閑話を兼ねたネタバレ回
ちょっと休憩と整理の回です。いつも章間でフォローしてるな俺。しかも閑話と言いながら、今までも結構この章間でばかり、重要な事を書いている気がする。
カトルは助けたカササギに夢中である。とは言っても危ない性癖と言う訳ではない。
カトルはハーフリング種で、本人も身長が140センチ程しかない。見た目は少女のようであるが、立派な男。ハーフリング種の寿命は250歳程度。生まれて10歳程度で成人し、人間でいえば10代半ばくらいの見かけが200年ほど続く。
カササギは可愛い。4~5歳と言えば可愛い盛りである。
そしてハーフリング種は『可愛いものに目が無い』のであった。
「カササギちゃん! 僕が魔法を教えてあげるよ! 」
「魔法? 魔法! ま・ほ・う! 」
カササギもご機嫌である。
「よお、カササギ! 大丈夫だったかー? 」
「あっ、ケインお兄ちゃーん。」
くすぐったい。一日とはいえ、大事にしてよかった。バンドーの顔もにやける。
「あなたがカササギちゃんのお兄さんですか? 」
「はい? 」
「お兄さん、カササギちゃんをください! 」
まじですか? こいつは一体、何を言ってるんだ?
「僕が責任を持って育てます! あ、申し遅れました。僕はデスパレス冒険者ギルド所属、フリー魔術師でミスリルクラスのカトルと言います! 」
見た感じ、カトルは10代中くらいにしか見えない。それが5歳のカササギを求める?
何て言ったらいいんだ? 若さ故の過ちか? バンドーは救いを求めるようにティアを見るが、ティアも困ったような表情をしている。ただ、ティアの場合、バンドーと違って彼がハーフリングである事と、ハーフリングが可愛いもの好きなのは一応、理解しているので、少々意味合いが違うのだが。
「そ、そうだトレイシーさん?! 」
よく考えてみれば、カササギはトレイシーさんから預かったのだ。彼女に聞くのが一番筋道が通っている、・・ような気がする。
「どうした、ケイン君? 」
よかった、近くにいてくれた。
「トレイシーさん、カトルさんがカササギをくれって・・。」
「カトルが? ふむ。」
トレイシーさんは相変わらず、顔深くを緑色のフードで覆っている。
実は彼女が緑のフードを真深くかぶっているのには理由がある。彼女は公国冒険者ギルドに赴いて助けを求めた際に、エルフの長耳の先を自ら、切り落としていた。
エルフの証。自らの言う事の真実と、願いが心からのものだという事を示すために誓いを立てたのである。
そしてその時に、王国騎士としての身分も捨てたのだった。まさか、王国騎士が他国の冒険者ギルドに王国内への遠征を、しかも治安部隊と事を構える事になるかもしれない依頼を頼む訳にはいかなかったという事情もあった。フードは、証を立てた事をマユミやケインに知られたくない、心配させたくないという配慮でもある。
「いいのではないか? カトルの『育て好き』は有名だし、私もカトルが面倒見るというのなら否やは無い。」
「えええええ?! 」
予想外の回答が返ってきて、バンドーはのけぞる。聞けば、カトルは可愛い子を集めては魔法を教えているらしい。ちなみにカトルの魔法の腕はデスパレス冒険者ギルドでも1・2を争う。
「で、でも? 本当にいいんですか? 」
「何だ、何を気にしているんだ? カトルはあれで面倒見がいいし、それに奴には奥さんがいるぞ? 」
二度びっくりである。
「えっ、えっ? でもカトルさんってまだ若いんですよね? 」
「あー、ケイン君。君は本当に物を知らないね。カザフィ様が君の家で言ってただろ? 彼はあれで32歳だったかな? 私も詳しい年齢までは憶えていないが。」
そういえば、そうだったかもしれない。いやでも、ええっ?
「彼はハーフリング種と言ってな。人間とは少し違うのだ。見た目は人間の子供に近いのだが。ちなみにハーフリングは基本、ハーフリングにしか性的興味を示さないぞ? おっと、こういう話はまだ君には早かったかな? 」
何だかくやしいバンドーである。自分よりカトルの方がカササギに相応しい事が。
だが、彼は彼でゼノ式の『月下桃華の峰』に行く事を決めてしまった。ちなみにマユミも連れていく事にした。ジューダスに置いていたら、あの神官に何をされるか判らない。既に、エナには許可を取ってある。
「わしが母上を預かってもいいんじゃぞ? 」
「だめじゃ、ケインよ。こやつは無類の女好き。しかも300年独身じゃ。」
まあ、いろいろ紆余曲折はあったが。
「カササギ、俺の事、忘れんなよ? 」
「ケイン、忘れんな? 」
カササギに繰り返されてしまった。ちなみに、その後カササギは10歳で『月下桃華の峰』に入門し、ゼノ式の初歩を学ぶ事になる。魔術師にとって、素手での格闘を身に付ける事は無駄ではないのだ。そしてその後、『月下桃華の峰』から名前を取って、月下カササギと名乗り冒険者デビューする事になる。
でもそれは、別の話になるのでここでは、これ以上詳しくは言わない。
次は何の話にすればよいのだろう




