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君はあるがままに なるように  作者: 風神RED
第三章 サムニウム族襲来編
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イルミダ側

ちょっと閑話的なつなぎというか

紅い月が陣地に影を伸ばしている。私は、ここにいるべきものなのか?

私は乞われてここに来たのだろうか。何故、私はここにいる。

そんな、くだらない事を考えてしまうのは何故だろうか。ここは、お前たちは私に何を望む?


サムニウム族の姫、イルミダ・リンデン・サカエはカンタナ高原の宿営地でそんなつまらない事を考えていた。配下の者で、自身の問いに応えられる者はいない。


(・・月影か? )


わずかな月明りの光の下、地面に這う動く影を見た時、有り得ない事ながら彼女はそう思った。だが、直後の轟音。


「敵か?! 」


宿営地内の陣地に青い円環が立っている。それは明らかに魔法ゲートの証。


(・・あれはいけないものだ! )


サムニウム族の血が、そう叫ぶ。彼女にはなじまない血、それを無理矢理抑え、側に待機する伝令に声を掛ける。


「スベアテ・マノク・コンコードに伝令せよ。オンゴロ?! 」


百人隊を指揮する部下に状況把握と点呼を命じ、さらに近くに待機していたオンゴロに自らの脚とも言えるコモドを呼び寄せさせる。


「囲め! 」


出遅れたようだ。宿営地内に敷設されている3つの陣地の内、ひとつに青い円環が立ったと思うと上空から火の玉が飛んでくる。


「くっ、空からとは! 」


青い円環が立った陣地内では暴風が吹き荒れ、青い稲光が明滅している。舞い飛ぶサムニウム族の兵士達。

引き出されてきたコモドにまたがると、


ピィィィィィィィィ! ピィィィィィィィ!


指笛を鳴らし、イルミダは、攻撃されている陣地の兵士に向け、離脱再編成の合図を送る。


(反応が鈍い・・。)


野営中の宿営地、ど真ん中に敵の奇襲を受けるなど、想定外。サムニウム族は混乱の極にある。


「惑わされるな! 敵は限られた場所にしかいない! 私は、ここにいる! 」


火種から松明に移し、掲げながら左右に振る。それを目印に、各陣地から飛び出してきた兵達が集まり始める。集まってきた銃兵に弾込めを命じるが、夜の闇の中でははかどらない。


見る間に、襲撃された陣地を囲むように石壁が建てられていく。


「これも魔法か? 弾込めを終えた銃兵は撃て! 」


いくつかの銃声が闇にこだまするが、とても効果的な反撃とは思えない。襲撃された陣地から離脱してきた兵達を組み込み、再編成を優先するも、思うに任せない。さらに、宿営地の外縁から散発的に魔法が撃ち込まれる。


「姫様! 」


百人隊をいくつか束ねるマノクが来た。


「マノク! 宿営地に外からの侵入を許すな! 」


そう言い放ちながら、イルミダは状況を把握すべく、周囲に視線をやる。


(落ち着け、落ち着いて状況を確認しなければ。敵は多いのか? 何が狙いだ? 何処が優先される? )


敵の狙いは陣地奪取にあるのだろう。宿営地外からの攻撃は脅威とまでは言えない。何より、今までの戦闘を見る限り、敵は少数の冒険者パーティのはず。


「無理に陣地に突っかかるな。数は我らの方が多い。囲め! 」


もうすぐ夜明けだ。明るくなれば、状況も判るだろう。そもそも、今までの戦闘の経緯から言って、数は圧倒的に我が方が有利な筈なのだ。例え奇襲を食らったとしても、全面的敗北など起こる筈もない。


「離脱してきた兵はオンゴロの配下に入れ! 装備を失った者は申し出よ! 」


夜明けと共に、状況ははっきりしてくる。宿営地内にある3つの菱形陣地の内、ひとつが完全に奪取された。しかも、敵は陣地を石壁で囲んで籠城している。


「姫、どうされますか? 」


奪取された陣地から脱出してきた兵の再編成を終えたオンゴロが声を掛ける。


「奴らは何を考えているのでしょうね? 点呼は、終わりましたか? 」


「はっ、我が方の兵力は現在2600名あまりです。かなりやられました。」


「長盾兵に弓を作らせて。それと、デスパレス攻城用に持ってきたトレビュシェットの組み立てを陣地内で行います。」


「こ、ここで使うのですか?」

トレビュシェットとは、攻城用の投石機だ。普通は敵の弓矢の射程外から岩弾を飛ばす。同じ宿営地内の陣地に向けるとなると、彼我の距離は100メートルも無い。


「弾を散弾に変えて軽くすれば使えない事もないでしょ? 仰角を最大に取れるように調整して。他に手は無いわ。あの入り口も無い石壁に長盾兵を突っ込ませるよりはましでしょ? トレビュシェット組み立てまで、銃兵に間断なく射撃させて。敵に気取らせないで! ただし距離は保って。」


「了解しました! 速やかにかからせます! 」


よくない。彼女の予感はそう告げている。けれど、


「・・やるしかないわ。ねえコモド。」


騎乗している緑色のトカゲの右頬をなでる。


「そうだわ、オンゴロ! 櫓も立てて頂戴。やつらの陣地を望めるくらいの高さにして。」


ふと思いついた事があり、彼女は指示を付け加えた。


(あれも使えるかもしれないわ。気休めだけど・・。)


サムニウム族の秘宝を思い浮かべながら、イルミダは踵を返す。


タンタンタンタン! 牽制の銃声が彼女の背後で響いていた。














投稿した時に、どうしようと本気で思う。

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