表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トランスファー “空間とか異次元とかってそんなに簡単なんですか?”  作者: 鰺屋華袋


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/102

難しい仕事ほど・・・断れないしがらみがあるもんですよね? 71

       第一章   六七話




 奏多がグラブフットの“生い立ち”を聞いていた丁度その頃・・・・



 グラム神聖国との国境にある平原では、駐屯している約2000名の兵士達が、一糸乱れぬ姿で整列していた。


 

 彼等の前には、即席で組み立てられた簡素な台があり、そこには白銀の全身甲冑を纏った男が立っている。



 その姿を言葉で表すなら・・・・“でかい”その一言に尽きる。恐らく身長は2mを超える。だがでかいのは身長だけの話ではない。身体全体を構成する全ての()()()(ことごと)く大きいのだ。



 今回の紛争鎮圧の為に、グラム神聖国が送り込んだ部隊の指揮官、“絶対なる光を纏う者(グランドグリッター)”ことフェルディナン・ド・クレオールは、兜もとらずその台の上に立ち、眼前の一糸乱れぬ整列を見せる兵士達を一瞥すると・・・・おもむろに声を挙げた。



「神の秩序を保つ者達に告げる・・・・」



 全ての兵士にハッキリと伝わる“凄まじい()()”であるにも関わらず、その言葉は驚く程“()()()”に響いた。



「今まさに、我々は(いくさ)に赴く。我等の行いこそが約束された神の祝詞(のりと)であり、理不尽に奪われた神の地に()()を取り戻す(くさび)となろう! 聞け! 神の子らよ! 今こそ民の祈りが正しく届き、“あらゆる理不尽が長く存続する事”は不可能であると証明するのだ!!!」



「・・・・ウオオオオオオオオオオオオォォォーーーーー!!!!!」



 一拍の後・・・・全ての兵士から歓声が上がる。指揮官の能力として、求められる資質は数多くあれど『士気を上げる』事に関して、彼程の人間はグラム神聖国にも二人と居ない。



 そして・・・・兵士達の背後で“その様子”を眺める数人の男女がいた、全員がローブ姿で騎乗して“絶対なる光を纏う者(グランドグリッター)”の姿を眺めている。その中でも“一際小柄”な、紫の刺繍が入ったローブ姿の人物が、誰に聞かせるともなく声をあげた・・・・



「相も変わらず、デカい声ですわね・・・・」



「まあ、『声がデカい』事は()()には必須の技能ですから・・・・」



「ちょっと待てよ? それじゃ兄ィは『声がデカい』事で頭首に収まったみてぇじゃねぇか! 」



「そうは言ってませんよ。まあ・・・もしそうだとしても驚きゃしませんが・・・・」



「何だと?」


 

 瞬間的に、濃紺の刺繍を纏ったローブ姿の男から“濃密”で“鋭利”な魔力が漂い始める。



「やめんかガスパール! 心配せずとも頭首の事は皆が敬愛しておる。サルダン! 貴様も余計な軽口を叩くでないわ! 全く・・・・お主等と来たらもう少し()()()()事は出来んのか・・・・儂は子守に来た訳ではないぞ!」



 そう言って全員を諫めたのは、“暗赤色の刺繍”が入ったローブを纏う男だった。その姿はローブに隠れて確認出来ないが、絶妙に“枯れた雰囲気”を漂わせた声は、相当な人生の年輪を感じさせる。



「だけどよ師匠! サルダンの野郎ときたら普段から頭首に対する・・・・」



「・・・・ガスパール、師の(おっしゃ)る事が聞こえませんでしたか?」



「ちっ・・・・分かったよ。」



「サルダン、貴方もです。」



「勿論、異論ありませんぜ姐さん。」



「・・・・貴方とは一度ゆっくり()()()必要がありますね・・・・師よ? 戦場の()()は予定通りで宜しいのですか?」



「うむ・・・・フランソワーズの言うとおり戦場の()()は変わっておらん。我等は先んじて戦場に赴き、()()をせねばならんのは全員分かっておるな?」



 全員を代表して・・・・フランソワーズと呼ばれた、紫刺繍のローブを纏った女性が答える。



「ええ、委細承知で御座います」



「・・・・ならば行くがいい! 行って成すべきを成すのだ!」



「「「おう!」」」



 師と呼ばれた男の号令を受けると・・・・その場に集っていたローブ姿の者達は、それぞれ馬首をめぐらしてその場を離れていく。



 その後ろ姿を見送った後、兵士達の方に向き直った男は・・・・早ければ数日後には戦を控えているにも関わらず、今回の()()()()()()に見え隠れする・・・・“アルバ地方に居座る者達とは違う勢力”について思いを巡らしていた・・・・



