Another World act.2
2256. 12/5 10:49
気が付くとそこはベットの上だった。いつもの部屋、いつもの風景。そしていつもの空気だった。
起きて回りを見渡すとパソコンが付けっぱなしだった。ああ、そうかログアウトしてそのまま寝てしまったのかと思い、パソコンに近寄り電源を消そうと何時ものようにシャットダウンしようと俺はマウスを使い操作する。
……って、あれ?何か画面に違和感があるような……そう思い、シャットダウンを一時中断し俺は画面にある違和感を見つけるべく画面を隅から隅まで見渡した。そこで違和感の正体に気が付いた。そうだ。無いのだいつもある筈のモノが。単純にこの画面から移動させてしまったのかもと様々なファイルを開くもソレは見つからなかった。いや、まるで今まで無かったかのように存在しなくなっていた。そして一言。
「AWOのアプリがない……それどころかデータの痕跡すら残ってない……え?な、何があったんだ?」
そうだ、AWOのインストールされたアプリが存在しなくなっていた。パソコンそのものからすっぽり無くなっていたのだ。いつもは画面の真ん中に分かりやすくAWOと書いてあるアイコンが表示されているのにだ。当たり前だ。そりゃ違和感があるに決まっているよ……。
「ど、どういうことだ?何か新種のコンピューターウイルスにでもやられちまったのか?セキュリティソフトはなにやってんの?仕事してんのか!」
とにかく、青ざめるしかない俺は、ベットに力なく腰を下ろす。
「いったい全体どうなってやがるんだ……本当にウイルスなのか?にしてはパソコンが犯されてないし。取り合えずセキュリティソフトの会社に連絡か?」
ベットで大の字で横になる。近くにベットギアがある。それをふと手に取る。
「……あ、いやまさかな……そういえば俺、あの後どうやってログアウトしたんだ?」
俺はあることを思い出す。
「俺は確か『名も無き亡霊』を倒してドロップアイテムを手にいれて……」
記憶を手繰り寄せようと目を閉じてあの時の光景を思い出す。
「俺は……ネタアイテムの現実と仮想の融合って宝珠を使って……!」
確か効果が『使うことにより、この世界のアバターと現実の肉体を融合し、スキル 身体能力を現実世界で使えるようになる』とか言ってたよな確か。
「何となくわかった……原因はあれか……。ネタアイテムじゃなくて嫌がらせのアイテムだったのか。ご丁寧にデータまで消し飛ばしやがって!くそ!!発売元に殴り込みに行ってやる!」
あれが全ての原因と思い俺は思い立ち行動する。スマホでゲーム発売元を捜し直接乗り込む。これしかない。うやむやにされてたまるか!あれに幾ら課金と時間を注いだと思ってるんだ!!冗談じゃない!!!
「だいたいな~!何がこの世界アバターと現実の肉体と融合だ!最近の厨二病拗らせたガキでもこんな事書かねぇぞ?ステータスオープン!とか言って異世界じゃなし自分のスキルとか見れるわけ_____『ブィーン!』……へっ?」
俺は興奮して語気を強めてグチグチ、グチグチとゲームアイテムの悪口を言いながら住所を調べていて口だけは動かし続けていた。そんなときに目の前にゲームをしていた時によく見たステータス画面が音を立てて出てきた。
「……はっ?」
余りのことに俺は息をのんだ。AWOのステータス画面が今、目の前で展開されているのだ。
「な、なんだこれ?」
当たり前だが間抜けな声を出してしまった。そして行き着く答え。
「これ、夢か?」
誰しも普通にその答えにたどり着くはずだ。だって普通じゃあり得ない現象が起こっているんだから。
「……いやいやいや!こんな夢あり得ないだろ?でも、なんだこれ……明らかにステータス閲覧画面じゃねーか……」
まじまじと観察した。俺の目の前で制止し続けるステータス画面。不気味である。
「邪魔だな……ステータスオープンが出来るなら……ステータスオフ!」
そうするとステータス画面が閉じた。
「うぉ!?マジか!なんだこれ!!?」
反芻するように俺はその後「ステータスオープン!」「ステータスオフ!」ど繰り返し繰り返し、何度も何度も開いたり閉じたり、開いたり閉じたりを繰り返した。そして。
「ステータスオープンも出来るならもしかして。メニューオープン!『ブィーン!』やっぱりできた!?」
俺は興奮するも、自分を必死に落ち着かせて。そして俺は装備の項目をゲーム内と同じように、いつものように装備を選択して決定を……押さずに躊躇った。
「流石に出来るわけ……でも……」
好奇心に駆られて選択のボタンに恐る恐る触れた。すると。一瞬でゲーム内で着ていた装備を身体に纏うことが出来た。
「……マジかよ?」
気がついたら鏡の前に立っていた。そこには現実の俺がゲームの衣装を纏い佇んでいる姿が見えた。当たり前だよな。
装備に触れてみる。叩いてみる。固く、何の金属で出来ているかわからない。かなりの頑丈さだ。よくは分からないが、叩いた衝撃が俺の体を全くと言っていいほど伝わらない。いったい、衝撃をどこに逃がしているのだろうか?ああ、実感する。そうだ、いつもの衣装だ。黒一色の外套に軽装の漆黒の鎧に下には黒のアンダーウェアに、ボトムスは黒いパンツ。続けて、黒い膝当てに、俊敏を上げるためのブーツ。そして腰には愛着をもって使っている不遇の武器、だが強い我が愛刀 黒田貫が差してある。
「俺の身体以外ゲームと全く一緒だ……」
そう言いながら黒田貫を腰から抜くと『シャキィィィィン!』と綺麗でだけど不気味な音が鳴り響く。
黒田貫の見ると黒々と妖しくだが美しく漆黒のだが綺麗な刀身をしており、波紋はまるで極光のような輝きを放っている。剣呑……という言葉が正しく似合う。我が、愛刀ながらドン引きである。
腰に黒田貫をしまい、またベットに座った。
うーんどうしよう。
「まさか……ゲームのアイテムにこんな効果があるなんて夢にも思わんぞ。ただのネタアイテムと思いきや……痛たたっ!夢じゃない」
自分の頬っぺたを遅いだろうが摘まんでみるも夢でなく現実のようだ。
「頬っぺた摘まみ損とわかっててやったけどさ……現実だろうと信じられんわ」
閃いた。
「ちょっと黒田貫振ってみよう!どうせやるならスキルも使ってみたいしな」
黒田貫を抜刀。
そしてスキルを叫び。
壁に向かい放つ。
「スラッシュ!」
目にも止まらぬ速さで放たれた刀の剣速は止まることをせずに壁に衝突……でなく、ぶつかる壁を切り裂き外へとその剣撃は飛んでいった。
「……」
切れた所から外が見え、そして見えた先で飛んでいった剣撃が電柱を切り裂きその電柱のがかなりの音を立てて倒れ道路の道を塞いでいた。
「うわ………しーらね……」
俺はメニューを開き装備を初期装備に戻して元々の格好に戻った。俺は、現実逃避すべく段ボールで切り裂いた穴を隠して塞ぎその上からガムテープで止めてから。パソコンの電源を消して。ベットに入りふて寝することにした。
その後、警察や消防署やらのサイレンが鳴り響きこの地域一帯が大騒ぎになったので俺は寝るに寝れない状況になり、ベット上で体育座りで暫く何も考えずボーッと過ごすのであった。
現実と仮想の融合の宝珠
効果:使うことにより、この世界アバターと現実の肉体を融合し、スキル 身体能力を現実の世界で使えるようになる。
添削、修正、加筆しました。