君とあたし3
一日で、二話を投稿してみました。
朝食を食べ終わると、洗面所に向かい、歯磨きと顔を手早く洗い、髪をブラシですいた。
制服が濡れてしまわないように、気をつけながら、スカーフを結び直す。
壁に立てかけてあった鞄などを手に持つと、母さんがお弁当よといって、渡してくれた。
鞄の中に入れて、玄関へと向かう。
時計を見ると、七時を過ぎていた。
「行ってきます!」
「いってらっしゃい」 母さんの声に送り出されて、小走りで学校を目指した。
電車や自転車を使わなくても、徒歩で十五分の距離にある学校にあたしは通っている。
クラスは二年三組。 中学からの同級生や小学からの友達も四、五人ほどが通っていた。
では、何故、あたしがこんなに早めに登校しているのか、それには理由がある。あいつと会わないようにするためだ。
だから、寝不足になろうとも、早起きをし続けている。
おかげで、先生方からは、遅刻なしの良い生徒だとほめられたことがあった。
日直でもないのに、早めに登校するあたしをクラスメイトは、「早起きの樋口」とセンスを疑うニックネームをつけてくれたのであった。
あいつ、宮原和人はあたしと同じクラスである。
成績は中の上で、運動神経もあり、ルックスもそれなりだ。 制服も崩したりせず、きちんと着ている。
髪や瞳の色が珍しく、少し薄い。
茶色の髪と薄めの赤茶色の瞳で、顔立ちはジャニ系といえなくもない。
肌も白く、見かけは女子に間違えられそうな感じだ。
性格も明るく、気さくな奴だ。
おかげで、男子にも女子にも人気がある。
学校に着くと、校門をくぐる。
運動部の生徒がグラウンドなどにいるくらいで、人もまばらに見えるくらいだった。
静かな中で、玄関まで歩いていき、靴から、上履きにはきかえる。
廊下を進んで、二階にある教室まで向かった。
がらりと戸を開けても、人の姿はない。 ほっとしながら、自分の席にまで行って、鞄を横のフックにかけて、いすに座る。
「…あ、加奈。今日はずいぶんと早くに来たんだ」
横から、高めの可愛い声が聞こえた。
のろのろとそちらに顔を向けると、肩までつく黒のストレートと黒い大きな瞳が目を引く女子がそこに立っていた。
「美佐。おはよう」
挨拶をしてみると、美佐は驚いたように大きな瞳をさらに、見開いた。