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Chapter.1ㅤㅤ出逢

実は謹慎してました。

この新作、既に完成してます。

Chapter.1




1ㅤ


ㅤ──2XXX年4月1日。

ㅤアジア南部に位置するルーロンという名前の国がEU加盟各国へと宣戦布告、それをきっかけとしてルーロンを筆頭とするニューザッグ同盟国側と国際連合側での戦争が始まり、当時造られたばかりであった"日本国防衛軍"、通称"日防"も国際連合側で参戦した。


ㅤアジア・先進国戦争……通称、第参次世界対戦の始まりである。


ㅤこの戦争は、ニューザッグ同盟最後の国であるラグーが完全降伏した事により終結、この大戦のきっかけであるルーロンがEU諸国へと宣戦布告を行ってから、実に6年、という月日が流れていた。

ㅤ戦争による死者はニューザッグ同盟国側では約25万人、国際連合側では約18万5千人、そして日本では……未発見者も含め、約700名と言われている。

ㅤこの戦争では、無人戦闘機などが戦争で初めて利用された事でも有名である。

ㅤ尚、死者数については民間人は含めてはおらず、民間人を含めるとその数は2倍上になるのではないか、という専門家の話もあり、詳しい事は完全には分かっていない。






ㅤ──"中津総一郎著、第参次世界戦争史、より。











ㅤ「編集長め……こんな仕事押し付けて来やがって……。」


ㅤ俺は読んでいた本を脇に置き、そう言った。

ㅤ……編集長から押し付けられた仕事……二ヶ月後の第参次世界大戦終結十周年目に出す、所謂まとめ記事を書け、というオシゴト……。


ㅤ……って、自己紹介忘れてた。

ㅤ俺は、日読新聞、と言うまあ……全国紙の新聞社で働く佐藤充だ。ちなみに新聞社に入った目的は記者として世界の裏で行われている犯罪を取材し、真実を世界へ伝える……と、言う事、だったが。


ㅤ今の俺の仕事は別の記者が取材してきた内容を記事にまとめるだけの仕事だ、しかも……例えば『110歳のおじいちゃん』とか、文化面の……そんなのんき事だ。


ㅤ「しっかし……これ全部の情報が載ってるはずだよな。……なんでこんなあやふやなんだ……?ㅤ」


ㅤ俺は次に読み始めた"第参次世界戦争全史"と言う国が出版している分厚い本を読んでみたのだが……内容は噛み砕くと、『日本最高!ㅤ国際連合すごい!ㅤ』みたいな感じだ。

ㅤしかも、ニューザッグ同盟側がやった非人道的な事は大量に書かれているのに、国際連合側はまったくそれがない……。真っ白だ、不気味なくらいに。なにこれ、あれか……隠蔽か。


ㅤ「こんなんじゃいい記事書けねぇよ……。」


ㅤそう言って俺はベッドに倒れこんだ。







ㅤ──……同じ頃、錆びたコンテナが積まれた寂れた港。


ㅤ「ゲホッゲホッ……。」


ㅤ街灯の殆ど無いその場所に、ビチャビチャと水が地面に滴り落ちる音と共に、一人の人影が海の中から現れた。


ㅤ「……ハア……ハア……つい……た。」


ㅤ男はそう呟きながら地面に横になる。彼の服装は深々とフード付きの上着を羽織り、防水性の鞄を持っており……上着の下のシャツには……"日本国防衛軍人"、と言う刺繍がされていた。


