教室に凶暴シスコン女子高生が来ないんですけど
先生視点。短めでギャグ無し。
僕が隣の教室の窓から室内に入って廊下に出ると、ちょうど川口先生に出くわした。
「おう、神在月」
「こんにちは川口先生。名字で呼ぶのはおやめ下さいと頼んだと思うのですが……この後はどちらへ?」
「ちょっと病院にな。生徒には秘密だぞ」
「やはり持病ですか」
「まあな。俺も若くねーし……ところでよ」
「どうなさいましたか?」
川口先生は少し黙り込む。質問によっては抹殺、と懐に隠したチェーンソーに手を伸ばす。
「……お前さ、法に触れないようにだけは気をつけろよ」
「何の事でしょうか」
「しらばっくれても無駄だぞ。ま、よっぽどの事が起きない限りは、俺も命が惜しいから干渉しないけど」
そう言って、先生は僕に背を向けた。途端に胸の内にゆらりとドス黒いものが湧きあがるのを感じる。どうしましょうかね、ここで消しておきましょうか。でもしかし恩師を殺すのは流石に憚られる。僕が高校生の頃に色々助けてくれた恩もありますからね。
八重さんがいる教室のドア前で待機する。
僕も鬼ではない。今日の所はひとまずやめておきましょう。僕はスーツの中の薙刀を用意し、数秒後に出てくる彼女の事を待つことにした。