1…休日player-Part/β
武家屋敷かと思うような、広い広い和室に通された。
「うわぁ……」
俺の傍らでアリィが思わず声を上げる。
「でっかいね」
「だな」
俺もそう声を上げてしまう。
両側に開けた大きな襖の扉、そこからすぐ目の前に広がる広大な景色。はるか向こうの海まで見渡すことが出来る。
その大きな額縁から入り込んでくる風は、夏とは思えないほど爽やかで涼しい
「元々は、私のための部屋だったんだがな」
と、案内をしてくれた原河先輩が言う。
「ここはどうにも広すぎて落ち着かなくてな。あそこに見える小さな離れを部屋として使っている」
「なるほど」
なんとなく納得する。俺もこんな広い部屋に1人で住めといわれても、3日と持たない自信がある。なんというか、えもいわれぬ様な落ち着きの無さがあるのだ。
納得のいかないような奴は、一度この光景を見せてやりたい。俺、先輩、アリィとイロウがまとめて鬼ごっこでも出来そうなほどの面積があるのだ。壁に掛軸も何もない、完全なデフォルト状態なのがそれに拍車をかける。
改めて、俺は狭い部屋の方が絶対にいい、と思う。生まれてこの方、アパートの狭い部屋でしか暮らしたことが無いのもあるかもしれない。
「うん、ボクもそっちがいいなぁ」
アリィが納得してくれる。
「こんなひろい部屋にひとりって、さみしいよね」
「ん~、寂しいとは何か違うんだよな」
何と言えばいいのか、実際に感じている人間にしか分からない微妙な感情だ。
もっとも、その理屈でいくと人外たるアリィには理解できない事になるのだが。
「さて」
と、先輩が勿体ぶって声を上げる。
「始めるか」
○
だだっ広い部屋のど真ん中、まさに中央。
そこに、俺と先輩は向かいあって座っている。
2人の中央には、9×9マスの戦場――将棋盤。
「ほう」
対局開始からしばらく。
先手を取った俺の歩が、ちょうど先輩の陣地に攻め入ったところだった。
「石田流とは、なかなか渋い手を打ってくるな」
「結構好きなんですよ、これ」
石田流とは、いわゆる振り飛車の一種で、角道を開けてそこから飛車を突っ込ませる戦法だ。
将棋の世界では、振り飛車で角を交換することは一般的に御法度なのだが、この戦法ではそれを上手く切り返す定石が存在していて、無謀そうに見えて意外と器用に立ち回れる。そういった事もあって、俺はこの攻め方が気に入っていた。
しかし、相手も相手で負けていない。
「なら、これでどうだ」
先輩はいたって余裕、滑らかな手の動きで駒を打ちこんでいく。
向こうはオーソドックスに、玉を矢倉囲いにとっている。今のところは守りに専念しているが、逆に言うと守りに関して全く隙のない打ち方をしている。
この状況ではどう攻めても、上手くいなされてしまい、決定打が与えられない。
「でも、ちょっと意外ですね」
飛車を適当に上げながら、俺は呟いた。
「先輩はもうちょっと突飛な戦法で攻めてくるものと思っていました」
「遊びの範疇ならそうするだろうがな。今は真剣勝負だ」
そう言って、鋭い目をぎらつかせるようにこちらに笑って見せる。
細い指が盤面の金をつかみ、陣地の後方に構えるようにゆっくりと移動する。
「……んー」
次の手に向けて、少し考え込む。
こうやって頭を働かせている瞬間が、将棋の醍醐味だ。
「桐也~」
そうしていると、ふと廊下の入り口から声がする。
目線だけそちらにやると、アリィとイロウが浴衣姿で立っている。イロウの手には、漆塗りの高級そうな盆と、冷えた麦茶の入ったポット、4人分のコップが乗っている。
「氷室から」
イロウが短く説明しながら、2人が近くまでやってきて座る。
「良い計らいだな」
先輩はそう言いつつ、自分でコップにお茶を注ぎ始めた。
「ところで、氷室は何をしている?」
