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君はあるがままに なるように  作者: 風神RED
第四章 ティアとバンドーの出会い
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知らない人達

話は半日ほど遡る。


(思ったより、遅くなっちゃった・・。)


ティアはコモロの家を辞した。神殿に帰る途中、ふと鳥の鳴き声を聞いて空を見る。待っていたかのように、彼女の肩に一羽のフクロウが舞い降りた。


「ビューロー! 帰ってきたのね。」


ビューローと呼ばれたフクロウは灰色に白の羽根をやや伸ばしてから、大きな目玉をぎょろつかせた。


「あら、伝書ね? 」


ビューローの足に結わえ付けられた手紙を広げると、赤い花押が目を引く。ヒナゲシを象った花押は、お爺様からのものだった。


「ふーん、最近物騒だから気を付けろだって。近々寄るかもしれないとも書かれてあるわ・・。」


フクロウのビューローに知らせるかのように、ティアはそうつぶやく。


「ありがとう、ビューロー。」


ティアが手紙を読み終えたのを確認したかのように、ビューローはティアの肩から飛び立つ。上空を2周3周して、森の方に飛び去って行った。


ジューダス神殿に戻ると、何やら騒がしい。いつもは見ない顔が出入りしている。


「王国騎士かしら? 」


それにしては、装備が貧弱な気がする。ティアはゼフィリヌスを探し、神殿奥の拝段で彼をみつけると、帰還の挨拶をする。


「ゼフィリヌス様! ティア、ただいま戻りました! あっ。」


見るとゼフィリヌスは誰かと話し中、相手は身長170センチくらいの流麗な顔立ちをした男で、薄紫のブラウスに白くて横にふくらんだパンツをはいている。どうやら、貴族のようだ。


「それでは、私はこれにて・・。」


ゼフィリヌスと話していた男は、踵を返すと拝段前から立ち去る。


「ゼフィリヌス様! ティア、ただいま戻りました! 」


「帰ったか、ティアよ。そうだ、コモロのとこの坊主の様子はどうだ? 」


「はい、もうすっかり良いようです。」


「・・そうか、それではコモロの家は外さねばならんな・・。」


「はい? 」


「・・何、こちらの事だ。」


「ゼフィリヌス様、先程の方はどなた様ですか? 」


「ん? ああ、彼は王国の特務官でな。まあ、気にしなくてよいぞ。」


ゼフィリヌス様に、そう言われては、ティアもそれ以上聞く事は出来ない。彼女は、与えられている部屋に戻ろうと、拝段に一礼する。


「おっ、ティアお嬢じゃねーか。元気にしてるかい? 」


部屋に行く途中、不意に声を掛けられた。見ると、ゼノ式の門弟だった男がハーフプレートに身を包んで立っていた。


「あら、お久しぶりですね。リノさんでしたっけ? 」


ゼノ式格闘術の総本山である『月下桃華の峰』で修行していた事もある、その男の名前を思い出し、ティアはついでに聞いてみる。


「こんな辺境の地にまで、任務ですか? 今はどうされているのですか? 」


「おうよ、今は内務省の治安部隊で働いてるんだけどよ。俺も、こんな所まで派遣されるとは、思ってもみなかったぜ! 」


「・・内務省の・・。」


とは言いながらも、ティアはよく判っていない。


「何か、争い事でもあるのですか? 」


「俺も、よくは知らねーな。ただ、護送車持ってきてるからよ。囚人でも移送するんじゃねーの? 」


「そうですか。」


最近、何か犯罪でも起こっただろうか? ティアは知らない。


「しばらくいるみたいだから、またな! 」


リノは忙し気に去って行く。


(むー。)


何か胸の中がもやもやする。ティアは部屋に戻ると窓を開け放ち、バックパックから小笛を取り出すと吹き鳴らした。しばらくすると、ビューローが現れて、窓の側に降り立った。


「ビューロー、お爺様にお返事です。」


手紙の中身は、割と取り留めもない。リノにあった事、看病していたケインが元気になった事、王国の治安部隊が来ている事などだ。考えても判らない事を吐き出したかっただけである。


クルックーッ!


一声叫ぶと、ビューローは大空に飛び立っていく。


そろそろ、食事の準備を手伝わなければいけない。神殿とはいえ、ここは辺境の地。ゼフィリヌスとティア以外は、実は誰もいない。ジューダスの農民が2~3人、毎日手伝いに来てくれている。


「今日は疲れました。」


ケインとの格闘を思い出し、ティアはそっとつぶやいていた。意外なほどに、彼は力が強かった。もしもティアがゼノ式に長じていなければ、あっさり組み伏せられていたかもしれない。


「今夜は早く寝ましょう。」


そして朝早く起きて、午前中には修行を終わらせてコモロの家に行けるようにしようと、彼女は思うのだった。














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