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回想五 あの日も雪が降っていた。

 あの、自信有り気な、楽観的な表情で。


 兄貴が突然うちに訪れたのは、日向ちゃんと付き合い始めて初めて年を越した、冬のある日だった。

 朝から冷え込む日だった。昼間、店番をしていて、いらっしゃいませと言って顔を上げて、誰が訪れたのか気付いた。


「兄貴」

「久しぶり」


 兄貴が奥さんと子供を連れて、帰って来た。お正月にも帰って来ないし、年賀状のやり取りくらいしかしないのに、どうしたんだろう、と不思議に思った。奥さんがこんにちはと笑顔で言って、抱いているまだ二歳の息子にもそうさせる。

 兄貴は笑顔で店を見回した。


「変わんないな」

「珍しいね」

「まあな」


 好んで、うちを出て行って、うちに帰って来ない様なものなのに。どうしたんだろう。

 戸惑いつつ、胸騒ぎがした。

 我が物顔で、兄貴は奥さんと子供を連れて店の奥に入って行く。僕はそのままレジにいた方が良いのかと迷ったけど、気になってその後に付いて行った。

 昼食をとっていた親父と母さんは、兄貴が一家でやって来た事にびっくりして箸を止めた。


「ひろじゃないか」

「久しぶり、親父」

「まあ、こんな寒い日に。随分久しぶりね。上がって」


 母さんは慌ててお茶を用意しに台所に行った。兄貴達は畳に上がって、親父と向き合った。親父は目を丸くして兄貴を見つめる。


「正月も来ないのに、何だ」

「まあね、いろいろ」

「ほら、お祖父ちゃんにご挨拶しなさい」


 二歳の子供は母親にそう促されるものの、慣れない場所だから落ち着かない様子で、不安げにあちこちを見回す。随分前に一度来たけれど、その時は赤ん坊だったから、覚えていないのだろう。

 兄貴と最後に会ったのは、一年ほど前に赤ん坊を見せに来た時だった。あまり話さなかった。僕は兄貴の結婚式にも行かなかった。親父と母さんが行っている間、店番をずっとしていた。大学の課題があって、それを理由に欠席した。だけど本当は、兄貴が、昔から苦手だったからだ。

 親のお店を継ぐ、という事に抵抗があったのか、嫌悪感を持ったのか。昔から反発して、店は継がない、就職したら家を出て行く、と言っていた。

店なんか、高泰が継げば良いじゃないか、俺はごめんだね、こんな商店街で一生を過ごすなんて。

 兄貴が親父にそう言っていたのを聞いた事がある。少し悲しそうにしてるだけで、親父は何も言っていなかった。

 親父も母さんも、何も継げとは言った事はなかったと思うし、僕も言われた事がない。好きな事をして良い、親だから、協力はする、と言ってくれていた。それなのに、兄貴は思い込みが激しいようで、突っ走っていた。僕は、兄貴が風習を打ち破って格好良い気分になっているようにしか見えなかった。

 その後、兄貴は大学を卒業して就職、それから結婚して独立した。念願通り家を出たのだ。それからは連絡もまばらになり、家に帰って来る事は滅多に無かった。

 それが今日やって来て、妙に我が家らしく、兄貴が振舞っているのが気になった。ここに住んでいた頃の方が、よそよそしかったくらいだ。

 簾から覗いていると、母さんがお茶の用意をした盆を持って、入って来た。見計らったように、親父ととりとめもない話をしていた兄貴が、切り出した。


「俺さ、家族でこの家皆で住みたいと思うんだ、改築して、皆で」

「何?」

「俺、店を継ぎたいと思って」


 親父も、母さんも固まった。びっくりして目を見開いて、兄貴を見ている。

 僕は言葉を失って、立ち竦んだ。

 今、何て言った?


「なんかさ、いきなり言い出して悪いんだけど、早めの方が良いと思って」

「お前、仕事どうしたんだ」

「まだやってるよ。来月付けで辞めようと思っている。本格的にこっちに移ってから、辞めようと思って。今の仕事なかなか上手くいかなくて、何と言うか、やりがいがないんだよなぁ」


 そう言って兄貴は笑う。


「それでどうして店を継ぎたいなんて言い出すんだ」

「こっちの方が向いてるかなーって思って。俺自信あるよ。会社で営業やってたから、接客くらい出来るし」


 背筋がぞおっと寒くなり、血の気が引いた。

 どうして今更。

 自信がある?接客くらい出来る?

 ずっと兄貴はうちから離れていたくせに、お店を軽くこなせるというのか?

 帰って来るのだろうか。

 僕が高校三年生の半ばから、今までやって来た事は、どうなるんだ?

