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ライバルとあたし7

里絵と話を楽しんでいたら、練習試合が終わった。

あたしは狩野先輩が戻ってくるのを一緒に外で待つ。

「…今日はいろんな話ができて、楽しかったよ。あたし、女じゃなかったら、可奈とつき合うんだけどな」

からからと笑いながら、意外なことを里絵は言ってのける。あたしはそれにどきりとした。

「えっ。そうなの?」

「うん。可奈とだったら、いいかなって」

「…でも、あたし。和人がいるから、友達でいいかな」

真面目に返すと、里絵はがっかりしたような顔になった。

「えー。残念、冗談だったのに」

「里絵がいったら、冗談に聞こえないよ。本気なのかと思った」

ふられちゃったと言いながらも、里絵は楽しそうにもしていた。



狩野先輩が戻ってきたので、あたし達は三人で一緒に帰った。

「里絵、なんだか、樋口さんと仲良くなったみたいだな」

「うん。宮原のことやいろんなことを話してたんだ。楽しかったあ」

にこりと笑いながら言うので、狩野先輩も穏やかに笑った。 二人とも良い雰囲気なので居心地が悪い。

「あの、あたしもいるんだけど」

つい、言ってしまった。

すると、先輩は慌てたらしく、咳払いをする。

里絵も顔を赤らめながら、恥ずかしそうにする。

「ああ、ごめん。可奈がいるのはわかってたよ」

嘘つけと言いたくなった。

でも、怒るのはやめておいたのであった。



里絵や先輩と別れて、自分の家を目指して歩き出した。

ふと、空を見上げると一番星があった。半分に欠けた月も上がっていて、急いで早歩きをする。

(やっば!これ以上、遅くなったら怒られる)

あたしはその思いだけで、ひたすら、家路を急いだ。



「…遅い!何時だと思ってんの!」

案の定、かんかんに怒った母さんが待ち受けていた。

「ごめん、狩野先輩や里絵とおしゃべりしてたら、遅くなっちゃって」

「いいわけはなし。それに、狩野さんとか里絵さんて誰なの?この間まで美佐ちゃんと一緒に帰ってたじゃないの」

いぶかしげな顔をされる。

しまった、母さんは狩野先輩や里絵とは会った事がないんだった。

それに気が付いて、あたしは説明する。 「…新しくできた友達。狩野先輩は男でその友達の彼氏なんだけど。美佐とは絶交して、もう友達じゃなくて…」

「何が言いたいのかさっぱり、わからないわね。でも、美佐ちゃんと絶交したって本当なの?」

こくりと頷くと、母さんは黙ってしまう。

父さんには説明をしたけど、母さんには言っていなかった。あたしは簡単に説明を続けることにした。

「…和人、今の彼氏とつきあい始めた時に美佐からいきなり、友達解消するって言われて。美佐、和人のことが好きだったらしいんだ。告白したけど、あたしが好きだからつき合えないとフられたことがあったらしいんだ。その腹いせにあたしとは絶交しようと思ったみたいで」

母さんは驚いたらしく、目を見開いた。

「…そんなことがあったの。そういえば、宮原君を最近は見かけないわね。その後、何があったの?」

母さんはさらに質問をしてきたので、田中とのことや和人が怒って、田中を殴ってしまい、一週間休学になったことも話した。

母さんは驚いて、顔を強ばらせる。

「…ごめん、話さなくて。あたし、和人とは別れるから」

「そう。でも、田中とかいう子があんたに無理矢理、迫ってきて。それを知った宮原君がその子を殴りつけてしまったのね。男女の問題は複雑になりやすいから。その、宮原君の休学が終わったら、じっくりと話し合ってみなさい。別れるのはそれからでも遅くないはずよ」

母さんは怒ったりせず、ゆっくりと諭すように言ってくる。あたしはありがとうと言った。

「…でも、父さんは知ってるの?話した方が良いと思うわ」

「あの、この間の日曜日に話したんだよね。だから、父さんは知ってる」

それを言うと、母さんはさらに驚いてみせた。

あたしはその後、自分の部屋に入った。ベッドにダイブして、突っ伏した。

今は誰とも話したくなかった。

あたしはそう思いながら、目を閉じる。母さんは和人と別れろとは言わなかった。

それがよけいに不安を煽る。

どうしたらいいのだろうとため息をついたのだった。


あたしは夕食を終えてお風呂にも入り、夜の十時頃には部屋で眠っていた。

部屋の電気は消しているため、真っ暗である。

そんな時だった。

突然、聞き覚えのあるメロディーが耳に入ってくる。

眠い目をこすりながら起きあがると、勉強机の上に置いてあった携帯の液晶画面がぴかぴかと点滅していた。

やっと、音の正体がわかったので勉強机にまで近づくためにベッドから下りる。机にまでたどり着くと、携帯を手に取った。

画面を見てみると、宮原と名前が表示されている。

ボタンを押して、メールではなく、電話だとわかった。

出てみると、懐かしい声が聞こえてきた。

『…もしもし、可奈?遅くに悪いな』

「もしもし。和人なの?」

おそるおそる尋ねてみると、和人は答えてくれた。

『そうだよ。もう、俺のこと忘れちゃったのかな』

「ううん。そんなことないよ!忘れたりするはずないって」

和人は苦笑いしたようだった。

声の感じで何となくわかった。

『可奈、それよりも田中や美佐とは最近、どうだ?何もなかった?』

「大丈夫。避けられたりされるくらいだから。狩野先輩や里絵がいてくれてるし」

そういうと、和人は安心したようだった。

その後、たわいもない話で盛り上がった。

あたしは別れ話は切り出せないでいた。


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