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君はあるがままに なるように  作者: 風神RED
第五章 妖しい瞳に ご注意
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その判断が正しくても

ごめん、ちょっと短い。

話は3日程、さかのぼる。


窓の無い部屋であった。あるのは大きな鏡と、彼女が横たわっていた長椅子、それに他に豪奢なベッドも。明かりは魔法か何かだろうか? 光源の類はみられないが室内で読書ができるくらいの照度はあるようだ。

室内にはこうの香りが充満し、部屋のあるじはベッドの上で身じろぎもしない。


いや、僅かに口元を歪ませ、眉をひそませた事から意識はあるようだ。


わずらわしくもあり、でもそそられるわね。」


やおら目蓋まぶたを開くと、彼女は視線を中空に走らせる。まるで、天井の、その先を見据えるかのように。


やがて一か所のみある扉が開き、黒髪でメイド姿の可愛らしい少女が姿を現した。


「お呼びでしょうか・・? 」


「知っているわね? 」


主の問いかけに黒髪でメイド姿の可愛らしい少女、ヘルミットは答える。


「不法侵入者です。2名。いずれも名うての冒険者かと・・。」


ヘルミットの見つめる先、この部屋とその上に広がる神殿域の主であるアルシャンドラ・カルガリーは真っ赤な舌を出して唇を舐める。


「・・・・私の、かてになれるような子はいるのかしら・・? 」


上半身を起こし、右手を額に軽く当てた瞬間、彼女の背に見事な灰褐色の翼が現れる。右目の虹彩は金色、左目の虹彩は赤褐色の、そのヘテロクロミアが妖し気に光る。


「・・もう少しで私の魔力は満たされる。そうすれば、あの方にお会いする事ができるわ・・。」


彼女は創られた。あの方に。魔力を欲するあの方の為に。自らかてになる為に。


「神殿奥深くに誘導しなさい。・・私の可愛い、あの子たちを見られてもいいから・・。」


主の命令に黒髪でメイド姿の可愛らしい少女、ヘルミットは答える。


「御意のままに。」





パーティ名『音速』、リーダー名はナカジマ。そのパーティ名とリーダー名からも判る通り、メンバーは召喚者で占められている。所属する冒険者が召喚者だけというのもめずらしい。


サムニウム族討伐の折に作戦会議に招請されたことからも、メンバーは実力派揃い。少なくともゴールドクラスが所属している事が判る。そのメンバーの一人、ミヤウチはシヌーク教徒の神殿に侵入を試みていた。


彼のクラスはシルバー。職業は暗殺者。気配感知を怠らず、自らの気配は殺しながら神殿の奥へと進む。そして今一人、サポート役として魔法使いのアカリも後方から付いてきている。彼女の冒険者クラスはゴールドで、一通りの位階魔法と、無詠唱スキルの習得を終えている。


二人が何故ここに侵入を試みているかと言うと、話は少々長くなる。簡単に言うと、


依頼はギルド特命。昨今起こっている、高魔力保持者を狙った誘拐や通り魔の犯人捜し、及び情報収集をギルドマスターレイから命ぜられた事による。


誰一人いない神殿の祭壇裏に回り、隠された地下への扉を発見したところでミヤウチは判断を迫られた。すなわち、このまま突入するか否か。


閉ざされた未知の空間に更に降りるか、ここまでの情報を持ち帰って再起するか。冒険者にとっては、よくある決断の迫られ方といえよう。


「戻る。アカリ? マークを。」


すぐ側まで来ていた周知の魔法使いにミヤウチは声を掛ける。マークとは第6位階のゲートとセットになっている呪文で、位置情報をルーンに刻めば、遠方からゲート魔法で瞬間移動することができる。


「優秀過ぎるのも、考えものね・・。」


声がした。いつの間に現れたのか、アカリの背後に人影が。


(後方? 馬鹿な。気配感知最大でここまで来たんだぞ?! )


「・・まあ、でもいいわ。吸収が楽しみ。耐えうるなら飼ってもいいし・・。」


既にアカリは『エナジーフィールド』を唱えつつ、後方に飛んでいる。そしてミヤウチは、漆黒の苦無を投げつつ、スキルを展開する。


「疾走七輪! 」


アカリが無詠唱で唱えたエナジーフィールドは第5位階の呪文。第3位階のストーンウォールの上位版で魔法力場が敵の行動を阻害する。ミヤウチが展開したスキル疾走七輪は暗殺者固有スキルで、火線が地上を放射線上に広がり、そしてそれは魔法の影響を受けない。つまりアカリが展開したエナジーフィールドを突き抜け、目標にした標的を捕える筈だった。


急激に上がった室温はもやを発生させ、水蒸気をまとった煙幕が覆う。


だが、変わらずそれはそこにあった。


「言っておくわ。私に魔法攻撃と物理は効かないの。 ・・まあ、物理はともかく、少なくとも位階魔法程度では、・・ね 」


ミヤウチの顔がゆがんだ。








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