ㅤ「……8年ぶりだな。故郷の地を、踏み締めるのは……。」


ㅤそう言って男はゆっくりと立ち上がると、そのまま……歩き出した。








2ㅤ


ㅤ「佐藤君、出来たかい?ㅤ」


ㅤ「まだです。すみません……。」


ㅤ──まったく、一週間のうちに何度編集長聞いてくるんだ……。納期は二ヶ月後の一週間前だっていうのに。


ㅤ俺は内心そんな事を思いながらとりあえず謝る。


ㅤ「まったく、君には犬男の取材もして欲しいのに……。」


ㅤああもう、また仕事かよ……っていうか。


ㅤ「犬男?ㅤなんですかそれ?ㅤ」


ㅤと俺が聞くと編集長は、


ㅤ「ん?ㅤあー最近この辺に出没してる不審者だよ、なんでもフード被ってて犬の被り物してるみたいだよ?ㅤすごいリアルなんだって。」


ㅤと答えた。


ㅤ「へぇっ……。」


ㅤぐんぐんと取材欲が湧いてきた。今まで取材といっても珍しい花とか、100歳のお爺ちゃんとか……そんな文化面の事だったから……初めての事件(なのかは微妙かもしれないが)の取材なのだ。

ㅤそしてそんな嬉しそうな俺を冷めた目で見ながら編集長は、


ㅤ「まあ、これの納期は半月後でいいから……頑張ってね?ㅤ」


ㅤそう言って俺の肩をポン、と叩いた。







ㅤ──……そしてそんな日の夜。


ㅤ一人の女が人通りの少ない通りを歩いていた。


ㅤ──ブゥロロロ……。


ㅤそれを追いかける様に一台のバイクが走ってくる、そして……。


ㅤ「きゃぁっ!?ㅤ」


ㅤバイクに乗っていたフルフェイスメットの男は女から鞄を奪い取り、走り去ったのだ。


ㅤそして、次の瞬間──。


ㅤ──ギイィィィッ!ㅤドゴンッ!