「今は客が来てるから、料理」
イロウが淡々と答えると、先輩は「そうか」とやはり短く答える。
「あいつも大変だな。まぁ、働いてもらわないと困るんだが」
「だいぶはりきってたよ。ヒバリも一緒に」
アリィが微笑みながら付け加える。先輩は照れくさそうに麦茶をぐいっと飲んだ。
それを見て、アリィは再び意味深に笑ってから、
「桐也ものむ?」
「頼む」
言うと、アリィはそそくさとコップに麦茶を注いで渡してくれる。
それを飲むと、夏の暑さにのぼせていた思考が一気に戻ってくるようだ。
「さて」
空になったコップを傍らに置き、再び盤面に目を移す。
アリィとイロウも、横でじっと盤面に視線を落としている。将棋はやるだけでなく、見る側も楽しめるのがまたいい所だ。
「……」
ふと、正面の先輩の様子をうかがう。
先輩はさっきまでと同じように盤面を見つめているが、その顔には少しだけ笑みが張り付いている。
いつもの笑みではない。何か、にやにやしている、というか。いつものきりっ、とした笑みではなく、完全に気の抜けたような表情をしている。
「……?」
疑い半分に、俺は飛車先の歩を突いてみる。
すると、先輩はごく普通にそれを自分の歩で取り返してくる。
「どうした?」
と、和やかな声で先輩は言う。
「まるで私の出方をうかがっているようだな。何か気にかかることでもあったのか?」
「まぁ」
すぐに飛車をとばし、その歩を取り返す。
その目の前に歩を打たれたのち、4筋に戻る。
「ふん、榊よ。お前も中々女を見る目があるじゃないか」
「何言ってんですか」
つまらん、と鼻で笑い、先輩は金を斜めに上げる。本矢倉の完成だ。
対して俺は左側の銀を上げる。
「どうせ、私に見惚れていたのだろうな。その気持ちも分からんでもない」
「その手の冗談は慣れっこですよ」
「三条がいるからか?」
「まぁ。おかげ様で、そういう精神攻撃には大分耐性が付いてますから」
銀を押し上げつつ、俺はふと昔を思い返してみる。
小学も中学も高校も、行動するときには自然と星が傍らにいた為か、しょっちゅうからかわれたものだ。まぁ、ほぼ同居していたようなものだし、それも仕方ないと思っていたが。
ただ、やはり人間は事実でないことでからかわれるのは嫌がるものだ。俺も星もそうだった。
しかし、
「ところで先輩」
「ん?」
「さっきからやけに機嫌が良いんですね」
「そうか? そんな事はないと思うが」
逆に言えばそれは――事実には素直な反応を見せるということだ。
「氷室さんと何かあったんですか?」
「っ」
次の手を打たんと緩やかに動いていた手がぴく、と強張る。
「……」
さっと隣の天使2人を見ると、イロウはいつもの無表情で、アリィは少し困ったように笑って先輩を見ている。
ビンゴだな、と無意味に笑いそうになる。
「……ふん」
短く息を吐き、先輩は飛車を5筋に振ってくる。
「つくづく油断ならない奴だな」
「何のことですか?」
桂馬が7七に跳ねる。
「俺は何も言ってないですけど」
「誰にも話していないんだがな。感づかれているとは思っていたが、そこまでピンポイントについてくるとは」
「だから何のことですかって」
「ふん」
5筋の歩が進み出す。
対して、銀を斜めに進め、5筋の受けに回す。
「いつ気付いた?」
「コップのくだりからニヤニヤしてましたから。目に見えるくらい」
イロウの持ってきたコップ。どうやら氷室さんが気をきかせて用意してくれたものらしい。
それを手に取った時から、先輩の態度がやや変わったのを見逃さなかった。
「……」
一瞬ぽかん、としてから、先輩はイロウのほうへと視線をやる。
イロウはそれに、無言無表情で、こくりと頷く。
「ふむ、私は割と表情が出ないタイプだと思っていただが」