「47年・・・・か、既に50年近くもの()を費やしてなお()()()との決着も着けられず、()()()な些事にかまけねばならんとは・・・・やはり私には貴方様の残したお言葉は重う御座います・・・・メルローズ卿」



 誰にも聞こえない声でそっと呟いた男は・・・・自らも馬首をめぐらすと、現在の主である白銀の騎士と合流するべくその場を離れていった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 グラム神聖国には、その()()()()の都合上、周辺の国に比べて優秀な魔法使いが多くいる。



 これは“()()()()()”である者とは別に、『実務上の問題として』事情を知らない者でも“()()()()”には優秀な魔法使いが必要である為で、必然的に今回の軍にも200名近い魔法使いが帯同している。



 その中には、当然・・・・先程この場を離れていった様な“超越者級(オーバーローグ)”は別としても・・・・()()()が多数いる。当たり前だが軍が駐屯している以上、周辺の警戒は必須であり、その任務は“広範囲の索敵を魔法によって行える”彼等が担っているのだが・・・・



 彼等の()()()()()()()()()にも関わらず、その姿を()()()()()()()()存在が複数存在していた。



 一つはミネルヴァが放ったミニミネルヴァ(ドローンオウル)達で、彼等は索敵魔法を認知した瞬間に、その存在自体を“簡易発動”出来る様に設定した“テンプオーダー”内に転移する事で敵の索敵を逃れていた。



 そしてもう一組・・・・駐屯部隊の北側、彼等を見下ろす位置にある丘の上に居たのは・・・・この世界では、ごく一般的な旅装に身を包み、一匹の黒い猫を連れた若い女性である。



「ねぇ、又三郎? さっきの大勢の前で大声を()()()()()()のが“先代”の子孫達なわけ?」



「ああ、あそこに居るのは、極一部ではあるが・・・・先代“原初の守護者(ファーストブレイカー)”の子孫に間違い無い」



 それを聞いた一生(かずみ)は・・・・心底()()()()した様子を見せた。その様子を見た彼女のお供、“生態補助機械(バイオツール)の又三郎”は、



「先代の子孫はそれこそ“世界中に散っている”んだが・・・・俺達の『調査対象』が居る可能性が高い“アルバ地方”と敵対してるとは少々予想外だったよ」



「その“調査対象”とやらは・・・・えっと、三首の神獣(ギドルガモン)だっけ? そのモンスターを撃破したんでしょう? また何でわざわざ()()()()と“対決しよう”なんて思ったのかしらね?」



「うーん・・・・正直な所、この世界に生きる存在達にとって『エボリューションクラスのモンスター』と関わって()()になるような事って殆どない筈なんだよ。確かにそれぞれのモンスターを倒した時に付与される“討伐特典”は、個体に対してとても“大きな力”を与えてくれるが・・・・そもそも『エボリューションクラスのモンスター』を倒す様な技量を“元から持っている”としたら・・・・この世界で成せない事なんて、ほぼ無い筈なんだよなぁ・・・・」



 確かに私にも想像がつかないけど・・・・



「まあ私が言うのも何だけど・・・・前に居た地球(トコ)じゃさ、私なんかには想像も出来ない様な“大金”を持った人達が居たよ、それでさ、私から見たら“使い切れない程の大金”を手に入れたら・・・・さっさと仕事に見切りをつけて遊んで暮らせば良いじゃない! って思うわけよ。でもね、そんな人程・・・・お金持ちになればなる程、余計に仕事にのめり込んでた気がするなぁ」 



「・・・・つまり僕らの調査対象は、“欲望の対象”が、“力を得る事()()()()”になっている可能性が大きいと?」



「まあ、決めつけるには“相手の事が分からな過ぎる”し、“可能性の一つ”くらいに思っとけば良いんじゃない? 所で話は変わるけどさ? えっと・・・・三首の神獣(ギドルガモン)だっけ? スゴい名前よねぇ・・・・正直センスを疑うわ! 名前を付けるとき誰も反対しなかったのかしら? 」



「俺からすれば・・・・君が“他人のネーミングセンス”に()()を付けるのは・・・・どうかと思うけど?」

 

 毎度の不定期更新で申し訳ありません。いつも読んで頂いている皆様ありがとうございます。



 新たに見つけて読んで下さった方は、是非今後とも宜しくお願いします。



 最近では、更新の度にじわりじわりとブックマークや評価を頂き、見つける度に小躍りして喜んでおります。



 アジャはなろう基準で、まだまだ底辺の近くをウロウロしている駆け出しですが、期待していただいている皆様に後悔させない様、これからも精進していく所存です。



 今後とも応援よろしくお願い致します。



 批判や誤字・脱字のご指摘も絶賛受付中ですので何卒よろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