ぶらっくロリィタきゅーこちゃんとゆかいなゆーかいはん
初のきゅーこちゃん視点……なんだけどなぁ。
『今日はやえさんが寒そうにしていたので、家をあたためておいてくださいね』
おねーちゃんが家にわすれたスマホで、先生とメール。
『は? わたしはあんたに指図される覚えないんだけど。このくされロリコン』
入力して送信。
『相変わらずひどいですね、やえさんにそっくり』
『そりゃな』
『本当にあなた小学二年生ですか』
『でなきゃなんなんだよ』
『ですよね(笑)』
めんどくさくなって、スマホをポケットにしまう。
おねーちゃんは「かほご」すぎる。そしてわたしを「できあい」しすぎる。付き合ってるこっちも大変だけど、やしなわれてる以上はぜいたく言えない。
今日は家に帰ってすぐお気に入りのスカートにはきかえた。黒のフリルミニスカート。わたしがこれをはいてオトせないロリコンがいないというのは、すでに小学校教師で検証済み。そのうち一人はおねーちゃんとお兄さんが撃退しちゃったけどね。
今日は留守番しててっておねーちゃんに言われたけど、約束をやぶることにした。何しろ天気がいいから、黎ちゃんおすすめのお菓子屋さんに行こうかなって思って。
おねーちゃんは、わたしが「鬼の末裔」じゃなくて「鬼」だってことをわすれてる。
わたしのほうがずっと強いのにね。
***
ピンクのマフラーを巻いて、木枯らしが吹いてる町を一人で歩く。
あっ、もうあの店クリスマスの支度してる。気が早いなぁ。
「おい、貴様」
後ろから女の人の声がした。振り返ると最近うちに居候し始めた白菊さんに似てる人が立っていた。
「……だぁれ?」
「ふっふっふ、私の名は初霜。貴様の姉の友達だ」
……。
めんどくせぇやつがふえた。けど、ここは乗っとくか。
「わー! おねーちゃんのお友達?」
「そうだ。だがこんなことをしている暇は無いのだ。貴様の姉が病院に担ぎ込まれたから、迎えに来たのだよ。さぁ、早く」
「……ハッ……あ、ごめんなさい。それ人違いだと思うの。おねーちゃん、前に高校教師と殺しあいして血みどろのまま帰ってきたから」
「こ、殺しあい!? 血みどろ……あ、ああ済まぬな人違いだった。いやーあはは」
「で、わたしに何の用?」
「……なあ、貴様可愛いものは好きだろう?」
「うん!」
「じゃあ一緒に買い物しないか?」
ああ、これ多分最近学校でしつっこく教えられた「ゆうかいはん」だ。知らないおじさんについていくなとは言うけど、若い女の人は何も言われないんだね。きゅーこ、こういう「ふびょうどう」キライ。