「ん~」
と、アリィが神妙に声を上げる。
「だって、今日の御琴はいろいろちがうもん」
「そうか?」
「だってさ、なんかこう……お母さん、みたいな」
「なに?」
先輩が眉をひそめる。アリィは「んー」と考え込んでから、
「いままでとは違って、カドがとれたっていうか……」
「……ふむ」
思い当たる節でもあるのか、あごに手をあて真剣に考え込む。
対して、イロウは落ち着いて麦茶をちゃっかりと飲んでいる。
「御琴は意外と素直だから」
「意外とは何だ。私はいつだって正直だぞ」
「だから今みたいにバレる。相手が桐也だから、なおさら」
「は?」
いきなり名前を呼ばれ、反射的に声が出る。
イロウはそれを微動だにせずに無視し、
「隠すだけ、ムダ」
「……言うじゃないか」
先輩は悔しそうに力無く笑いながら、イロウを睨みつける。
対して、俺は「で」と話を戻す。
「結局、何かあったんですか。氷室さんと」
「なぁ榊よ」
と、先輩が乱暴に話を切る。
「それを聞くのは野暮というものだ。せめて放っておいてくれると嬉しいんだが」
降参するように両手をひらひらさせながら、なおも先輩は挑発的な態度を崩さない。
「どうだ?」
「分かりました、後で氷室さんに直接聞きます」
「うわぁ」
アリィがかわいそうに、と言わんばかりにそう声を漏らす。
先輩はその言葉に「……はぁ」とストレートな溜息をこぼす。
「お前は全く油断ならない奴だな」
「それはどうも」
先輩は銀を中央に寄せてくる。
俺は桂馬を6筋に動かす。
「なぁ、榊よ」
「何ですか」
「人の心配よりも、自分の身の振り方を案じたらどうだ?」
「……」
ぴたり、と、不意に自分の心を的確につつかれているような感覚に陥る。
「からかう訳ではないが」
先輩は調子を崩さずに、
「三条を捕まえておくなら今のうちだぞ。人はいつ消えてしまうか分からないからな」
「はぁ」
いまいち実感がわかない。
星とは、今までずっと、ずっと一緒だったし、これからもそうだと思っている。離れるとは思えない。
「そう思うだろうな」
と、先輩は突然言い出した。
「……何も言ってないですけど」
「大体分かる。突然いなくなるなんてありえない、とかそのあたりを考えているのだろう」
「……」
「図星か?」
ん? と鋭く笑ってみせる。
しかし、それもつかの間。先輩はすぐさま真剣な表情に戻り、
「私もそうだったよ。きっと、今のお前と同じような事を思っていたはずだ。――だがな、現実はそこまで都合よく出来てはいない」
「……」
「だから、早めに決めておけよ。後悔する前にな」
そう言ってから、銀を5筋に上げる。棒銀の構えだ。
対して俺は、桂馬を7筋に滑り込ませ、成る。
桂馬で取り返されるも、飛車で取り返しつつ竜を作る。
「……正直、今言われても、実感わかないです」
「だろうな」
素早く金を受けに回す。
竜はここで引くが、形としてはまぁ悪くない。
「ま、お前もいずれ分かる時が来る」
「無くした時、ですか?」
「そうだ」
先輩はしかし意味深にそう返した。
大事な物は、失ってから気付く。何度も何度も聞いた言葉だが、実際に確かめてみようと言って無くしたい奴はいないだろう。
つまり、真に大切な物は見えない、ということだ。
「……そう考えると、世の中って怖いですね」
思わず呟くと、アリィが「でも」と口をはさむ。
「ボクは桐也も、星も、みんなみんな大切だとおもってるよ?」
「私だってそうさ。桐葉も、青嵐も、結弦も、みんなみんな大切だ」
「氷室は?」
イロウの言葉に、先輩は「ははは」と面白そうに笑う。
「あいつは大切なんて物じゃない。私の半身だ」
「半身って」
思わずちょっと吹き出してしまう。
「リア充してますね」