 呆然と兄貴が続けざまに、話す事を聞く。

 早めに引っ越して来たいから、改築費用は俺が大半出す、間取りをどうする、子供がまだ小さいから幼稚園は何処が良い、嫁も賛成している事だ。

 ああして、こうして、兄貴が言っている事を聞いている親父は段々渋い表情になってきた。


「ひろ」

「何?」


 固い表情の親父に気付かず、兄貴は明るく聞く。


「店は高泰がいる」


 兄貴は軽く笑って言った。


「やすは店の手伝いしてりゃ良いだろ」


 その言葉に、切れた。

 簾をくぐって、家の中に入って兄貴の背後に立って見下ろした。


「ふざけるな」


 振り返った兄貴は、予期せぬ反応、といった表情で僕を見た。


「は?」

「ふざけるなって言ってるんだ」

「ははっやす、なんだ、お前も継ぎたいのか」

「いい加減にしろっ!」


 全く相手にしてないっていう態度だった。

 一気に頭に血が上って、畳に上がって立って兄貴を見下ろした。

 兄貴はびっくりして、思ってもみない、という風に僕を見上げた。


「何で帰って来るのさ!店を継ぐってどういう事だよ!自分から嫌だって言って出て行ったくせに。僕はずっとこの店を継ぎたくてここで働いていたし、親父からも色んな事を教えて貰ってきた。大学も店を継ぎたいから経営に役立ちそうな学科を選んだ。ずっと働きながら、商いのノウハウも、商品の仕入れ方も、接客も学んで来たし、商店街に馴染むようにもしてきた。それが何だ、何だよ今更。今更何なんだよ!僕がして来た事全部捨てろって言うのか!!」


 いつも僕をオマケくらいにしか思っていない。一個の人格のある人間として見ていない。僕を、一人の心のある人間として、尊重しない。


 子供の頃母さんがチョコレート菓子の箱を二つ買って来た。兄貴に渡して僕にも一つあげるように言った。

 兄貴は二箱とも全部食った。

 僕が泣いて母さんに訴えて、母さんが兄貴に訊くと、兄貴は「やすは食べないと思った」と言った。

 僕の事を勝手に決めていた。


 僕の財布の中身が減っていた事があった。明らかに家に置いてある間になくなっていた。泥棒が入ったのかも知れないから、親父や母さんにも話した。その後、帰って来た兄貴に、両親がこういう事があったから戸締りは気を付けてくれと言うと、兄貴は悪びれもせず自分が使ったと言った。

「やすのだから良いと思った」

 それが言い分だった。


 部活で遅くなる僕の為に、母さんが作って置いておいてくれた夕飯の事は、よくあった事だ。テーブルの上に置いてあってテーブルが使えないからと、全部兄貴は片付けてしまった。


 昔から、肉親の心から分離出来ていない所がある。肉親も自分と同じ心で自分のものであると勝手に振舞う。子供と一緒。僕に対して特にそれが酷かった。

 それでよく他人と付き合える、と思うが、外ではあまりそういう傾向もないらしく、顔が良いせいか明るい性格のせいか、兄貴は男とも女とも分け隔てなく付き合っていた。

 一方僕は、控えめに、人当たり良いように他人と付き合うようになっていった。人の話をよく聞いて、ちゃんとしてると先生に言われた事がある。思わず苦い気持ちになった。

 兄貴のようになりたくなかったからだ。

 それでもずっと我慢した。兄貴だし、兄貴の性格じゃしょうがないって。家族として生活している時分は、トラブルなく、衝突せずに、まとまっていた方が良いって。僕が我慢して、家族がまとまるなら、それで良いと思っていた。

 でもたった一人の兄に、一人の人格のある人間として認められていないって、どういう気持ちだと思う?

 ずっと踏み付けられていたんだ。そのお陰で、何度も心が疲弊した。

 何だ?

 今度は、僕に出て行けって言うのか?

 店にディスプレイしてある燭台が脳裏に浮かぶ。今度はあれが、兄貴のものになってしまうのだろうか。


 僕がやって来た事、全部捨てろと言うのか。


 びっくりした顔で兄貴は僕を見上げていた。

 大きな声で怒鳴る僕なんて初めて見たのだろう。僕だって初めてだ。

 母さんが寄って来て心配そうに僕の片方の肩を押さえた。子供が泣く。

 兄貴がはっとそれに気付いて、怒って言った。


「なんだやす、大きな声を出すんじゃない。子供が泣いちゃったじゃないか」

「高宏」


 親父が腕組みをして、厳しい顔付きをして言った。


「お前には継がせないぞ」

「は?」


 狼狽して、兄貴は親父を振り返った。


「何だって?」

「うちに、本当に俺と母さんとやすと、住みたいんだったら、一緒に住むのは別に良い。だが、店を継ぎたいからなら、断る。お前は何の為に家を出たんだ。お前から言い出したんじゃないか、店は継ぎたくないと」