ㅤいきなりバイクは転倒し、そのまま電柱へと激突した。

ㅤそしてバイクを運転していた男は地面に伸びており……彼の前に、棒を持ち、深々とフードを被った男が立っていた。


ㅤ「……これ。」


ㅤ男は地面に落ちた鞄を拾うと、腰を抜かしている女へ手渡す。


ㅤ「あ、ありがとう……ございます。」


ㅤそう言いながら女は顔を上げ……見たのだ。


ㅤ男の顔は、人では無く……まるで、狼の様な顔をしており……獣の様な金色の瞳が女を……見つめていた。










3ㅤ


ㅤ「本当あれは犬……と言うか……狼の顔でした。」


ㅤとある喫茶店……俺は1人のOLを取材していた。

ㅤ最初は大戦で恋人を亡くした女性、と言う事で取材をしていたのだが……。なんと彼女は一週間前、例の"犬男"を見た、と言うのだ。


ㅤ「見た……と言うか、その……助けてくれて……。」


ㅤ彼女の話によると、一週間前の夜、ひったくりに遭い、そのひったくりから鞄を取り返してくれたそうだ。


ㅤ「……あれは、被り物じゃなくて……本物でした。」


ㅤそう彼女は言ったが、不思議と彼女は取り乱したりオロオロしている、と言う感じでは無い。


ㅤ「……少し、落ち着いていませんか?ㅤ」


ㅤ気になった俺がそう問いかけると、彼女は少し微笑み、


ㅤ「彼は怖い人じゃありませんでしたから……あなたも、会えばきっと、分かると思います。」


ㅤそう言って彼女は鞄から一枚の紙を取り出し、俺に渡してくる。


ㅤ「……これは?ㅤ」


ㅤ俺がそう問うと彼女は、


ㅤ「あの人に記者さんと会う事を話したら、あなたに会いたいって言っていたので……。」


ㅤと言う、


ㅤ「えっ……と、それは、どういう事ですか?ㅤ」


ㅤ──えっ、まじかよ……。


ㅤとりあえずびっくりした俺はそう彼女に言うと、彼女は、


ㅤ「そのままの意味ですよ。……あと、すみません……そろそろ、飛行機の時間なので……。」


ㅤ──いつの間にか、取材は二時間に及んでいた。

ㅤ今回彼女に取材を申し込んだ際、彼女からは条件として……飛行機の出発する時間まで、と言われていたのだ。


ㅤ──なんでも、恋人が亡くなった所に……いくらしい。


ㅤ「それじゃあ。」


ㅤ少し嬉しそうなトーンの言葉と、俺に渡してきた紙と3000円の伝票を残し彼女は、行ってしまった。


ㅤ「た、たか……。」


ㅤ予想外の出費に、俺は溜息をついた。







ㅤ──そして、その頃。


ㅤ「……。」


ㅤ黄昏時の首都の郊外のとある廃マンション、その屋上にあの狼頭の男が、錆びたフェンスに寄りかかり眼下に広がる街を眺めていた。


ㅤ「奴らに……して……もう一度……普通に……。」


ㅤ呟いた独り言は小さく、尻尾や耳をなびかせながら風の音がかき消してゆく。


ㅤそして、彼は顔を上げ空を見つめ、


ㅤ「……そろそろ、時間か。」


ㅤちょうど──摩天楼の光が灯り出す時間。

ㅤ男は少しの間遠くに見える摩天楼を見つめ、それからフェンスに手をかけ……そのまま、飛び降りた。











4


ㅤ「『S区のO崎港B 20:00』……か。」


ㅤ俺は小さく呟きながら、電車に揺られていた。

ㅤ彼女から手渡された紙には、"誰にも告げず一人で来い。"と言う文字と、待ち合わせ場所と時間が記されていた。

ㅤ気持ちは、少し高ぶっていた。


ㅤ──何故かって?


ㅤそりゃあ、取材対象である"犬男"に取材が出来るんだ、最高じゃないか!

ㅤ……一応、護身用にスタンガンを持っているし、まあ……大丈夫だろう。

ㅤなんかあったら警察呼べば良いし。



ㅤ『次はァ、O崎港ゥ、O崎港ゥ。』



ㅤそんな事を考えている俺を他所に、列車はそんなアナウンスと共に減速を始めた。








ㅤ──それから、数十分後。


ㅤ「……。」


ㅤ狼は錆びた鉄骨の上に座り、眼下を眺めていた。

ㅤ潮の匂いが彼の鼻を刺激する。


ㅤ──かつて故郷を夢見て嗅いだ海の匂いとは違い。


ㅤ──死ぬ気で泳ぎ続けた冷たい海の匂いとは違い。


ㅤ──ましてやあの場所……戦地で嗅いだ匂いとは全く違う。





ㅤ潮の匂いに……ガソリンの臭いと油の匂いが混じり合った匂いだ。



ㅤ──ふと、それとは違う匂いを感じ、彼は下を見る。


ㅤ「ど、どこですかー?ㅤ犬男さーん……?ㅤ」


ㅤ足元でそいつは弱々しい声を上げて喋っている。


ㅤ「……あいつか。」


ㅤ──弱そう。


ㅤそんな事を考えながら少し尻尾を揺らし、彼は地面へと飛び降りた。













5


ㅤ「……仕方ないかもしれないが、武装な物を持ってるな。」


ㅤと、とりあえず今俺はかなりヤバイ事になっている。まずスタンガンを持っていた右手を掴まれ動かせなくて、押し倒されて腕も押さえられてって感じで……完璧、ヤバイです。

ㅤとゆうかどっから来たんだよこいつ無茶苦茶だよ上から降りてきたぞ意味わかんねえようわあああああああぁぁぁぁぁぁっ!

ㅤ……と、そんな風に心の中で発狂している俺を馬鹿を見るような目で見ながら犬男はスタンガンを奪い取ると口を開き、ハァ、とため息を……って、え?


