レイの微笑み
ヴァンパイア・サキュバスという種を誰が造ったのかは判らない。いやひょっとすれば、レイ教授は知っているのかもしれないが、バンドーやティアは何も聞いていない。種族特性としては、ヴァンパイアが血を求め、サキュバスが精を好むのに比べ、魔力への執着が異常なまでに強く、魔力を食らいすするらしい。
とにかく、迷宮デスパレス深層55階層で出会ったミリアマリア(大人バージョン)はバンドーが所属していたパーティメンバーを蹴散らすとバンドーに襲い掛かった。文字通り。
「我が名はミリア・コルツ・ド・カルガリー。うれしいぞ、人種よ。そなたのような見事な魔力の器は初めて見る。」
その場でバンドーは引き倒され、愛おしそうに麻痺毒に侵されて動けぬ身体を撫でまわされた挙句、まあ、いろいろあったのだ。
「お兄様?! 」
余談だが、当時ゼノ式総本山の『月下桃華の峰』からデスパレスに出てきたばかりのカササギは、そのあまりの光景にショックを受けて後日パーティを抜け、育て親で魔法の師匠でもあるカトルの『紅蓮』に戻ってしまった。
以前、バンドーとカササギの間には、とある事情で隙間風が吹いている、と書いた事情とは、この事による。
「お前がフィーネを襲ったのか? 答えろ! 」
再び、バンドーはミリアマリアの肩を掴んで詰問する。
「知らない、知らない! 」
ミリアマリアは嫌々をしている。
(・・こいつ、本当に何も知らねぇのか? )
「まあ、昨夜はこの子、うちのギルドハウスにいたのは確かよ。」
「確か、種族固有魔法があったはずだ。」
「使えんよ。」
「へっ? 」
今まで黙って聞いていたレイ教授が、唐突に口をはさむ。
「ヴァンパイア・サキュバスの種族固有魔法は、獲物から奪った魔力に依存する。こやつは、幼生体に初期化されてから魔力を吸っておらんじゃろ? 」
初耳だ。そうなのか? いや、レイ教授が言うからには、そうなのだろう。
「・・・・と言う事は、どういうことだ? 」
「ふむ。恐らく、他にいるのではないかな? ヴァンパイア・サキュバスが。」
コンコンコン
執務室の扉が叩かれた。
「イルミダ・リンデン・サカエです。入ってよろしいでしょうか? 」
レイ教授に促され、ヒミカが席を立つ。程なくイルミダが室内に入って来た。
「失礼します。」
「バンドーよ、ついでにちと試したい事があるのだが、よいかの? 」
レイ教授は入って来たイルミダを招き寄せ、バンドーにそう言う。頷くバンドーを見るなり、イルミダに対して言葉を放った。
「サムニウム族の姫よ。お主のスキルで、この娘の種族固有魔法を見抜けるかの? 」
この娘とはもちろん、ミリアマリアの事。レイもスキル『深淵を探求するもの』に依存する鑑定眼を持っているのだが、彼の興味は他にある。イルミダが持っているはずのスキル、『大魔導師の末裔』や『イルミタニアの申し子』が、スキル『深淵を探求するもの』に何らかの影響を与えるのではないかと言う純粋な興味。
「よろしいですか? 」
やがて鑑定を終えたイルミダが申し述べる。
「闇精霊・麻痺爪・誘惑ですね。効果も言いましょうか? 」
それを聞いたレイの片眉がピクリと上がる。
「ふむ。」
イルミダの説明によると次のようになる。
闇精霊
取り込んだ不純魔力を精霊化し、操って襲わせる。視界も共有可能で、効果範囲、制御可能距離は保有魔力に依存する。
麻痺爪
あらゆる生物に効果がある、ヴァンパイア・サキュバスの固有攻撃。上位互換スキル有り。
誘惑
保有魔力依存の精神攻撃。相手の魔力保有量によっては抵抗される可能性もある。上位互換スキル有り。
「ほっほっほっほ、言ってみるもんじゃわい。」
「どうしたんだ? レイ教授。」
「内緒じゃ。」
