不測の事態への対処で仕事の出来は変わるってもんですよね? 96
長らくお待たせして申し訳ありませんm(__)m
あとがきに新作のお知らせを載せておりますので宜しければご覧下されい(≧∇≦*)
第一章 九二話
「フフフ....そうだ、お前達の想像通り“六翼の神鳥”の核は儂が既に死んだと判断したであろうな? ヤツはもう復活していてもおかしくないぞ? それに....恐らく復活して最初にする事は....儂の死を確認する為にこの場に駆けつける事だろうよ?」
ランスロットの放った言葉はこの場にいる人間達に様々な衝撃を与えた。ここに居る者の中で、直接六翼の神鳥を見知って居る者は一人も居ない。
だが、その存在するだけで周囲に振り撒いてしまう凄まじい害悪を知らない者は...この中ではカズミだけだ。
「ちっ!! もしやさっきの“龍翼魔鶏”の群れは“六翼の神鳥”の眷属か?」
「なる程...そこそこ頭は回るか...メルローズ家の小倅よ」
「うるせぇ!! 面倒事ばっかり増やしやがって!! ヴィクトール師よ、こいつの監視は任せる! 俺は急ぎフェルディナンの所に戻って協力を頼む! 事が事だ! ヤツも嫌とは言うまい! それと...カナタ!! 聞こえるか? 今どこに居る?!」
自身に付き従っていたドローンオウルを通してカナタを呼ぶ。
『グラブフットさん、僕は今グランヴィアの上空7000Mに居ます。これから降下して合流する予定です』
反射的に頭上を仰ぎ見たが、当然彼の姿など見えはしない...
「!?何故そんな所に...いやそれよりも...マズい事態だ...恐らくだが...六翼の神鳥がグランヴィアへ顕現するかもしれん!!」
一瞬の空白...の後カナタから奇妙な質問が帰って来た。
『...なる程...ひとつ教えて下さい。そちらは既に日が沈んでいますか?』
「そんなのとっくに...いや? おかしい?! 日は確かに沈んでいるのになぜこんなに明るい?」
『分かりました...すぐ向かいます!』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ミネルヴァ!! 今すぐ“倶利伽羅竜王”を封印!! 現状の魔 力集積率は?」
「封印空間を形成すると、数回の“ムーヴ”が精一杯です!」
「構わない、今は現場に行って事態を把握する事を優先する!」
「了解! 封印空間を形成します!」
ミネルヴァが即座に空間強度を優先した封印空間を形成する...正直、“神獣召喚”を維持し続けるのは魔力を食いすぎるし、吸収相手がいない状況で何時までも維持するのは不可能だ。
「...封印空間形成完了! 『封入!』」
ミネルヴァの詠唱と共に、足元の倶利伽羅竜王はその姿を薄れさせていく...同時にミネルヴァから...
「...地表に座標の設定を完了! 跳べます!」
「“ムーヴ”!」
僕たちは7000Mの高空から即座に地表に転移した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
地上に“転移”した僕達は、グラブフットに頼まれてすぐさま“絶対なる光を纏う者”フェルディナン・ド・クレオール枢機卿の元へ転移した。
「フェルディナン!! 」
「...グラブフットか! コレは一体どういう事だ?? この付近の“魔力”が“励起発光”を起こしているぞ?」
グランヴィア周辺は、本来なら既に夕闇に覆われている時間帯の筈なのに、薄い明かりを維持したまま夜の帳に抗っている。その様子はもっと緯度の高い地域で起こる“白夜”のようだ。
「フェルディナン! マズい事になってやがる...」
グラブフットが説明する内容を聞きつつドローンオウルを経由して聖堂内にも情報を共有する。全ての説明を聞いたクレオール枢機卿は...
