表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/39

別れの危機とあたし2

二日が経って、和人は無事に復帰した。田中と美佐は学校を休んでいる。

狩野先輩や里絵と和人が戻ってきたことを喜んだ。

あたしは別れ話をいつ切り出そうかとこのところ、よく考えている。

そのたびに、狩野先輩たちからは心配そうにされる。

あたしは和人と友達の間柄でいようと決めたのであった。



夕方になり、携帯のメールで和人を屋上に呼び出した。

「可奈、どうしたんだ?もう、帰る時間だよ?」

訳が分からないらしく、和人は不思議そうな表情であたしに近寄ってきた。

「…和人、その。いきなり、呼び出してごめんね。話したいことがあって」

うつむきながら言うと、和人は真顔になる。

「話したいことって何?もしかして、美佐がまた何かしてきたのか」

心配そうに聞かれたけど、あたしは首を横に振った。

「違う。美佐は何もしてこなかった。あたしね、この一週間、ずっと考えてた。どうしようって。和人と別れようかどうしようかってね」

やっと、切り出したあたしに和人は驚いたみたいだった。

「…な。俺と別れようってずっと、考えてたのか?」

こくりと頷いた。

和人はショックを受けたらしく、固まってしまった。

そりゃそうだろうと思う。

やっと、休学処分が解けたというのに、いきなり別れ話を切り出されたのだから。


あたしは自分でこの恋に幕を引こうと決めていた。

別に、和人は悪くない。

ただ、これ以上、田中や美佐に悪さをされるのが恐かったから。

だけど、和人や先輩たちに迷惑をかけたくないのも別れる一つの理由だった。

「…ごめんなさい。あたしと付き合ってたって、良いことはないと思うから。先輩や里絵にも迷惑をかけたくないし」

「それが可奈の本音?俺は可奈が好きだから、付き合ってる。それのどこが悪いんだ。美佐や田中は俺に恨みがあるから、可奈に悪さをしてきている。だとはいえ、別れることはないだろう」

責めるような口調にあたしは焦った。

怒らせたと思ったからだ。

「和人。別れた方が互いの為だよ。あたしには何もできない」

「そんなことはない。俺はまた、以前みたいに可奈がならないか心配なんだよ。よく、熱を出してたじゃないか」

真剣に言われて、口ごもってしまう。

和人はあたしの手を握ってくると、まっすぐに見つめる。

「可奈は俺といた方がいいよ。俺が今度からはおまえを守る。だから、別れるだなんて言わないでくれ」

さすがにここまで言われると、別れた方がいいとはいいにくくなった。

あたしは顔が熱くなるのを止められなかった。



あたしはその後、和人と付き合い続けることを決めた。

里絵や狩野先輩と話し合って、美佐と田中に反撃することにした。

まず、田中に対しては先輩と和人が近づいてふんじばり、美佐はあたしと里絵の二人でお灸を据えるという作戦だ。

そのためには二人を引き離すのが重要だった。

翌日、学校に行ったあたしたちは放課後を待つ。

「…それにしても、宮原と可奈が別れなくてよかったよ。一時はどうなることかと思ったんだから」

里絵が苦笑いしながら、そう言ってきた。

「…心配かけてたんだね。ごめん」

謝ると里絵はあたしの額を軽くこづいてきた。

「本当に心配してたんだからね。もし、宮原と別れちゃってたらあたし、美佐さんのこと許せなかったかも」

そんな風に思っていたとは。

あたしは驚きのあまり、目を見開いていた。

里絵が美佐を許せないか。

本気であたしの味方になろうとしてくれてたことに気づいて、泣きそうになった。

「ありがとう。それにごめんね」

里絵の手を取って握りしめた。

泣きそうになるのを我慢しながら、里絵に笑いかけた。

狩野先輩や和人はその場にはいない。

だから、恥ずかしくはなかったけど。

だが、里絵は照れたらしく、あたしの手を放すと顔を横に向けてしまった。

怒ってしまったのかと思ったけど、違うみたいだ。

ほっぺたがうっすらと赤かったからだ。照れているらしい。あたしは笑いながら、里絵に行こうと促した。



田中と美佐が二人でいるのを発見した。狩野先輩と和人が最初に近づいていった。

「田中、ちょっといいか。話がある」

狩野先輩が声をかける。

和人はそれを廊下の端っこで見守っていた。

「…狩野先輩?!お、俺に話って何ですか」

途端に田中はビビりながら、先輩を見ていた。

狩野先輩の鋭い視線にはたじたじのようだ。

あたしや和人と対峙した時は不敵な笑みを浮かべていたのに。

あまりもの違いにけっと言いたくなる。

「田中、ここだと目立つから。体育館裏に移動するか。宮原来い」

先輩に呼ばれて、和人が歩み寄った。

「…田中。久しぶりだな」

和人は笑いながら、田中に近づいた。

「宮原。停学してたはずじゃなかったのか」

「停学だったら一週間でとけたよ。おまえにまんまとハメられたな」

和人は笑っているけど、目が笑っていない。

そして、先輩は田中の腕を掴むとずるずると引きずるようにして体育館裏へと向かっていった。

あたしと里絵も残された美佐に近づいた。

美佐は顔を青ざめさせた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