「悪いことじゃないだろう。それに、お前だって十分にそうだろうが」
「何ってんすか」
先輩は笑いながら、桂馬を前に出す。
「俺のどこがリア充ですか。ニジオタコミュショーヒキニートですよ」
「?」
「ああ、伝わらないならいいです」
今度あの服作ってみてぇな。そんな技術は無いわけだが。
もとい、先輩が続ける。
「随分と大勢の美人に囲まれているじゃないか。三条も結弦も、もちろんアリィだってそうだろう」
「えっ。そ、そんな事ないよ~」
アリィは何を照れるのか、顔を真っ赤にしてぶんぶんと首を振る。
俺は呆れて溜息をつく。
「アリィは美人というには小さすぎでしょう」
「むー! ま、まぁ桐也はそうやってボクの事をバカにして……!」
「事実だろ」
うう~……、と涙目になって怒りをあらわにするアリィだが、こういうところで暴れたり癇癪を起こしたりしないのは大人びているように感じる。
そんなアリィの隣でイロウが「まぁまぁ」とそれをなだめている。
「いつものこと」
「そ、そうだけど……!」
俺は適当に角を打ちこみながら、その様子を眺める。
「どうしてあの2人は仲が良いんですかね。なぜか馬が合っているようで」
「兵器を愛でる者同士だからだ」
「……ああ」
そう言えばそうだったな、と思い返す。
このアリィという天使は、重度の銃器マニアだ。こんないたいけな女の子が拳銃を振り回しているだけでも危険なのに、そこにつけて知識欲が旺盛なもんだから手につけられない。
たまにふらっと街に出かけると、モデルガンショップのショーケースに見惚れていたりする。正直、かなり居心地の悪い俺である。
一方でその隣のイロウという天使も、浮かんでいる――常人に見えていない時は、常に大鎌を携帯している変わりものだ。たまにその刃を指でなぞり、太陽の光に透かしている時など、もはや完全に殺し屋か悪魔か、それこそ死神の姿だ。
口に出すとひどく落ち込むらしいので、そうして心の中で呟く俺である。
「まぁ、似た者同士は集まって話が弾むものだ。私とお前もそうだろう」
「そうですね」
こうして将棋を打ちながら話をするというのは、なかなかに落ち着いていていい時間だ。
「さて、そろそろ集中して続けるとするか」
先輩はイロウにコップを出し、「注いでくれ」と言う。
それにならって、俺もアリィにコップを手渡す。
「俺の分も頼む」
「うん、了解」
アリィは快く引き受けてくれた。うん、大層できた天使だな。
○
そうして盤を挟んで睨みあうこと2時間ほど。
「む」
と、俺の喉から思わず声が出る。
盤上の手前3列には、この長い戦いでズタズタにされ、それでも何とか王を守りに守る美濃囲い。
対して、相手の奥3列には、すっかり瓦解して王が逃げ出した、主不在の矢倉。
勝てる。
この状況を見て、俺は直感する。焦らずに適切な一手一手を紡いでいけば、勝てる。
「……まずは」
と、敵陣にもぐりこんだ竜を振るい、玉を追う。
「ふん」
途端に、先輩の笑み。
そして打たれる、手持ちの角。
「お」
先輩も攻めにかかっているようだ。
一手でも間違えれば負ける、この緊張感もまた将棋の醍醐味だ。麻雀とはまた違った緊張感に満ち満ちている。
目の前にいる背の高い17歳は、何か大きなものを持った誰かだ。
この人と遊んでいる時間は――
どこか悔しいが、とても楽しい。
道理で人望がある訳だ、と俺は納得する。
「さて」
と、短く呟いて、俺は盤面を塗りつぶすように見る。
小さな穴、突破口。それを見つけることが、勝利への糸口だ。
「……」
こん、とししおどしの音が響く。
それと同時に、
「見つけた」
俺は敵陣のど真ん中に飛車を打つ。
「……ほぅ」
先輩はそれをすぐに対処するべく、矢倉の残骸たる銀で取り返す。
それを竜で俺が取り返すと、王の2つ後ろにつける。王手だ。