「...何という事だ」
相変わらずその表情は兜に遮られて見えないが、その声には明らかに焦燥感が滲んでいる。
「ごちゃごちゃと相談している暇はねぇ! フェルディナン、お前たちにも協力してもらうぞ。このままじゃあグランヴィアは人どころか草木一本生えない荒野になっちまう!」
どうも様子がおかしい...自らの目的の為に三首の神獣の封印すら躊躇なく解いた男が“六翼の神鳥”の顕現にここまで慌てるとは…
{ミネルヴァ、 六翼の神鳥とは一体どんなヤツなんだ?}
{六翼の神鳥は、周辺七大国に伝わる“三柱の神獣”と呼ばれているエヴォリューションモンスターの一体です。最後の目撃例は212年前に遡ります。現状判明している詳細スペックはARに出しますが、最大の特徴は体内に取り込んだ魔力を変質させて特殊な毒性を帯びた咆哮を吐くことです。ブレスの威力はすさまじく、ライリング王国には現在も南北25km 最大幅7kmに渡る峡谷が穿たれています。峡谷の内部は解析すらままならない猛毒の嵐が吹き荒れ、200年以上たった現在もその最深部がどの程度の深さかすら判明しない有様です}
{...凄まじいな}
{厄介なのはブレスだけではありません。六翼の神鳥はその翼を広げて飛翔している間、“神の毒灰”と呼ばれる微粒子物質をまき散らします。これは吸い込んだり触れたりする者にあらゆる状態異常を引き起こし、死に至らしめる猛毒です。しかもこの微粒子は周辺地域の環境を著しく蝕みます。唯一の救いはブレスと違って効果の持続性が3年程度だという事ですが...}
{...今回の場合には何の救いにもならない...か}
ミネルヴァとの念話で、ある程度メギラガロンの詳細は掴めたが...どう考えても今の自分の残存魔力では対処のしようがない...
{ミネルヴァ、メギラガロンの顕現を阻止する事は出来ないか?}
{...現状で取り得る手段では不可能です}
{そうか...参ったな...正直、尻尾を巻いて逃げ出したいよ}
{...主殿の安全を最優先するならばそれも一つの手段かと...}
{...言いたい事は分かる。だが...それは本当に最後の手段だ。それに...その時は必ず全員を連れて行く!}
{...かしこまりました}
気がつくと...その場に待機していたアローナとシドーニエがこちらをじっと見つめて、何かを言いたそうにしていた。ミネルヴァと念話でしばらく黙っていたので不安になったようだ。視線をあげたと同時にアローナが話かけて来た。
「カナタ...不甲斐ないが私達の力では六翼の神鳥の神の毒灰を防ぐ術はない。なんとかカナタの力で全員を逃がす事は出来ないだろうか?」
『私からもお願い致します』
アローナ達に付けていたドローンオウルから突然の声...それは聖堂の中に避難しているマレーネからのものだった。
「マレーネさん...」
『状況は聞いておりました...我々の為にしてくださった事には感謝の言葉も有りません。ですが...これ以上はカナタ様のお力でも被害は避け得ないかと存じます...これから先、私をはじめグランヴィアの民は必ずあなた様に報います!!ですから...せめて子供の居る者だけでも...お願い致します!!どうか!』
けして大声ではない、だが心の底から溢れた悲痛な叫びを聞いて...暫く思い出していなかった両親達の最後を思い出す...
「マレーネさん。約束しましょう。ここに居る者全員、その命は必ず助けます! そして...この地を不毛の場所にはさせません!!」
『カナタ様...』
そう宣言する。マレーネだけでなく全員に聞こえるように...その宣言を聞いて、その場にいるアローナやシドーニエはその表情に力を取り戻す。不安と焦燥は消えはしないが...立ち向かう気力だけは奮い起こす事が出来たようだ。
「グラブフットさん!! メギラガロンが顕現する迄の猶予は?」
突然の質問。だがグラブフットは待って居たとばかりに...
「まかせろ!...と言いたい所だがこればかりはな...周辺の魔力の感じとギドルガモンの顕現した時の様子から考えたらいつ顕現してもおかしくないが...まあ最長でも猶予は1時間もないだろうよ。それでも...やるのか?」
「...当然です!! クレオール枢機卿、一度助力を断った手前頼みにくい事ですが...」
「構わん!! 事が“三柱の神獣”と“ヤツら”の事であれば是非もない!! この場だけは...“絶対なる光を纏う者”が最大の助力を約束する!」
「仕方ないわね...あたしも手を貸してあげても良いわよ?」
突然の声...そこには、“黒猫を連れた少女”が忽然と現れて居た。
「...あなたも大概“神出鬼没”ですね。あなたが何者かは...僕には分かりませんが、あてにしても?」
「このままほっとく訳にもいかないじゃない?とりあえず私の要件は棚上げにしとくから...後で話は聴かせて貰うわよ?」
小柄な体で大きな事を...だが、
「分かりました。...“最後のA”を切ります...」
いつも読んで頂いている皆様ありがとうございます。
新たに見つけて読んで下さった方は、是非今後とも宜しくお願いします。
実は新作を同じ“なろう”にて発表させて頂きました。タイトルは
『マシニングオラクル “AIが神を『学習』した世界”』
です。宜しければ覗いてみて下さいm(__)m
それでは...今後とも応援よろしくお願い致します。
批判や誤字・脱字のご指摘も絶賛受付中ですので何卒よろしくお願い致します。




