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君はあるがままに なるように  作者: 風神RED
第七章 サムニウムの後始末
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頑張れイルミダ

仕事から帰ってきて3時間かけて書いてみた。思った以上に進まぬ。

バンドー邸の庭は今日も騒がしいのだが、午前中に行われる戦闘訓練はいつもと違う様相を呈している。


「アラカン! 」


神盾ゴッドブレス・アラカンの手綱を引き、盾を金色に輝かせながらフィーネは急上昇する。


「いつでもいいですよ? 」


左手はアラカンの手綱を引き、右手には騎乗用短杖のアレグロを持つフィーネは騎士の鎧は付けていないものの、臨戦態勢だ。上昇して機首を戻し、やおら斜めから降下してくる。


「そこ! 」


イルミダのダークブラウンの髪が揺れ、左手に手にした銃、愛称ツインズパイソンから閃光が走ると中空に向かって撃ち出される。その先にはアラカンを操るフィーネがいた。必中と思われたがアラカンの周囲から薄緑色の旋風が生じると閃光は相殺された。


「今更なんだが、アラカンって風防護ウィンドプロテクトで守られてるんだな……」


それがパッシブなのか任意で魔力が必要なのかまでは、判断が付かないが。右手を額に沿えながら上空を仰ぎ見て、バンドーはつぶやく。そう言えば、以前フィーネがそのような事を言っていた気もする。


「イルミダさん、どうしたんですか? すっごくやる気になって! 」


バンドーの側で同じように空を見上げていたカスミが声をあげる。


「昨日、言ったんだよ。第6位階まで覚えろってな」


フィーネとイルミダの模擬戦闘が行われる前まで、既にイルミダはバンドーとも魔法習熟度上げを行っている。よく魔力が持つものだと思うが、それも才能故かもしれない。”大魔導師の末裔””魔力増大””魔力回復強”持ちは伊達ではない。


今までは、サムニウム族としての思考が魔法行使にある程度の歯止めを掛けていたと言うか、自ら進んで魔法習熟度上げを望むまでには至っていなかったというか。言われるがままに訓練していた感じだったのだが、今朝のイルミダは違う。自ら進んで、模擬戦を行うなどこれまでにはなかった行動だった。


「バンドーさん! 」


「あん? 」


「なんか、バンドーさんがイルミダさんを見る目も優しくなってる気がします! 」


「そ、そうか? まあ、いいじゃねーか。目標を持つ事はいい事だ」


「むう~」


むくれるカスミをなだめながら、バンドーはイルミダを指差す。


「見ろ、あいつ器用な事やってんぞ? 」


「ごまかされませんよ?! えっ? ええええ? 」


見るとイルミダは左手でツインズパイソンを連射しながら右手で魔法陣を書いている。


「ありゃ、第5位階の爆炎エクスプロージョンだな。詠唱じゃなく魔方陣発動は慣れないと描く時間がかかるんだが……」


バンドーが、そう言った瞬間イルミダの姿が消えた。


「やるねぇ、そうきたか」


片眉をあげ、口笛を吹き鳴らしながら思わず拍手する。


「えっ? えええ? 」


カスミはまるで判っていない。


潜伏ハイドスキルやね」


いつの間に近くに来たのか、頭の後ろで手を組みながら、ユメが口をはさんだ。

瞬間、轟音。


アラカンが爆炎に包まれている。どうやらアラカンの纏う風防護ウィンドプロテクトはパッシブではなく、任意で発動していたようだ。


「ひゃい?! 」


フィーネの悲鳴が伝わってくる。ビブラートが掛かっているのは風魔法のせいか。


「あいつ、伝声ウィンドボイス切り忘れてやがる、ははっ」


第5位階の爆炎エクスプロージョンは詠唱を終えてから発動までに遅延が2秒ほどある。対人巧者はこの2秒を使って様々なフェイントを掛けるのが定番になっているのだが。


イルミダが潜伏ハイドを解き、すかさずツインズパイソンで射撃を行う。閃光を見るに、威力は絞っているようだ。


「どういう事ですか? 」


「こればっかりはカスミに説明するのは難しい。ようはターゲットを切ったんだよ。実際に1対1で戦ってみないと、これ以上は多分理解できない。」


「う~」


本来、魔法詠唱中にスキルを使うと呪文は中断される。何故イルミダは右手でわざと魔法陣を書いたのか?それはもちろん、フィーネに見せるためだった。今から魔法を撃ちますよと目に見えるように示した上で潜伏ハイドスキルを発動させる。フィーネは詠唱中断したと思い込んだが、実際は既に詠唱済みだった爆炎エクスプロージョンが2秒後に起動し、フィーネは防御の風防護ウィンドプロテクトを張るタイミングを逃して被弾したという訳なのだが。


「イルミダ姫さん、センスあるなぁ。でも潜伏ハイドて」


ユメがおかしそうに笑っている。どうやらユメのツボを刺激したようだ。潜伏ハイドスキルは盗賊クラスの最初に習うスキルなので、ユメにとっては妙な取り合わせに思えたのかもしれない。


「サムニウム族は山岳で日常狩りを行うからな。狩人クラスでも使うんじゃないか? 」


「あ~」


どうやらフィーネとイルミダの模擬戦闘も終わったようだ。フィーネがすすを払いながらアラカンを引っ張って駆けてくる。アメリアさんが両者に固有回復魔法のホーリーライトを掛けてくれたようだ。


ヘルミットが呼び鈴を鳴らしている。


「よーし、みんな。飯にしようぜ? 」


歓声が聞こえた。
























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