表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君はあるがままに なるように  作者: 風神RED
第一章 ユメとカスミ編
6/134

夢の果て

バンドー君はデリカシーがないんです。そういう人、いますよね?

意外なことにユメは同意した。

いや、意外とか言ったら失礼か。改めてユメの冒険者プレートを確認したら、シルバー。中堅と言ってもいい。


「あれやん? テラスに抜けて援助を求めるって事やんね? 」


こいつは判っている。恐らくカスミの百倍理解している。


「そうだな。4階層から5階層に抜ける間には、洞窟が口を開けていて、通称テラスと呼ばれる広場がある。」


ジト目のカスミに説明するために、あえて付け加える。


デスパレス、4階層から5階層の間にかけて、ダンジョンの通路から別れるように洞窟が形成されており、その先には地下水が流れる川がある。飲み水確保が容易なことも手伝って、そこに広がる空間は、デスパレスのさらに奥に潜るための、いわばベースキャンプ的、存在となっている。


「いつもだと、この時間なら2パーティはキャンプしてる。運が良ければ、ゲート屋もいるかもしれねぇ。」


ゲート屋というのは、第6位階の移動魔法であるゲートを使って、希望があれば地上に送り届けてゴールドを得る、そんな商売だ。ゲートを覚えたばかりの冒険者がゲートの魔法習熟度を上げるための修行も兼ねて、やっている事が多い。


「それでだ。前衛は俺が務める。ユメは真ん中で、盗賊スキルを使って敵を探知したらすぐに知らせてくれ。カスミは、万が一、側面や背後から攻撃を受けた時に、シャドゥウィップで時間を稼いでくれればいい。」


問題は4階層のボス的存在。4階層から5階層に降りる階段の手前の広間には、この階層限定のボスが陣取っている。


双子リッチと、その取り巻き。バンドーひとりなら問題ないのだが、「魔法検知」スキルをもつ魔術師がパーティにいないので例えばスケルトンメイジが、その骸骨の身体を崩して待ち伏せしていても、見逃してしまう可能性がある。


一気に突破してしまうか?


バンドーがそんな事を考えていると、ユメが口を開いた。


「うちな~、カズヒロ君やマコト君にお別れしてないねん。」


ええやろ? ちょっとだけや。


盾戦士はマコト君と言うのか。そう言えば、こいつは気絶していたんだった。気持ちは判る。それに、今なら少し余裕があるから新たな発見があるかもしれない。回収できる装備は回収すべきだしな。


たんたんと進んでいるようだが、実はユメが目覚めてから2回ほど近くにリッチがスパンし、

「この、クソ爺ぃ!! 」とかいいながらバンドーが魔石を回収している。


取りあえず放置されている二人の死体まで案内し、回収できるものは回収する。

本来なら、死体はアンデット化する可能性があるので焼き払うのがセオリーなのだが、カスミに


「お前、ファイアーボールでこいつら焼けるか?」と聞いたところ、

「なんで、そんな事言うんですか?! 」と言うなり泣き出したので保留している。


駄目だ、こいつは何も判ってない。


「カズヒロ君、堪忍やで? 」


ユメがカズヒロのバックパックから回復ポーションをゲットした。これで火傷が治る。生存率があがる。ユメが短剣を使えるようになる。


「しかしお前ら、回復ポーションもろくに持たずに、よく4階層まできたな。」


バンドー、お前は余計な事を言い過ぎだ。ほらカスミがまた落ち込んでるじゃないか。ユメも回収の手が止まっている。


「すごい調子よかったんや・・。初リッチも狩って、これで帰ろう、そんな感じやった・・。」


さすがに地雷を踏んだことに気付いたバンドーは黙る。


「まあ、人生うまいこといけへんな~。そう思うわ。」













評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