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11.キス
麻衣side
告白は断るしかなかった。
だけど、
「最後の思い出にキスしたいんだ…」
と、さみしそうな顔をして言う賢ちゃんに、
これも「ムリ」とは言えなかった。
そして、触れるか触れないかのところで、賢ちゃんは、
「ダメだ。両想いじゃないと意味ないな。麻衣、頑張れ!」
と言って、顔を離した。
「賢…ちゃん。」
「じゃあ、もう賢ちゃんはやめて、賢にしてくれよ(笑)」
「うん!賢、ごめんね。」
「ごめんはいらない。ありがとうが欲しい。」
「賢…。今まで、本当にありがとう!」
そして、私は家に帰った。
大地は待っていなかった。
「待つな」とは言ったものの、それはそれでかなしくて…。
自分の部屋から、大地の部屋を見るけど、
電気がついてることしかわからない。顔…みたいな。