぇ!湯舟にはしねぇよ!てか銭湯でしねぇよ!てか風呂でしねぇよ!」
湯舟から急いで出る加藤。それに続くように他の客も出ていく。
中には俺の事を信じられないものを見るかのような目を向けてくる人もいた。
何でそーゆー事を言った!?
「もうここの銭湯には来れねぇなっ」
「何でそんなに楽しそうなんだよ高橋ッッ」
「やっぱハプニングがあったほうが楽しいだろ?」
「人為的に起こしたものはハプニングじゃねえだろが!」
何でコイツらは唐突にこーゆー事をしてくるんだろうか。だからノリで生きてる高校生ってのは嫌いだ!
…………
「やっぱアイスボックスだな!」
風呂でホックホクになってるときはアイスボックスが最高だな。
銭湯×アイスボックスは無敵だねっ。
俺達は風呂から出て銭湯の休憩所でアイスに舌鼓〜〜。
「アイスボックスの中にジュース入れて飲んでも美味いよなー」
「だなっ高橋」
俺と高橋はアイスボックスをがりがり音を起てながら食べている。
「雪見大福は邪道か?」
「それはねぇわ加藤。雪見大福は美味いぜ。最初に作った奴は天才だよな。でも今じゃねぇだろ」
雪見大福はコタツだろ。
「なんかアイスを語る野田うっとしいな」
「な」
「加藤酷くね?高橋も肯定すんなよ。てか今日お前ら俺に酷くね?」
「それはしょうがねぇよ」
「…………」
「無視かよ加藤!」
「うっせい。ちょっとあれを見てみい」
加藤の目線の先を見ると、加藤が急に黙った理由がわかった。
「すごっホットパンツじゃん」
そこにあったのはお尻だった。
俺達が座ってるテーブルから五メートル程離れた所に股下が数センチしかないタイトなホットパンツを穿いている女の子がいた。
都会じゃホットパンツを穿く女の子なんていっぱいいるだろうがこの田舎ではかなり珍しかった。しかも銭湯での出会いというのが燃えた。
「なんてヒップラインの強調されたデザインだ……」
俺は銭湯でこんな素敵なブツを拝めるとは思ってなかったので軽く感動すらした。
「フトモモがやべぇな。高橋も見ろよ」
「……確かにやべぇな加藤」
「だろ?あんなのほぼパンツだろ?後ろ向いてるってとこがまたいいな。しゃがんでくれねぇかな」
「てか中にパンツ穿いてるのかな?」
俺は素朴な疑問を口にした。
「穿いてるわけねぇだろ」
「何で穿いてるわけねぇんだよ」
「そーゆーもんなんだよ。あんなの穿く女、エロいに決まってるだろ。ドエロだドエロ」
「何で決まってるんだよ」
「自分の肢体を見てほしくて堪んない女なんだよ。言ってくれれば俺が隅の隅まで見てやるのに」
「そんなんじゃないですから!」
女の子が振り返ってそう叫んだ。
「…………え?」
女の子は固まった。
「あ…………」
横を見ると加藤も固まっていた。
少しだけ時間を要したが二人がフリーズした理由がわかった。
この女の子は昔、会ったことがある。
以前バドミントンの大会で出会った、頭のネジの足りないであろう女の子だ。
まさかの再会!
高橋だけ何の事だかわからないだろうがめんどくさいので教えなくていいや。
「……また聞こえてたのかい?」
そう聞く加藤。若干ビビってるのがわかる。
「ばっちり。加藤くんだったかな?」
「はい」
「君には私がいつパンツを穿いてるか穿いてないかちゃんと教えたじゃない!」
そうなの!?
「はい」
「何でそれを友達に言うのよ!非常識よ!」
……ってことは今はやっぱ穿いてないのかよパンツッッ!
「だって……知らない人だと思ったから……」
「言い訳しない!」
「……はい。でも俺がどーゆー人間なのかも教えたはず。だからしょうがないって事はわかるはずじゃない!」
どんな事言った!?
「そんなこと理由にならないわ!」
「なるね!」
なんの言い合いだよ。
でもこれだけは言える。
コイツらは相性がいい。
ディ・モールト(非常に)良い!
ホットパンツってファッション性が強いのの他に風呂出た後に穿いてるイメージがあります。今からちょっとこのイメージを作者に植え付けた奴を探しに行ってきます