この、クソジジイと言いそうになるがバンドーも精神は大人。実はレイは、見た事や知識として知っていないとスキルの効果までは鑑定出来ない。
「・・もういい? 」
ミリアマリアが涙目でバンドーに問いかける。
「ああ、いいぜ。悪かったな。」
途端に赤い小さな羽根が動くと、自分の席に戻り、笑顔でヒミカにじゃれついている。
ちなみにレイ教授によると、ミリアマリアは羽根で飛んでいるのではないらしい。飛行は魔力依存だとか。
「あっ・・」
小さく声をあげたのはイルミダである。
「バンドー様、先程フィーネ様をみかけたのですが・・」
部屋に入るなり、レイに呼び止められて忘れていたのだが、イルミダがギルドマスターの執務室にまで来たのは、そもそもこの事を言うためであった。最初の目的を思い出した彼女は、フィーネを見かけた事、消えてしまった事、痕跡すらなかった事等、自らが見た事を思い出す限り、バンドーに報告する。
「何だ、そりゃ? 」
「先程は判りませんでしたが、今なら少し理解できます。」
イルミダが言うには、自分が見かけたフィーネは実体ではない。恐らく、闇精霊に印をつけられたフィーネの魔力が記憶と共に、術者の元に吸引されているのではないかと。
何故判るのかと言えば、イルミダがミリアマリアを鑑定した結果得た知識がスキル『大魔導師の末裔』によって解析され、可能性ある答えとして脳内に浮かび上がったからなのだが、本人は自覚していない。
そんなイルミダを眺めながら、レイは口元に笑みを浮かべるのであった。
懺悔します。 すいませんでした。
私はへたれです。
昨年10月頃から書き始めて、初めて投稿した訳ですが、思いのほか見られる事になり。
なろうオタクの同僚からは、初めて書くなら週間ユニークユーザー100以上、ブックマーク10もいけば成功だよ。などと言われていたのですが、昨年末にはユニークユーザー500~600。ブックマークも40以上、頂いてました。一日のカウントも1000以上を越える事になり。
逃げました。怖くなって今年に入り、半年間も放置してしまいました。
何故? と問われると答えに窮するのですが、私は働いてはいますが、過去に2年ほど引き籠った経験があり、ようするに数百人の人間に、自分の作品を無言で見られている事が無性に怖くなったのです。
あっ、おひとりから感想を頂いてました(汗 うれしかったですオリエンタルさん。
それなら、なろうなんかに投稿するなよ! と。 おっしゃる通りです。
私がこの作品を書き始めた理由は、今まで他者の作品ばかり見ていて、それも異世界物が好きで、そればかり読んでいたのですが、どうも食傷気味になり。
ようするに、異世界を楽しんで、別にチートにこだわらずに、だらだらと楽しく過ごす作品を読みたいなと。そういう作品が無いのなら、自分で書いてしまえと。
そう思って書き始めました。もう自分の趣味のままに。
半年間、見にいきもしませんでした。けれどやっぱり書きたい。仕事しながら、ふと話の続きを考える自分がいる。そして結局、半年後に再開した訳なんですが。
昨日で再開して、およそ一週間。初めて週間ユニークユーザーが出ました。それも100越えの297人・・・・。
この感情を、どうやって言葉で表していいか。 ツンデレ小娘なら、きっと 莫迦ぁ(愛情表現) とか言ってる事でしょう。
すいませんでした。
それともう一つ、再開してから話のほとんどに(改 が付いているかと思いますが、実はちょっと全体的に見直しました。見直した箇所は、! や ・・ を統一したり、一マス空けたりルビを振ったりと、ちょっと見やすくした結果です。内容はほとんど変わってません。 あ ミリアマリアの身長を10センチ下げました。
以上、懺悔回 でした。