ㅤ「……ええっ?ㅤ」


ㅤえ?ㅤこれ着ぐるみだよな……狼の着ぐるみの上に服着てるだけだよな?ㅤやけにスタイリッシュでリアリティーがあるのは現代技術のおかげだよな?ㅤ成る程、つまりこれは精巧に出来た着ぐる……。


ㅤ「おい?ㅤ頭でも打っておかしくなったか?ㅤ」


ㅤ「うわああああああああああああ本物おおおおおおおお!?ㅤ」


ㅤとりあえず喋っている奴の口の中に本物の牙と舌があるのを見て……俺はこいつを本物、だと思った。

ㅤそれと同時に俺の中の認識ではもはや変質者"犬男"ではなく、こいつは怪物"狼男"に変わる。


ㅤ「とっ、とりあえず噛まないでくださいい!ㅤ」


ㅤあたふたしながらとりあえず両腕で顔を隠す俺は呆れた目で見ながら、狼男は一言、


ㅤ「噛まないぞ?ㅤ……とりあえず落ち着け。」


ㅤと言った。









6


ㅤ「ほれ、コーヒー。俺はリンゴジュース。」


ㅤとりあえず犬男さんが近くの自販機でコーヒーを買ってきてくれた。(俺のお金ですが。)

ㅤとりあえず缶を開き、コーヒーを飲む。

ㅤ冷たく、甘い中にほろ苦いコーヒーが舌を伝い喉の奥へと流れて行き……って何で俺食レポもどきやってんだ!?


ㅤ「うんっ。リンゴジュース、うまいなぁ……。」


ㅤそう嬉しそうに言いながら飲んでいる狼さん(仮称)の尻尾はぱたぱたと揺れていて……改めてこいつは"マジモン"なのだと実感させられる。


ㅤ「……それで、その……とりあえずお聞きしたいんですが、あなたの名前はなんて言うんですか?ㅤ」


ㅤそう聞くと、狼男は、


ㅤ「吉永伊月。」


ㅤと答えた。

ㅤ──あれ?ㅤ見た目狼だし多分外国人だろうなって思ってたけど、日本人みたいな名前……って日本人か?

ㅤ……いやまて、そもそもヒトなのか……コレ……?

ㅤ吉永さんは不思議そうな顔をする俺の事を見ながらこう言った。


ㅤ「外人……ってか人間以外の生物に見えるのに何で日本人みたいな名前なんだって思ったろ?。」


ㅤ「えっ、心を……読まれた……!?ㅤ」


ㅤそんな風に俺が声を上げると、そいつは呆れた様に溜息を吐き、


ㅤ「……大体お前の顔を見れば想像出来るだろ。」


ㅤと言って俺を見つめた。






7


ㅤ「そ、それで……僕の事、何で呼んだんですか?ㅤ」


ㅤそう俺はジュースを半分程飲んだ犬男改め、吉永さんに聞く。

ㅤすると急に吉永さんは真剣な表情に……やべえ、表情分かってきた……ってそんな事はどうでもいい、


ㅤ「そうだな……。」


ㅤそう彼は言い、言葉を止める。そして、


ㅤ「……話すのは、もう少し後にしよう。……これ。」


ㅤそう言って、彼は俺に一枚の紙を渡してきた。

ㅤとりあえず拍子抜けしながら渡された紙を見ると、そこには住所が書かれており、そこは……この港からかなり離れた場所だった。


ㅤ「……次に会うのは2日後、この事は絶対に口外するな。」


ㅤそう言って俺の事を見た吉永さんの瞳は、まるで獲物を見つけた獣の様で……思わず、すくんでしまう。


ㅤ「もしかしたら、君の命に関わる事になるかもしれない。……来ないなら来ないでいいからな?ㅤ」


ㅤそう言って彼は俺の肩を軽く叩き、そのまま行ってしまう。


ㅤ「……ま、待ってください!」


ㅤ俺はそんな彼の背中に言葉をぶつける。

ㅤ彼は、ピタッと立ち止まる。


ㅤ「……何故、教えてくれないんですか?ㅤそもそも、あなたはなんなんですか?ㅤあなたは……。」


ㅤ疑問は──尽きなかった。


ㅤしかし、彼は俺の事をただ一瞥し、言った。


ㅤ「……俺は、亡霊だよ。国家に殺された、な。」


ㅤそう言うと彼はそのまま、行ってしまったのだった……。












8


ㅤ──……とりあえず、色々な事を考えていた。

ㅤまずあいつ……吉永伊月とは、何者なんだ?

