第108話 新参者
あらためてストーリー性が薄すぎる……こんなんでどうやって完結させろと?…………がんばるぞ!
「さあ、早速自己紹介をしてもらおうか。でも、ただの自己紹介じゃあいけない。グッと来るようなステキな自己アピールだ。君達はこの短い時間の中でいかに自分というものを表現出来るのか。……試されているのだよ。では頑張ってくれ」
「いきなり嫌がらせしてんじゃねぇよ野田!」
どうも、野田です。現在、部室にて新入部員を歓迎しております。
高橋に怒られちゃいました。
「二人しかいないのに困らせるようなことすんじゃねえよ!」
まだ言うか?
山崎さん達のちょっと無理した勧誘のおかげで来てくれた一年生は僅か二人!
ガタイのいい丸坊主の男子とガタイのいい短髪の女の子だけ!
やっぱ水泳って人気ねぇよ。
山崎さんかなり落ち込んでたね。
『あんなに頑張ったのに。恥ずかしかったのに』
って。
しょうがないよ、一年生には君の身体は刺激が強すぎたんだ。やっぱ君に見合う男は俺だけなんだよ。……とか言っとく。
町田が仲良くなってた一年も来てくれてねぇ。
『あいつら超ノリノリだったじゃないの……』
って。そんで町田ちょっと落ち込んでたな。
まあ、こいつらが入ってくれるから問題ないけどね。
「とりあえず自己アピールしてくれ」
「僕は一年二組の毛利といいます。昨日、うちの学校に水泳部があると知って入部しました。中学は水泳部に入ってました。好きな乗り物はビート板です」
一人称が“僕”ってとこに好感が持てる。合格!
マッチョだ。胸筋が反発ねぇぞ。Aカップぐらいあるんじゃね?
コイツはなかなか水泳が好きだと思われるね。最後ちょいスベったけども。
「アタシは一年六組の藤森瞳です。アタシも昨日水泳部の存在を知りました。初心者ですが、よろしくお願いします!」
この子は、背は俺より低いけど女の子なのにガッチリしてんなぁ。肩幅広いし、お尻固そー。
「そんな堅苦しい挨拶なんてしなくていいって。もっとフランクに喋ってちょうだい」
俺は部長らしくそう言った。
そしてあることに気付いた。
「君達は山崎さん達の水着に釣られたわけではないんだね?水泳部があることを知らなかっただけなんだね?」
「「そうです」」
「だそうです、山崎さん」
「…………そうみたいですね。自分がしたことが急に恥ずかしくなってきました。物凄く」
山崎さんったら顔を真っ赤にして机に突っ伏しちゃったよ。
こーゆーとこが堪らなくカワイイだよ!
「毛利くんって胸筋凄いねー!私よりあるんじゃない!?」
「えっ……え!?」
「町田はいきなり困るようなこと言うんじゃないよ!」
「高橋だってその無駄に長細い身体どうにかしなよ!毛利くん見習って筋肉付けなよ!」
「そんなこと言うなら町田も山崎さん見習ってその貧相過ぎるおっ……」
「それ以上言うと大変だよ!てか普通女の子に向かって言う!?」
「町田になら言えるね!」
楽しそうだな二人とも。後輩が出来てそんなに嬉しいのか?
「喋る事って?……部長は僕の趣味とか知りたいですか?」
「興味があると言ったら嘘になるけど教えておくれ」
「……特にないんですが敢えて言うなら筋トレです」
見ればわかるよ。
「藤森さんは?……あ、私の名前は山崎っていいますっ。よろしくね!」
「はいっ!アタシは……スポーツ全般大好きですね!」
「私はその逆!運動超苦手っ!」
「そうなんですか!?」
「でもプールは大好きなんですよ〜」
「アタシ、本格的に水泳やるの初めてだからすっごい楽しみなんですよっ!」
「いいねぇ!楽しいよぉ!」
なんかいいねぇ〜。すぐ仲良くなりそうじゃない。
「毛利、俺達が引退したらお前が部長だからな!頑張れよ!」
「気がはええっすよ先輩!」
二人とも感じのいい後輩だな。変に生意気なのじゃなくてよかった。
そんなことより……
「武さん?もうちょっと後輩に興味持ちませんか?」
「え……別にいいよ」
おい!
ちきしょう!また人物増えた……どうせフルに活用することなんてできんのにね