「……」
ぱちん、と王を逃がす。
すかさず銀を打ちこむ。逃げたところへ、更に竜を追撃させる。
その竜を、さっき打たれた角で取り返される。
来た。
「先輩」
俺は持ち駒の金を手に取り、それを王の真上に打つ。
「……」
先輩は落ち着き払ってそれを見る。
角で竜を取ったせいで、逃げ道が完全にふさがれている。
「……これは見事だ」
そして、先輩はうやうやと頭を下げる。
「参りました」
「ありがとうございました」
こうして、俺達の長い長い戦いが終わった。
○
「しかし、見事な打ち筋だったな、榊よ」
「はぁ」
対局を終え、俺達は和室からの帰り道をすとすと歩いていた。
先輩の隣を歩くイロウが無表情に俺に声をかける。
「御琴に勝つのは、凄い」
「ああ、もうどっと疲れた……今日は良く寝れそうです」
「おつかれさま、桐也」
アリィがいたわるようにそう声をかけてくれる。
「おう、ありがとな」
「今日ははやめに寝ちゃいなよ」
「そうするわ」
正直、一局の将棋にあそこまで精神をすり減らしたのは初めてだ。やったことはないが、きっとマラソンランナーは走っているうちにこんな気分になるのだろう。
ふと先輩を見ると、こちらをにやにやとからかうように見ている。
「良くできた夫婦だな」
「ふ、ふう……っ!?」
「誰が夫婦ですか」
真っ赤になるアリィを無視して突っ込みを入れると、先輩は「ははは」と笑う。
「悪かった。よくよく考えたら、お前には三条がいるものな」
「何言ってるんですか。少なくとも、星とは結婚しないと思います」
「どうだかな」
ふん、と余裕たっぷりに背筋を伸ばして歩き始める。
いつ見てもこの人のペースには敵わないな、とつくづくと思う。
「わわ、ふ、夫婦だって……えへへ」
「……」
隣でアリィがずっとのぼせたようにそんな事を言っているので、とりあえず俺はこめかみにデコピンをしてそれを止める。
「いったぁい……」
「はは、本当に仲が良いな。いっそそのまま結婚してしまえ」
「アリィには戸籍がないので無理です」
「ふむ、それもそうだな。……なら結弦などはどうだ? あれはあれで気立ての効くいい女だぞ」
「それも無いです」
「冷たい奴め。結弦が聞いたら泣くぞ」
そんなこんな下らん話をして歩いていると、
「お。御琴じゃん」
と、曲がり角からひょいっと氷室さんが顔を出す。
それを見て、先輩が「おお!」と表情を明るくする。
「仕事のほうはどうなんだ? サボってる訳ではあるまいな」
「まさか。一通り客のほうを片付けて、ヒバリに後を任せて休憩中だよ」
「そうか。客の入りはどうだ?」
「まずまずだな。一応、ノルマの30人はクリアしたよ」
「そうか。そのまま私の家の為に稼いでくれよ」
「俺の生活の為に稼いでるんだがな」
そんな風に談笑を交わす2人。
傍目からは、本当に仲のいい新婚夫婦に見えるだろう。
「……」
すると、隣のイロウがそっと目配せをする。
俺はなんとなくその意味を察し、
「アリィ、行くか」
「うん」
そのまま、そっと2人とは逆方向に歩き出す。
それを見て、イロウが静かに微笑んだのと同時に、先輩と氷室さんの笑い声が聞こえた。
「2人とも、仲良いね」
「だな」
そのまま、俺達は自分の部屋へと回り道をして歩く。
「あの2人こそ、早く結婚すりゃいいのにな」
「ぴったりだもんね」
そんな話をしながら、俺はぼんやりと考える。
まぁ、もし2人が本当に結婚したとしたら――
その時は、精一杯祝ってやろう。
将棋の話書いてたら長くなりました。
今回は桐也と御琴の間柄もスポットの1つです。
いくら男が少ないからって、桐也にハーレムさせない(キリッ
果たして桐也は、最後は誰とくっつくのかな……?
次回は水嶋姉妹の話になるかな。