閑話
前話までを第一章としました。今回は閑話回で、非常に短いです。
ぶっちゃけて言うと、第一章に差し込むつもりで考えていたセリフのうち、余ったやつに継ぎ足して、無理矢理、小話にもっていった感じです。
なので、話の内容に伏線とかはありません。・・多分・・どうしよっかなぁ。
昼過ぎ、バンドーは冒険者ギルドの2階、エントランスから下を見下ろしていた。ギルド建物の2階3階部分は吹き抜けになっており、下を見下ろすと、ギルド受付の様子を見る事ができる。
飛び出していったカスミの事は気になっていたが、とにかく『鉄鬼』のメンバーに釘を刺しておこうと、さっきまで関係をもっていたのだ。意外とマメなバンドーである。
それにまた、何か問題があればティアが言ってくるだろうとも思っていた。何も言ってこないという事は、多分問題は無いのだろう、そう判断していた。
「んっ? ありゃカスミとティアじゃねーか。」
ギルド1階の隅の長椅子に座り、二人は何やら楽しそうに話し込んでいる。そう言えば、カスミの服装が変わっている。見習い魔法使いの服と魔法使いの帽子は何処にやったのか、今は薄黄色に赤と紫の線が何本か入り、上から被る感じの上下のつながった服を着ている。乱れていたショートカット側面は額を出す感じで二か所、髪留めで止められている。
「ふーん、ティアに買ってもらったのか? 楽しそうに一体、何を話してんのかねぇ? 」
2階エントランスを二人の真上近くまで移動すると、距離にして上から4~5メートルといった感じか。
バンドーはふと気になり、気配感知スキルで彼女たちの会話が拾えるか、試してみた。
やめろ、バンドー。女の子同士の会話何て、聞くのは止めた方がいい。
「ええ? 私バンドーさんの事、臭いと思ってたんですけど、本当に臭かったんですか? 」
「そうよー、だって皮装備は汗がこもるし丸洗いが難しいから、匂いやすいの。迷宮の中では他のいろいろな匂いが漂ってるから、あんまり気にならないけどねぇ。」
「そう言えば昔、学校の友達が、剣道の皮道着は臭うとか言ってた気がします! 」
「・・あなたが、何を言ってるのか私にはさっぱりだけど、バンドーが臭いのは確かよ。だって考えてごらんなさい、皮装備の上からとはいえ、アンデットの中に手を突っ込むような戦い方をするのよ? 臭いに決まってるじゃない? あんなの変態よ、変態。」
「ですよね~、さっきの人もバンドーさんの事、『素潜りの変態』とか言ってました! だって、聞いてくださいよ、ティアさん。会っていきなり、私の片手をつかんで、『俺をシャドゥウィップで撃て! 』ですよ? 私もう、びっくりして! 」
「へー、バンドー、カスミちゃんに迷宮で、そんなこと言ってたんだぁ。何も知らなかったら、そう思っちゃうよねー。」
バンドーは消音した。これ以上、聞き続けるのは余りにも危険すぎる。
「っくっ、あいつら! さっきまでケンカしてやがったクセに俺の話をダシに仲直りとは、いい度胸じゃねーか・・! 」
いや、バンドー。お前が悪いと思うぞ。だいたい、女の子通しのキャッキャウフフな会話は、大抵の場合、一体どこが面白いのか判らない場合が多いし、喋ってるのが本音なのか、わざと言ってるのかすら判断するのが難しい場合が多い。
「でもね、私そんなバンドーさんでも、大好きなんです! 悟りました! 私、バンドーさんになら、何をされてもいいです! 」
バンドーは既に聞いてはいない。まあ、人生そんなもんですよね。