仕事の準備を怠らないのは・・・大人として当然ですよね? 72
遅くなって申し訳ありませんでした。
少し体調を崩しておりましたが復調しつつあります!
出来るだけ頑張って更新してまいりますので、どうぞ見捨てないで下さいます様に宜しくお願いします<m(__)m>
第一章 六八話
グランヴィアでアローナ達との合流を果たした翌日、奏多はグラム神聖国に繋がる街道がある北側の城壁を確認していた。そばには領都の現状を説明して貰う為に、ライモンドと防衛戦略の相談をする為にヴィルヘルムが同行している。
他の面子はギルムガン兵の撤退を指揮しているアローナ達を始め、領都内の非戦闘員を一時的に領都の中心地に避難させているマルグリットや、それを補佐するヒルデガルド達など、それぞれに準備を始めている。
アルバ地方は、七大国大戦の後に、グローブリーズ帝国からグラム神聖国に割譲された土地だ。
当然と言えば当然だが、大戦当時の領都グランヴィアは戦争の最前線であったのだが、グラム神聖国との戦争より以前に三ツ星の神獣の襲来にあったグランヴィアの城壁は壊滅的な打撃を被っていた。
ギドルガモンの襲撃以前は、その周囲を高さ5m程の城壁で囲まれた城郭都市として機能していたグランヴィアは、修復中だった城壁にグラム神聖国との戦争で完全にとどめをさされた。結果、現在の領都を囲む城壁は一部を除いて申し訳程度の改修が施されるに留まり、その機能は、ある程度の魔物の侵入を防ぐのが関の山だ。
その改修も・・・・一転して敵国となったグローブリーズ帝国側が主な防衛方向となった為、今回の戦場として予想される北側は更に貧相な土塁が散見される程度だ。
「なる程・・・・いくらアルバ地方が実入りの少ない領地だといえど、コレは酷い。この地を任されていたジェローム枢機卿は余程ケチだったのですね....」
僕の率直な感想を聞いたライモンドさんが顔をしかめながら答える。
「まあそうだな。確かにヤツはケチだったといえるかもしれんが・・・より実態に近いのは“此処に興味が無い”ってのが一番しっくり来る表現かもしれんな。」
「と言うと?」
「奴は確かにココの領主を任されていたが、本来の奴の領地はアルバ地方の北東側にあってな、今回のギルムガンの侵攻時にはたまたま視察に来ていたが普段は殆ど領都には居ないのさ。領地の管理は代官に任せっきりでな」
「なる程、本当に“絞り取る”以外の事はする気も無かったのですね・・・・」
僕らの会話を聞いていたヴィルヘルムが盛大に歯ぎしりをした。
「ふん! ジェローム枢機卿の事は今はいい。その内たっぷり後悔する事になるだろう。今はこの城壁をどうするかだ。カナタよ、昨日の合議で言っていた事だが・・・・本当に出来るのか?」
「それは・・・まあ大丈夫でしょう。ほら戻って来ましたよ」
僕の言葉を受けてヴィルヘルム達が視線を上げる。そこには・・・・無数のドローンオウルが舞い降りて来ていた。
{主殿、必要な魔法陣の設置が完了致しました。}
{ありがとう。ドローンオウル達を回収してくれ。}
{了解致しました。}
ミネルヴァの返事が帰ってきた瞬間に、頭上を旋回していたドローンオウル達が次々と姿を消していく。その姿を見たライモンドが、
「俺は魔法の事はさっぱりだが・・・・今消えていったフクロウが全部お前さんの使い魔なのか?」
「・・・・そうですよ。今消えていったのは、策に必要な準備を終えたので召喚を解いたのです。」
「そ、そうか・・・・で準備が済んだなら・・・・今からやるのか?」
そう尋ねて来たライモンドの言葉を聞きながら、僕はモノクルに表示された一つの光点を確認していた。
{ミネルヴァ? これは・・・・グラム神聖国の斥候かい?}
{恐らく・・・・ 領都より一定の距離を置いて散開していた数人のうちの一人がこちらに近づいております。相手は認識阻害魔法を行使しつつ接近中、一人です。接敵までおよそ3分です}
{分かった}
「お二人とも心構えをして下さい。もうすぐここにグラム神聖国の人間がやって来ます。ヴィルヘルムさんはライモンドさんの護衛を宜しく」
「ふん・・・・なる程、確かにごく微かな魔力の揺らぎが近づいて来ているな・・・・まあいい、俺が手伝う程でもなかろう?」
「ええ、任せて頂いて結構です。」
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数分の後・・・・認識阻害魔法を行使しながら近づいて来た誰かが20m程先で止まる。いきなり攻撃して来ない程度の慎重さは持ち合わせている様だが・・・・今の状況を考えると当然油断は出来ない。見る限り向こうから動く様子も無さそうだが、こちらもゆっくりしていられるほど時間に余裕は無い。
{ミネルヴァ、領都中心地に施したエンター7への避難状況は?}
{完了しています。ギルムガン兵もアローナ様達の指揮の下、すでにギルムガンへ抜ける街道をかなり進んでおります。多少領都内に流れ弾が飛んでも被害は最小限かと・・・・}
{分かった。魔力の並列化と同期化を頼む}
{了解致しました}
「そこにいらっしゃる方、御用でしたら伺いますよ」
瞬間、僅かに魔力が揺らめき、濃紺の刺繍が施されたローブを目深に纏った人物が姿を現した。
「・・・・俺の認識阻害魔法を見抜くとはな・・・・お前何もんだ? ギルムガンのもんか?」
「僕は・・・・今はアルバの地の解放に手を貸している一魔法使いですよ」
「ふん! そんなごたくを信じるかよ! 」
「そういうあなたこそ何者です?グラム神聖国の方だというのは分かりますが・・・・」
「・・・・そんなの言う訳ないだろう?! お前何考えてんだよ?」
何か釈然としない・・・・まあいいだろう、彼には伝書鳩になって貰おう。
「まあ、アナタが何者でも構いません。ここで起こった事を正確に伝えてくれさえすれば・・・・」
「は?! 何を言って・・・・」
{ミネルヴァ、準備はどうだい?}
{完了しております。今回はギルムガン兵と違って強制連結の必要がありませんので楽でした}
{なる程・・・・始めてくれ}
{了解!魔力回路を連結します・・・並列化&同期化・連結完了! 魔力構造式展開! 指定形状確定! 指定元素変換準備完了! }
「てめぇ、何黙ってやが・・・・」
「 元素結集変換構築! 」
男が言い終わるより早く・・・・スキルの詠唱をする。瞬間的に領都に施した結界内の住民達から魔力が集まり、領都の外周に沿って設置した魔法陣が眩い光を放って反応する。次の瞬間・・・・男の眼前には想像を絶する光景が広がっていた。
「な! な! なんじゃあぁーーこりゃーー!?」
スキルの発動に伴う輝きがおさまると・・・そこには、領都の防御壁だったみすぼらしい土塁は跡形もなくなり・・・・
代わりに領都全周を囲う、人の身の丈の10倍はあるだろう“黒灰色の石壁”が、まるで“100年前からそこに在った”かの様にその威容を誇っていた・・・・
毎度の不定期更新で申し訳ありません。いつも読んで頂いている皆様ありがとうございます。
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最近では、更新の度にじわりじわりとブックマークや評価を頂き、見つける度に小躍りして喜んでおります。
アジャはなろう基準で、まだまだ底辺の近くをウロウロしている駆け出しですが、期待していただいている皆様に後悔させない様、これからも精進していく所存です。
今後とも応援よろしくお願い致します。
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