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君はあるがままに なるように  作者: 風神RED
第一章 ユメとカスミ編
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ここは迷宮デスパレス

転生時から10年たってます。まあ、いろいろあったんですよ、いろいろね。

連載が続けば判明する日もきっとくるでしょう?

迷宮デスパレスを中心に広がっている迷宮都市デスパレス。


ネクストステージ・イルミタニアの数ある迷宮のうちのひとつで、スポーンするモンスターの大半は魔法攻撃をしてくる。なので世間的には難易度が高い迷宮とされている。迷宮、まあ言い換えればダンジョンな訳だが、そんなデスパレス迷宮を当たり前のようにソロで潜る冒険者がいた。


「よっ、バンドー! 今日もひとりかよ? お前の席はいつでも空いてるぜ? 」


軽く手を挙げて応えるが、相手は気にした風もなく通り過ぎていく。

いつもの挨拶みたいなもの。


「バンドー! 一緒に潜りませんか?昔みたいに! 」

「わりいな、ティア。ひとりがいいんだ。」


バンドーにティアと呼ばれたのは20歳前後の赤毛の女の子だ。青い宝石が、はまったごつい杖を手に持ち、薄紫色の胸元までの修道服を着ている。身長は160センチくらいか。修道服は首筋までで、頭には届かない。かわりに額には銀色のティアラを巻いている。


彼女は女の子ばかりのパーティ、「星屑の光」を率いているリーダーでもある。

別名「聖魔女」。


「あたし達はこれからデスパレスに3泊4日くらいするからさ。中で何かあったらよろしくね? 」


「こちらこそ、何かあったらよろしく頼む。」


「またまた~、心にもない事、言っちゃって~。5階層前のテラスでキャンプしてるから来てよね~? 」


彼女たちのパーティは、そういうと迷宮デスパレスに飛び込んでいく。いつものよくある風景。


迷宮に入るには迷宮前の受付で冒険者ギルドのカードを提示しなければならない。バンドーがギルドに所属しておよそ半年がたっている。この半年の間で、いろいろな事があった。


バンドーはギルドプレートを見せる。色は金色。


ギルドプレートには階級が設定されていて、上から虹色レジェンド・ミスリル・プラチナ・ゴールド・シルバー・ブロンズの6階級、そして見習い階級のアイアンが設定されている。

バンドーの階級は上から4つ目のゴールド。冒険者になって、ここで潜り始めて半年になるが破格のスピードでの昇級と言えた。


「さて・・。」


デスパレス迷宮は地下に階層が広がるタイプで、最下層はまだ誰も踏破していない。一応、75階層まで降りた記録は残っているが、最果ては100階層くらいまであるのかもしれない。

ちなみにバンドーはソロで50階層まで降りた経験がある。


受付を越えて持ち物の最終チェックを終え、軽く両腕をストレッチしながらほぐして深呼吸。


「今週の50階層といきますか。」


便利な昇降機やワープポイントなどデスパレスには存在しない。唯一、帰還魔法のゲートが存在するが、バンドーは魔法が一切使えない。

つまり、ひたすら自分の足で降りて戻ってくるしかない。ソロで潜る彼にとって、50階層まで行って帰ってくるのに、おおよそ6日かかる。

逆に言うと、荷物運びのポーターを使わず、パーティーも組まずの彼のスタイルだと、50階層が限界と言えた。


迷宮の中は薄暗く、ヒカリゴケの発する淡い光と先達が整備した魔法の灯火がところどころに灯っている。一応、20階層までは魔法の灯火が順路のように、先の階層へと降りる階段まで続いている。


1階層はスケルトンの群れ。この1階層だけは魔法攻撃がない。


「ほい! 」


バンドーの装備は全て皮装備。取り立てて強度があるとは思えない。だが、彼はスケルトンの群れに飛び込むや否や、近接格闘で破壊しまくる。肘・ひざ・正拳・貫き手。

高位の冒険者がそれを見たらつぶやくだろう。


ゼノ式格闘術か、と。


バンドーがどういった経緯で、この格闘術を身に着けたのかはさておくとして、ゼノ式格闘術は金属鎧を身に着けていては発動しない。気を皮表面にまとわせて強度を増し、破壊するのが基本。


「おろ? 終わりか? 」


あっという間にスケルトンの群れを平らげ、落ちている小さな魔石の中でも、よさそうな物を、ひょいひょいと拾うとバックパックに収める。

魔石はモンスターの核を形成し、冒険者の貴重な収入源となる。魔法道具の材料にもなるし、魔術師にとっての魔力電池にもなる。ちなみに生きているうちに魔石を抜かれたモンスターは、迷宮の土へと返る。


「今日中に最低10階層まで降りないとな~。」


2階層へと続く階段を飛び降り、ゼノ式格闘術のスキルの一つ『飛足』を使う。脚に気をまとわせてわずかに浮いて加速。

2階層はスケルトンとスケルトンメイジ。スケルトンメイジは赤い骸骨と言えば判りやすいか。

ちなみに骨の身体をわざと崩してアンブッシュ(待ち伏せ)する事もある。気が付いたら背後から魔法攻撃を食らうという事もあるのだ。これがなかなかやっかいで、パーティーに『魔法検知』のスキル持ちがいないと見逃してしまう可能性もある。


だが、バンドーには関係がない。彼が何故ソロで50階層まで降りられるのか?

彼には魔法攻撃が効かない。生まれ付いてのスキル『魔力分解』と『魔力吸収』を持っており、発動中は魔法攻撃から無敵になる。いや、正確には『魔力吸収』時に魔力攻撃を食らうとわずかながら体力も回復する。


故にスケルトンメイジが待ち伏せしていようが、背後を気にせず突き進めるのだった。

そしてそれは魔法攻撃タイプのモンスターが大半を占める、この迷宮デスパレスで圧倒的なアドバンテージを持つ事を意味する。


「お前ら、少しは学習しろよ! 」


意味もなく魔法を撃ってくるスケルトンメイジを次々と粉砕し、蹴とばし踏みにじり、よさそうな魔石を拾いながら超スピードで2階層を駆け抜けるバンドー。


「じゃあな! 」


バンドーの姿が2階層から消えるのに、半刻もかからないのであった。

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