「言った、けど・・・」

「やりたい事があるなら、好きにやりゃあ良いと思ったさ。それで出て行ったって。父さんと母さんが始めた店だけど、やる人間がいなくなって、潰れるのも運命だと思った。高泰がやりたいって言ってくれたから、続くようなものだ。・・・高泰は真剣だよ、店に対して。俺と母さんが築いてきたものに対して」

「でもそれは俺が店を継がないからだろ?」

「お前人の話を聞いてなかったのか。高泰はこの店をやりたいから、継ぐって言ったんだよ」


 兄貴は俺を振り返った。親父は続けた。


「営業やってたから接客くらい出来る、だと?高泰が店を手伝い出して、六年・・・七年になるか?接客だったら、やすの方が出来るさ。ここは商店街だ。営業とは違うんだよ。やすはもうお客さんの顔馴染みだし、商店街に溶け込むようにもして来た。行事にも参加してきた。七年間、努力しているのを、父さんも母さんも知っているよ。七年は長いぞ。店の事も、大分解かってる。商品を仕入れもしている。やすが選んだ商品も、置いてある」


 兄貴の奥さんは泣いている子供をあやしながら、戸惑ったように、親父と兄貴を交互に見る。

 構わず、厳しい表情をして、親父は言い切った。


「それくらい出来るなんて、店をやる事を侮っている人間に、俺は店を継いで欲しくない。それに、七年間・・・やすがやっていた事を見てないから、ひろには実感が無いだろうが、実感がないからって、やすを無視して店を継ぐと言い出すのは、許さん」


 僕は少し驚いていた。親父がここまで言うとは思わなかったのだ。ずっと家族が円満でいる事を望んで、兄貴が何を勝手に言っても、軽い雰囲気で和ませて、家族の調和を保って、兄貴の扱いに一番気を使っていたから。兄貴の申し出を、ばっさり切り捨てるなんて事、今までなかった。

 兄貴も、兄貴の奥さんも、予想だにしなかった事なのだろう。目を丸くして両親を見つめる。兄貴は自分の都合の良いようにしか考えないだろうから、来月付けで仕事を辞めると言えば、すぐにでも了承してくれると思っていたのだろう。奥さんと子供を連れて来たのもその為だ。了承が貰えれば、すぐにでも挨拶でもさせる気だったのだ。

 呆然としていたが、慌てて兄貴は親父に言った。


「ちょっと待ってくれ。俺は今会社で辛い状況なんだ。周りの人間は出世していくけど、なかなか俺は出来なくて。やりがいも感じないから、そうなっても頑張ろうという気になれない」

「甘えるな。それは上手くいかないから嫌になっただけじゃないか。ただの我が儘だ。辞めて他の職に就いても、上手くいくわけがない」

「だからって、親父、俺を見捨てるのか?」

「見捨てるのか、だと?それじゃあお前は高泰を見捨てるのか。高泰がやって来た事全部、捨てさせろと言うのか。弟がして来た事を全て無視して。そうまでして、お前に店を継いで貰おうとは思わない。甘く考えるな!」


 強い口調で、親父は兄貴を叱った。

 奥さんと子供の目の前で叱られてか、親に自分の融通が通らなかった為か、自分を差し置いて、弟を支持された事にか。兄貴は愕然としてから、思い通りにならない事に腹が立ったようで、兄は怒って勢いよく立ち上がった。

 当然、快く了承して貰えるものと思ったのだろう。まさか、いい歳しているのに親にこんなに叱られるとは、兄貴にとって予想外だったみたいだ。兄貴は勢い任せに怒鳴った。


「分かったよ!そんなに言うならもう帰って来ねぇぞ?!」

「ああ勝手にしろ!出てってくれ!」


 親父も怒鳴り返した。兄貴は激昂のままにその場を後にして、奥さんは驚いておどおどしながら、子供を抱いて兄貴の後に付いて行った。

 通り過ぎざまに、兄貴は僕に吐き捨てるようになった。


「お前に出来るもんか」


 僕は呆然としていた。ただ、兄貴が目の前を通るのを見ていた。母さんは心配そうに、兄貴達の後を付いて行く。僕は力が抜けて、壁に寄り掛かった。

 店の出口の方から兄貴の怒鳴り声が聞こえた。


「こんな店・・・もう二度と帰って来ねぇよ!」


 母さんのすすり泣く声が聞こえた。親父は畳の上で腕を組んで、だんまりを決め込んだ。

 僕はぼんやりと、天井の板の隙間を眺めて、ああ、遂に壊れちゃったな、と思った。


 今まで、何だったんだろう。


 その後、やり切れなくなって、僕はエプロンを脱ぎ捨てて、ベージュのコートを着て外に出て行った。母さんと親父に呼び止められたような気がするけど、よく覚えていない。


 雪が降り始めていた。地面に着けばすぐ水になって溶けてしまうような、淡い雪だった。雪に降られる商店街の中を歩いて、ふらふらさ迷った。うちや商店街にいられないような気持ちだった。街から離れて線路伝いに、歩いて行った。


 僕がお店を諦めたら良かった?

