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第111話 全校集会

「さぁて、みなさん!明日から夏休みですね!今から校長先生のお話が始まりますよ!と言っても今日は暑いですからね。わたくし、ちょっとしか話しません。数秒です。本当に暑いですからね。ダラダラと話してちゃみなさん熱中症になって倒れてしまいますしね。あ、ステージの上もとても暑いんですよ?ライトが強いんですよね。汗だくだくですよ。だからわたくしも早く終わらせたいと思っておるんです。どうせ長く喋っても生徒のみなさんは聞いてないですからね。わたくし、その辺よくわかってるつもりです。よその無能な校長どもとは一味も二味も違うってとこを教えてあげましょう。何てったってわたくし……おっと、自慢できることが一つもありませんでした。残念ッッ!古いですかね?でもそんなの関係ねぇ!はいっオッパ…………ピー!今、変な事想像した男の子いるでしょう!いけませんよ。まあ、いやらしいっ。わたくし、男なのに男らしい喋り方じゃないんですよね。でも心は誰より男らしいと思っていますよ。今そんなことはどうでもいい?ごめんなさいね。では今

から一言だけ話させていただきますよ?たったの一言です。それだけで十分です。何て言うと思いますか?ちょっとだけ時間をとりましょう。いや、早く終らせたいのでやっぱりもう言います。いいですか?言いますよ?あっ、でもそんなに身構えなくていいですよ。もっと気楽に気楽に〜フランクに聞いてくれればいいですよ。わたくし、自分で言うのもなんですが、たいしたことは言えませんのでね。でもね、ただあなたたちよりは長く生きてます。亀の甲より年の功。こんなことわざがあるように少しはあなたたちのためになる事を言えると思います。ですから是非聞いてください。……“是非”だなんておこがましいですね。申し訳ないです。やっぱり…………」



さっさと言えや!

わざとか!?いい加減暑いんじゃ!



「なんでうちの校長はあんなうっとしい奴なんだよ」

俺は隣の高橋に話しかけた。

「そう言うなって。彼がド低脳なお陰でいろいろと得してる事だってあるんだから」

「そうなの?」

「水泳部の部室があんなに快適なのは彼のお陰だろ?彼がいい加減なお陰だろ?」

そうだった。そういえば俺達、部室の件で生徒会室の使用をテキトーなこと言って彼に認めさせたな。

てか校長の事を彼って呼ぶのはどうなのよ?


「昨日も部費アップの交渉してきたんだけど、見事に通ったぜ」

「すげぇな」

てか高橋、何やってんだよ。

「まあ俺の交渉術が優れてるって訳でもあるけどな」

「高橋の交渉術がいくら優れてると言っても、俺の催眠術には遠く及ばないね」

加藤?

「俺の催眠術の前では全ての者は操り人形だ」

何言ってやがる。修学旅行で俺に失敗したじゃねぇか。

「そんなことより校長良いこと言ったな。俺としたことが思わずグッと来ちゃったぜ」

「加藤、真面目に聞いてたの?」

檀上を見てみると校長の話はもう終わってたみたいだ。

「それなりにな。お前ら聞いてなかったのかよ!?もったいねー」

「じゃあ教えろよ」

「無理。こーゆー事は俺の心の中にそっとしまっておきたい。人に言うとこの感情が薄らぐような気がするから駄目」

……なにそれ?

超知りたくなっちゃうじゃんか!


「俺は野田が話し掛けてきたから聞けなかったんだ。しょうがないだろ?だから俺だけに教えてくれ!」

ずりぃぞ高橋!


「だから無理だって。……あ、他の奴に聞いても多分無駄だと思うぞ。多分俺とおんなじ心境になってると思うから」

マジかよ!

余計知りたいじゃねーか!




「山崎さん、校長が何て言ったか教えておくれ?」

終業式の後、俺は山崎さんに聞きに行った。


「ゴメンね。いくら野田くんの頼みでもこればっかりは……」

駄目なのか。この様子では町田に聞きに行った高橋も駄目だろうな。



校長!一体何て言ったんだ!?

あんた実はスゲー奴だったんだな!

ド低脳だなんて言ってごめんね。


「香織ィ!校長の一言教えて!」

町田も聞いて無かったんかい。

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