ㅤ「ふぅ……。」


ㅤ溜息を吐きながら、とりあえずネットで検索をしてみる。

ㅤ……しかし、出てくるのは近い名前のやつやそもそも関連性の無さそうなやつや……ん?


ㅤ俺はあるページを凝視した。


ㅤ……それは、第参次世界対戦における戦没者名簿。

ㅤそこに、『ヨシナガㅤイツキ』という名前が……載っていたのだ。



ㅤ──『……俺は、亡霊だよ。国家に殺された……な。』



ㅤふと、あいつが最後の言った言葉が蘇る。……が。


ㅤ「……まさかな。」


ㅤそう呟くと、俺は別のページを調べだした。








ㅤ──同じ頃、狼は空を見上げていた。

ㅤ曇り空。廃墟となったマンションの貯水タンクの上に座っている彼の尻尾は、ゆらり、と緩やかな風になびく。


ㅤ「佐藤充、か……。」


ㅤ狼男こと、吉永はそう呟く。

ㅤそしてふと、彼はポケットから一枚の写真を取り出した。


ㅤ──くしゃくしゃになった写真。そこには、20人ほどの日本人の軍人達が笑顔で写っていて……。


ㅤ「……どうして、こうなったんだろうな。」


ㅤ彼はそう、呟き──再び空を見上げる。


ㅤその時、ぽつり……と、雨が降り出した。












9


ㅤ──助けてくれ!



ㅤ……どこからか、そんな声が響く荒野。しかしその声はすぐに、爆音と無人機の轟音に掻き消える。

ㅤふと、仲間の声が聞こえた気がする。



ㅤ「大丈夫か!ㅤ」



ㅤ俺は敵の攻撃を避け、仲間の声がした方へと近づく。



ㅤ「……。」



ㅤそこには、さっきまで生きていた……ここに来るまで笑いあっていた──仲間が……。


ㅤ内臓は飛散し、顔は驚きのまま固まり。辺りは真っ赤に染まり。



ㅤぐちゃぐちゃになって──、
















ㅤ──シㅤンㅤデㅤイㅤタ。












ㅤ「ハァッ!?ㅤ」


ㅤ──目が……覚めた。

ㅤ……俺は獣毛に覆われた頭を掻き毟る。


ㅤ夢を見たのは……久しぶりだった。

ㅤ内容は決して忘れる事の出来無い……"悪夢"と呼べるものかもしれないが。


ㅤあの時の事は全て覚えてる。


ㅤ硝煙の匂いも、持っていた銃の感触も、赤黒い血の色も、死ぬ直前に敵の兵士が放った呪詛の言葉も、肩に当たった銃弾の痛みも──死んで行った、国に葬り去られた仲間の顔も。

ㅤ……あの時の肩の傷跡は、今も残っている。

ㅤ──それが、獣に堕とされた俺に遺された俺にとっての人間だったという……証明だ。


ㅤ「……俺は、復讐を遂げたら、どうなるんだろうな……。」


ㅤ人とは違う……変わり果てた手を見つめ、呟いた。











9ㅤ


ㅤ──迷っていた。


ㅤ彼が言った、命に関わる、と言う言葉が今更ながらに気になっていた。

ㅤ……もし、あの話が本当だとしたら。


ㅤ少し、考える。

ㅤあいつは何者なのか、何を知っているのか、興味は尽きなかったが……もしかしたら、死ぬかもしれないのだ。


ㅤ「国家に殺された……か。」


ㅤあいつが言った言葉について考える。

ㅤもし……彼が政府の裏に関わっていて、そのせいであんな姿にされ、闇に葬られたとしたら……。


ㅤ「真実を伝える為に記者になったのに……怖気付いてどうする。」


ㅤ俺は苦笑する。


ㅤ──それこそ、俺が求め続けた事じゃないか。


ㅤそんな事を考えて、俺は取材用鞄を手に取った。






Chapter.1ㅤEND




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あと、次回は明日の0時投稿と予約しています。

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