 そうすれば、家族に決定的に、亀裂が入る事は無かったのかな。そもそも幼少時から、兄貴に僕は僕なんだと主張すれば良かった?

 でもそれは、人格のまだ定まらない子供に出来た事?

 じゃあ、もっと早くに、兄貴をどうにかしろと、両親に訴えれば良かったのかな。

 奥さんと子供もいる兄貴に、譲れば良かったのかな。

 あれ以上もっと、我慢すれば良かったのかな。

 そしたら僕はどうなるんだ。もっと違う道があるのか?

 このままお店を手伝ってて、僕は満足出来る?

 兄貴を蹴落としておいて。

 それは許される事?


 気付けば、夜になっていた。知らない住宅街で、街灯に雪がちらちらと寂しく途切れつつ、照らされていた。

 体が芯まで冷え切っていた。心は深い闇に落とされていた。

 出ない答えがあると知っているのに、出ない答えの渦に捕らわれていた。


 夜闇に包まれた、誰もいない閑散とした公園に出会った。雪だけが、静かに降り注ぐ。

 木陰になっている、少し濡れたベンチに、疲れて座り込んだ。この雪がもし積もるものだったら、雪の中に埋もれてしまいたいのに。気持ちが疲れて何も考えたくない。


 だけど、奇特な運命というものもあるものだ。

 僕にとって奇跡とはこの後の出来事だった。


 電話が鳴った。座って暫く経った後のことだった。

 コートを着ただけで、店にいたままの格好で外に出たから、携帯電話をズボンのポケットに入れたままだった。

 最初は無視していたけど、しつこくバイブが震え続ける携帯電話を無視出来なくなって、電話に出た。


「はい」



『景気のない返事だ』



 その声ときっぱりした返事を聞いて、ドキリとした。

 思わず目が覚めたような気持ちになったが、脱力した。

 開口一番、それですか。


「・・・日向ちゃん?」

『無論』

「どうしたの」


 彼女からの電話は偶にあるけれど、大体はデート中にすっぽかした謝罪の電話だったりする。

 ふむ、と一息ついて、日向ちゃんは一気に言った。


『ノアが神から天啓を受けて箱舟を建造したが如く私の頭の中に突如天啓が雷撃して君の携帯電話に連絡を取る必要性を感じ即、電話を掛けてみたまでだ』


 よく淀みなく言えたものだ。


「要するに、突然思い立って電話掛けてみたってこと」

『うん』


 僕も大分彼女との会話に慣れたものだ。

 それから日向ちゃんはうきうきとした声で言った。


『知っているか、今雪が降っている』

「そうだね」

『どうした、元気がないようだ』


 なんだかじんわり、胸がほぐれてきたようだ。思わず口元が緩んだ。


「あー、本当に神様の思し召しかも」

『・・・何?』


 僕の異変を感じ取ったのか、日向ちゃんは無言になった。沈んでいると気付かれたくなくて、僕は笑おうとしたけど、乾いた笑いしか出なかった。

 しばらく無言になった。僕は、日向ちゃんが自分に何かを言ってくるだろうと待っているのだと分かって、声を絞り出した。


「やり切れなくなりました。僕はどうすれば良かった?」

『おい』

「捨てちゃえば良かった?今まで何だったんだろう。僕が諦めたら、ああなる事、なかったの?」

『たかやす』


 名前を呼ばれて、はっとした。初めて呼ばれたような気がする。


「な、何?」

『事情は分からないが。待ってろ。何処いる』

「いや僕にもよく・・・線路の側を、歩いて行ったって事しか」

『目印になるようなもの、ないのか』

「公園に今いる」

『公園の名前は?』


 僕は公園の名前を探して、伝えた。

 電話越しにパソコンのキーボードを弾く音が聞こえて、再び日向ちゃんの声が聞こえた。


『場所が特定出来た。今から向かう。そこから離れるな』

「ちょっと待って、今大学いるんじゃないの?出て来て大丈夫なの?」

『知らん』


 そう言うと、ぷちっと電話を切られてしまった。

 知らんて。良いのかそれ。

 僕は呆然として、ポケットの中に携帯電話を仕舞う。当惑しつつ、でも悪い気分はしない。彼女がやって来る。

 雪は街灯を透してちらちらと舞い落ちる。相変わらず積もらない雪。

 僕の為に、やってくる。

 安堵の溜息が、空中に白い靄になって広がった。


 即決即断即行動。

 日向ちゃんの行動理念だ。

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