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ヤンデレブラコン女子高生と本編唯一まともな杜山くんの恋物語(仮)

短め。白菊視点。

神在月白菊。現在十六歳。

幼少期に霜月家で生まれ、十月生まれながら類稀なる才能を発揮したため神在月家に引き取られる。

神在月本家の長男、神在月霜月に恋をするが、あえなく失恋。

その後本家の跡取りとして神在月家の主となり、現在に至る。


落下していく最中に振り返った人生は、酷く空虚でした。


「くうっ……!!」

ぱ、と抱きとめられたかと思えば、真正面には青鬼の末裔、杜山堂司の顔。

「……ああもう! どうしていつも俺ばっかりこんな目に!!」

地面に下ろされて「怪我してないすか」と問われる。

「白菊は無傷ですの」

「……ってあああああ! 白菊さんって敵じゃないすか! うわあああ、なんてことを……先生に殺される」

「……」

最初に好きになったのは、その天然パーマの髪でした。


「あー、そうなんすか。色々大変なんですね」

「ふふっ。この前は毎年恒例の行事で……」

こんなに満たされた気分になったのは、一体いつ振りのことでしょう。杜山くんといるだけで、天にも召される程の幸福感……いけない、白菊は兄さんだけを愛さなければいけないのです。七月生まれなどもってのほか。白菊は、そういう運命なのですから……。

「白菊さん、やっぱり俺、間違ってると思う」

「え?」

「……難しいことはよく分かんないけど……それで白菊さんは幸せなんすか? 俺にはそう思えない」

「……でも」

「白菊さんなら変えられる。だから、もうこんなことやめましょうよ。先生も、そう望んでるはずだし」

「……!」

世界が一瞬にして鮮やかに色を変えました。目の前で微笑む杜山くんの顔はとても優しくて。

これが、愛するということ……。


「杜山くん、いいえ堂司くん」

「はい?」

「白菊と結婚してくださいまし」

「……はい?」

「白菊と結婚してくださいまし」

「……はいぃ!?」

「白菊を妻に娶った暁には、毎朝とびきりの愛妻弁当をお作りします。肩もお揉みしますし、堂司くんがお望みなら毎晩でもお相手します。うふふ。それから、春にはお花畑にピクニック、白菊めがおにぎりをお作りします。お好きな具は梅干し? 鮭? 鳥五目? ああそうそう、それから……「いい加減にしろよ!!」

堂司くんが声を荒げたので、白菊は驚いてしまいました。けれど、その後に続いた言葉は、もっと大きな衝撃を白菊に与えたのです。

「前から黙ってたけど、お前の愛は押しつけがましくて独り善がりすぎるんだよ! それってただ依存する相手が欲しいだけじゃないか! そんなの……本当に人を好きになってるとは思えない。俺はあんたが許せなくなったよ……いやお前だけじゃない、先生もだ! 八重さんと糾子ちゃんのこと振り回してさあ……何がヤンデレだ!! 何がメンヘラだ!! 俺は誰ひとりとして、許せない! 全員根性叩き直してやる!!」

「……」

「俺は……俺はさ、八重さんのこと、好きだったんだよ!!」


+++


屋上に戻ってきたはいいものの、あの二人は姿を消していました。

ただ、行った場所の目星はついています。おそらく……二人して異空間に飛んでしまったのでしょう。

「俺、さっきは言い過ぎた。ごめん」

「いいえ……構いませんわ、旦那様」

「だからって、俺引っ付いていいなんて言ってませんからね? ……あれ」

「どうかなさいました?」

堂司くんは、あたりを見回して首を傾げました。


「糾子ちゃん、何処行った?」


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