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ライバルとあたし4

翌日、日曜日になって、あたしは家から出ずに、母さんや父さんと話したり、テレビを見ながら、過ごしていた。

課題も夜までには、済ませてしまった。和人からは、メールが来た。

〈可奈へ

この間から、何かと迷惑をかけて、ごめん。

お父さんに俺のこと、話してくれて、ありがとう。

お父さん、俺とつきあい続けるの、反対してなかったかな?それが気になって、メールしてみた。

もし、よかったら、返事をくれないかな。〉

えらく、遠慮がちな内容にあたしは、いつもの勢いはどうした、と言いたくなった。

それでも、返事は送っておくことにする。

〈和人へ

そんなに、気にしなくていいよ。

父さんは反対してなかった。

あたしも和人の休学が終わるまでは、待ってるから。

今度からは互いに、気をつけようね。〉 そういう風に返信をしておいた。

これから、一週間は彼に会えない。

わかってはいても、不安だった。

こんな形での決着は望んでいない。

みんなが納得できる終わりでなければならない。

あたしはそういう風に思った。

美佐、今、あんたはどうしてる?

あたしと美佐は友達をやり直せないのかな。

複雑にあたしの気持ちは揺れていた。


夜になって、和人から、また、メールが来た。

〈可奈へ

返事、ありがとう。確かに、お互いに気を付けないとな。

わかった、今度からは田中や美佐の動向にも気をつけておく。

後、朝や夕方に帰る時は里絵に頼んどいたから、安心してくれたら、良いよ〉

という内容だった。 あたしは夜も遅かったけど、返信しておいた。

〈和人へ

わかった、本当にあたしも気をつけるようにする。

それと、里絵さんと一緒に帰ることについても賛成。

わざわざ、頼んでくれてありがとう。

狩野先輩には悪いこと、しちゃうかな?それじゃ、おやすみ〉

そう、返事をすると、眠りについた。



翌日の朝方、あたしの家には見慣れない長身の人影と長めの茶髪の人影があった。

歯磨きや顔を洗うのが終わった時だったので、慌てて、母さんに怒られながら、玄関へ向かった。

制服を着て、学校へ行く準備はすでに出来ていたから、よかったけど。

「おはようございます。可奈さん、いますか?」

里絵さんの元気な声が中に響く。

「可奈、お友達が来てるわよ。急ぎなさい!」

お弁当を詰めて、行こうとする。

ふと、もう一つのお弁当箱がなくて、手が止まった。

けど、首を横に振って、里絵さん達のいる玄関へと小走りで行った。


玄関には、目つきの鋭い彼氏こと狩野先輩が里絵さんの横に立っていた。

「おはよう、樋口さん。朝っぱらから、ごめんね。涼君にもいったら、ついてきちゃって。まあ、気にしなくていいから、ね?」

上目遣いで訊いてくる。

「いや、いいよ。先輩が一緒に付いてきてくれた方が安心だし」あたしは笑いながら、そう言った。

里絵さんはよかったと安堵している。

狩野先輩は照れくさそうにしながらも、あたしのほうを見てきた。

「…二人とも、おしゃべりするのも良いが。行かなくていいのか?」

低い声で言われて、あたしと里絵さんはそうだったと思い出して、外へと出た。

八時の五分前には、学校に着いていた。 狩野先輩は朝練がなかったので、一緒に来れたらしい。

三年の教室のある二階で別れると、二人で三階へと行く。

「里絵さん、狩野先輩の所属している部活って、何部なの?」

ふと、気になったので、尋ねてみた。

里絵さんはああと請け合いながら、教えてくれる。

「涼君はね、剣道部だよ。あれでも、剣道二段の資格も持ってるんだ。県大会で三位になったこともあるらしくてね」

「…へえ。狩野先輩、強いんだね」

「うん、喧嘩も強いよ。よく、不良に宮原が絡まれてた時は助けてあげてたから。んで、護身術を教えてあげてたら、宮原、強くなってね。今では涼君になつくようになって、よく二人でしゃべったりしてるね」

あたしは感心しながら、頷いた。


教室に入ると、他のクラスメイトたちのひそひそ声が耳に届く。

「…あ、来たよ。樋口さんだ。宮原君を取り合って、鈴木さんとケンカしたらしいね」

「へえ。よく、学校へ来れたよね。鈴木さんみたいに休んどいた方がよかったのに」なかなか、ひどいことを言ってくれる。里絵さんはさっさと自分の席に向かう。 「…まあ、気にしないほうがいいよ。宮原、いないけどさ。今日も頑張っていこうね!」

明るく、さばさばと言いながら、里絵さんはあたしから、離れていった。



和人がいないし、美佐もいない。

美佐はまだ、体調が悪いとかで休んでいた。

お昼になるまで、移動の時も一人で行動していた。

里絵さんと二人で話したりもしたけれど、なかなか、楽しい気分にはなれない。 「宮原、一週間は来れないからね。樋口さんも浮気しちゃ、駄目だよ」

茶目っ気たっぷりに里絵さんに言われて、驚いてしまう。

「え、それはないと思うよ。あたし、その気はないしさ」

「わからないよ。樋口さん、宮原のおかげで学校では有名人だから。興味持って、声をかけてくる奴がいるかもしれない」

あたしはそんなことはないと否定してみせた。

里絵さんは悪戯っぽく笑いながら、わからないよ?と言ってくる。

それをかわしながら、次の授業の準備やお昼の用意をした。

お昼になって、里絵さんと二人で屋上へ行った。

だが、階段を上がる途中で菓子パンのたくさん入ったビニール袋を持った狩野先輩に声をかけられる。

振り向くと、ぜいぜいと息を荒げながら、狩野先輩がこちらを見ていた。

「里絵、樋口さん。俺を置いて、どこへ行く気だ?」

必死な表情で訊かれて、あたしは答えに困る。

「涼君。女二人で話をしようと思ってたんだから。邪魔しないでよ」

「…俺を一人にするなよ。宮原がいないんだから、あまり、二人だけになるな。前、男子に絡まれて、困ってたことがあったろう?」

狩野先輩は本当に心配そうな表情で、里絵さんの頭を軽く、小突いた。

「大丈夫だよ。樋口さんも一緒だから」

「お前は軽く、考えすぎだ。中学の時、不良に男子と間違えられて、ケンカを売られそうになっただろ。俺と同級の奴で追い払ったの、忘れたのか?」

う、と里絵さんが言葉に詰まる。

「あたしの忌まわしい過去話はやめてよお。あの時のせいで、男子に勝てないって、思い知らされたんだから」

泣きそうな顔になる里絵さんの頭を撫でながら、先輩はなだめる。

なんだかんだ言って、仲が良いんだなと思った。

うらやましくもあったけど。

そして、三人でお昼を食べたのであった。


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