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第106話 キャッチコピーの有無

「夏だ!水着だ!今こそ水泳部だ!」


「だせぇ!」

どうも、野田です。


「高橋、それは激しくだせぇ。やめろ。てか自分で言ってて恥ずかしくねぇのかよ」

「俺は良いと思った事しか口にしてないぜ」

今、部員勧誘の為のフレーズ考え中〜

高橋のセンスの無さに俺ア然。


「もっと、こう一言で一年生の心をがっしりわしづかみしちゃうようなキャッチーなフレーズ考えろよ!」

「そう言うなら野田も言ってみろよな」

「いいぜ……“今年の夏はコレで決まりッ〜プールサイドのマーメイド〜気になるあの子を悩殺しちゃえ!”」

「だせぇ!というかそれ以前の問題だよ!水泳部関係ねえじゃん!どこのギャル系雑誌だよ!」

突っ込むねぇ。

「プールサイドのマーメイドってフレーズは語呂も良いと思うんだけどな」

「だからそれ以前の問題だって言ってるだろ。ふざけてるとしか思えねぇだろ!」

だってそのつもりだもん。


「じゃあ山崎さんは?」

俺は山崎さんにも聞いてみた。


「私?ん〜〜〜、“この乱世にQuick、Turn!〜夏の視線をヒトリジメ〜”」

「山崎さんまで!?乱世関係ねぇ!しかもまたギャル系雑誌じゃん!ふざけてるでしょ!」

「……ボケなきゃだめなんじゃないの?」

「そんなシステムにはなってません!」


乱世にQuick、Turn!……なかなかキャッチーなフレーズじゃあねえか。さすが山崎さんだぜ。意味わかんねぇけど。


「真面目に考える気ないでしょ!だったらもう俺のでいいじゃん!」

「えっと〜夏だ!花火だ!ってやつだろ?」

「花火関係ねぇよ!」

「冗談やて、でもやっぱダサいって。却下」

「そうかよ……じゃあなんか案ある?町田?」


「えっ、私の聞きたい!?私は〜……“初心者大歓迎!私達と一緒にチョー気持ちいい夏の思い出作りませんか?”……どう?」



うわぁ〜〜、1番酷いわ。

センスが高橋レベルじゃん。

しかも使っちゃったよ。北島さんのアレ。

寒い寒い!怖ぁ〜。


「却下!」

「なんで!?」

「理由を聞くといろいろと落ち込むと思うけどそれでも知りたいかい?」

「……ならいいです」


町田も酷かったな。なら後は……

「武さんはどうだい?」

「こんなこと考えてる事自体ひじょ〜に無駄だと思うんだけど。キャッチコピーとかフレーズなんている?」


あ、それを言ってしまいましたか。


「そうだよね、千代美ちゃん」

「冷静なのは武さんだけだったな」

「こんな馬鹿馬鹿しい事考えてる暇なんてないよね」


三人とも急に冷めたな。



「フツーに地道に呼びかけしていこうか」

気を取り直して俺はそう言った。

「だな」

「今回は俺もちゃんと協力します」

土屋先生が怖いしね。

「当たり前だろ。武さんと山崎さんもだからね!」

「私だって今回は頑張るつもりだよっ!」

「努力しようと思うけど……」


山崎さんもやる気十分だね。


「ということで私達、水着で勧誘しようと思うっ」


なんだって?山崎さん?


「だってフツーにやってたら絶対に入ってくれないよ?生ぬるい事なんかしてないで攻めなきゃ!」


どうしたんだ山崎さん!


「やめなよ!」

俺はちょっと強めに反対した。

確かに校内を水着で歩き回るなんて、最強の宣伝だろうけども……

山崎さんが自分の意志で言い出した事でも、俺は山崎さんが他の男に色目使われるなんて堪えられん!

絶対無理だ!


「水泳部なんてこれぐらいのことしないと入ってくれないよ。私達やるからねっ」

確かに水泳なんて人気ないだろうけどさぁ〜。


「ねぇ、その私達ってのには私は入ってないよね?」

「何言ってるのっ?千代美ちゃんも仲間だよっ」

「えッッ!?」

「もちろん町田もだからねっ」

「え〜〜〜」

「嫌がらないのっ。恥ずかしいと思うけど良い機会だからさっ」

「「良い機会ってなによ!」」


俺も二人と同意見だ!

何だよ良い機会って!

どうしたんだい山崎さん!?やる気出す方向間違えてるだろ!

普段からぬるま湯に浸かった生活してるから、いざ頑張らないといけないときにやり方を間違えてしまうんだな!?

そうなんだな!?

なんだよそれ!

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