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君はあるがままに なるように  作者: 風神RED
第六章  元の鞘
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世間話とこれからの事

数日がたち、バンドー邸の屋根の上に人影が二人。バンドーとユメ。眼下では、フィーネとアメリアさんが戦闘訓練をしている。


「バンドー、・・その、連隊レジメントを立ち上げる気はないだろうか? 」


そう持ち掛けてきたのはアメリアさんだった。連隊レジメントとは、冒険者ギルド規定にある位置付けによるとパーティが複数集まったもので、パーティも連隊レジメントも共にギルドに登録して立ち上げるルールになっている。ひとつには、冒険者ギルド側が、冒険者の実態を把握しやすくするため。そしてもうひとつは、冒険者の名誉のため。


複数の人間によるパーティや連隊レジメントの方が当然、困難な任務をこなす事ができるし、こなした任務によって、王国や冒険者ギルドからも評価される。普通の冒険者は、余程の事情が無い限りどこかのパーティか連隊レジメントに所属しているものだ。


バンドーのように、一人で活動する方がおかしいのだ。ましてや、デスパレスをソロ50階層で潜るなど、常軌を逸している。一部の人間に、『素潜りの変態』などと言われる所以である。


「何で連隊レジメントなんだよ? 」


連隊レジメントをいきなり立ち上げる人間はまれだ。パーティからスタートし、徐々に規模が大きくなって連隊レジメント化するのが普通で、ティアの『星屑の光』もそうだった。ちなみにパーティとは、規模で言うと4~6人程度。連隊レジメントの最低設立人数は8人からとされている。とは言え最低人数の8人から連隊レジメント設立申請する事は滅多にない。何故かと言うと、パーティと連隊レジメントとでは冒険者ギルドから求められる、毎月の義務が倍以上違うのだ。有体に言うと、割に合わない。


「それは・・」


大体の理由は想像がつく。


「アメリアさん、俺は暴風騎士団の代わりかよ? 」


「っつ・・! 」


ずばり核心に触れられて、アメリアは、それ以上は言葉を続ける事ができなかった。この話は、そこで終わり、冒頭の場面に戻る。バンドーとユメは屋敷の屋根の上で座り込み、眼下を眺めながら言葉を交わしていた。


「なあユメ。」


「はいな。」


「お前は、何でここにいる? 」


ユメは頭をななめに向け、照れたように笑う。そして鼻に人差し指を当てると言葉を発した。


「うちなー、前に言わへんかったっけ? 」


「なんだ? 」


「がっつり来られると引いてしまうタイプなんよ。」


そう言えば、初めてバンドー邸に来た時に、そういう事を言っていた気がする。


「バンドーさんは、うちがいつ来ても、なんも言わんやろ? うちがおらんでも気にせえへんやろ? 」


そのくせ、うちに何かあったら、助けてくれるんやんね? そう付け加えながらバンドーの顔に自分の顔を寄せた。


ちけぇ・・」


やや赤面しながらユメを突き放し、反対方向を向くバンドーの後ろで、ユメの言葉は続く。


「うちには、この距離感がええんよ。」


強くて優しくて、少し遠くから見守ってくれてる感じ。


何を言ってるんだ、こいつは。バンドーは口を半開きにしながら、さりとて何を話していいか判らず。


「ええねんて、うちの妄想でも。でもな・・」


ユメも、気にする風も無い。


「うちも何かあったら、バンドーさんに命掛けるで。て、小学生の時にこんな事、よう言うたやんな? 」


「ああっ? 」


それから二人はしばらく、何も言わない。


こういう関係、昔子供の頃にあった気がする。ユメとではなく、仲の良かった女の子とだが。

恋愛感情でもなく、友達と言う訳でもない。もっと深い何か。相手が何を考えているか判るというか、それとは矛盾しているが、何を考えていてもいい、というか。


「何となく判ったよ。・・ユメ。」


それからバンドーは、連隊レジメントについて、ユメに意見を求めた。まだ設立すると決めた訳ではないが、ユメなら客観的な意見を述べてくれる気がする。ついでに入る意思があるかどうかも聞く。


「ええよ。 」


ユメは、あっさりと肯定するのだった。


何故、アメリアさんを冷たくあしらったにもかかわらず、このような事を聞くかと言うと、実はアメリアさんに言われる以前に、バンドーは設立を考えていた事があったからで、ただし、それは連隊レジメントではなくパーティだったが。


正式にパーティを発足させれば、ギルドに届けなければならない。臨時に組んで、迷宮に潜るのとは訳が違うのだ。以後はギルドに登録され、報酬や特別任務もパーティ単位に交付されるし、勲功もパーティ単位で貯まる事になる。


何故バンドーがパーティ発足を考えたかと言うと、ひとつにはイルミダの身分保障であった。レイ教授に言い放った以上、イルミダの面倒を見なければならない。特に彼女には王国から戦犯容疑がかけられる恐れもあったし、他の冒険者の目もある。冒険者と同様に、パーティにもランクがあって、ゴールドランクパーティともなれば、王国内でも見られる目が変わるのだ。無所属の冒険者イルミダと、ゴールドクラスパーティメンバーのイルミダとでは雲泥の差があると言える。


それともう一つは、それは世間の見る目であった。ネクストステージ・イルミタニアでは一夫多妻は有りなのだが、さすがにバンドーの屋敷の状況は、おかしい。好奇の目でみられつつあると言ってよい。


一冒険者の屋敷に、若い女が多数。同じパーティと言う訳でもなく、結婚している訳でもない。


しかも内訳が王国の王女に純血エルフ騎士。迷宮で助けた若い女二人に反乱を起こした部族の姫。最近になって謎のメイドも増えたとあっては、そっち方面に鈍感なバンドーも考えずにはおられない。


最低、同じパーティなり連隊レジメントのギルドハウスという形くらいは取った方がよいのではないかと、愚考したのだった。


「なあ、バンドーさん。でもカスミちゃん、『星屑の光』に入ってなかったっけ? 」


「あっ?! 」


ティアに話を通さないといけないし、カスミの意見も聞くべきだろう。でないと大変な事になりそうな気がする。


「・・もうちょっと考えるわ。」


バンドーは、そう言うと立ち上がるのだった。










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