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第七話 自然体

サーラさんの家に着いて数日が経ったのだが…


「仲良くなれない…」


この数日、アイリスさんに話しかけてみたりしたのだが、「そう」、「ふーん」など冷たい返事ばかり。


サーラさんから聞いたのだが、アイリスさんの年齢は16歳らしい。

年下の女子と話すことなど部活の後輩ぐらいしかなく、何を話せばいいか分からない。


「大変だね〜カケル君も」


サーラさんが俺の前にホットミルクを置く。


「他人事みたいに…、何かいい作戦とかないですか?仲良くなれる何か」


「そうだね…、あ!一緒にお出かけしたらどう?」


「急にそれはハードル高すぎます…」


「そう?明日にね『水翠水神騎士団ワーテルナイト入団試験の説明会が宮殿広場で行われるから、一緒に行ってみたら?ついでに観光してきなよ」


「入団試験?」


サーラさんによると、この国:アムレットには騎士団である水翠水神騎士団ワーテルナイトがあり、その入団試験が一年に一回あるらしくて、2ヶ月後に行われるとか。


「……要は、この世界の軍隊ってことか。それで、俺もその試験の説明会に?」


「うん。受けるだけ受けてみたら?カケル君も能力持ってるんだし、案外、すんなり通るかもよ?」


「いやぁ…ぽっとでの俺が受けても無駄なような…」


「騎士団に入れば給料も貰えるし自分で生活できるよ。それとも一年も私のすねをかじるつもり??」


うっ、そう言われると何も言い返せない。


「…分かりましたよ!受けますよ」


「宜しい、まぁ私が教育してあげるから任せんしゃい。アイリスも今年が受験年だから一緒に頑張ってね」


こうして、俺は急遽入団試験に参加することになってしまった。




――翌日


サーラさんが説得して、説明会までの時間、アイリスさんにこの水の都(アクアリス)を案内して貰えることとなった。


「よろしくお願いします、アイリスさん」


「はぁ…、なんで私が…」



アイリスは深い溜息をつき、わざとらしく視線を逸らした。その横顔には「面倒くさい」と書いてあるかのようだ。


こうして、前途多難のお出かけが始まったのだった。







「…なんで後ろにいるの?」


突然かけられた声に肩が跳ねる。お出かけが始まって数十分、話題が見つからず、俺はアイリスさんの数歩後ろをトボトボと歩いていたのだ。


「えっ!?それは、そのですね…」


「別に横ぐらいいいわよ。逆に後ろにいられる方が監視されてる感じで嫌だわ」


そう言われ、俺は恐る恐る彼女の隣へと歩調を合わせた。


何か話題がないか俺は必死に思案する。


「…アイリスさんってこの都出身なんですか?」


結局ありきたりな質問しか出ないのが俺である。


「正確には出身は違うけど、ほとんどこっちで育ったから、そういうのも一理あるわ」


「へ〜、なんて言う国なんですか?」


「生まれのこと?なら、『メタレイア』っていう国。地理的にはこの国の北側にあるわ。まぁあなたに言っても分からないと思うけど」


「そりゃ異世界人なもので!」


「はぁ…急に元気になったわね」


ジト目でこちらを睨む仕草。その瞳の鋭さは、やはりサーラさんと姉妹なんだなと変なところで納得してしまう。


「…まぁこうやって普通に話せて嬉しいんですよ。異世界に来て一人だと不安ですし」


「ふーん、変な人」


「NOって言いたい所だけど、否定できないな…」


ただ、普通に会話ができて満足げの俺。


この後雑談しながら、アイリスさんの案内は続いた。

嫌々言いながらも、その案内は丁寧かつ分かりやすい。あの第一印象とは大違いだ。


これは…あれか?『ツンデレ』ってやつか?


「――これが都のシンボルの噴水ね。それとここから南の通りは商店街で、この都一活気がある場所だと思う」


「…なんでそんな丁寧に説明してくれるんですか?俺みたいな怪しい居候に」


不意の質問にアイリスさんは戸惑う。


「は?、それはその…、別にお願いされただけ!」


「あはは、冗談です」


「…私、君をここにほって行ってもいいんだよ?」


「本当にごめんなさい、それだけはお許しを

!迷子になります…」


「はぁ、まぁいいけど。それじゃ次行くよ」


「はいっ」


こうしてあっという間に時間が過ぎて、いつの間にか説明会の時間が迫っていた。


「案内はこんな感じかな、もう時間だし」


「そうですね、ありがとうございました。アイリスさん」


「…別に普通のことをしただけよ。それじゃ――あ」


アイリスさんの口が突如止まった。

アイリスさんの視線の先には、道の端で縮こまって座る一人の茶髪の少女。小学校低学年ぐらいだろう。

周りには親と思われる人もなく、おそらく迷子だと思われる。


俺が気づいた頃にはアイリスさんはその少女の近くまで行ってしゃがんでいた。


「大丈夫?お母さんやお父さんは一緒じゃないの?」


優しい声で少女へと語りかける。

俺に対しての口調とは大違いだった。


ただ、少女は今にも泣きそうな表情を浮かべ、親でなく見知らぬ人が来たからか、逆に泣き出しそうになっていた。


「えっと、私は変な人じゃないよ?大丈夫、大丈夫だから…」


アイリスさんが少女の頭を撫でるが今にも泣き出しそうである。


「ど、どうしよ…」


…仕方がない。


「お嬢ちゃん、ちょっと見ててね。今から兄ちゃんが面白いマジックを見せるから」


突然の割り込みにアイリスさんとその少女が驚いた表情で俺を見つめる。


俺は『構築クリエイト』で少し大きめの石板を生成。そして俺はその上に座る。


「今から兄ちゃんが指を鳴らすと何の変哲もないこの石板が魔法の絨毯へと変わります!」


不思議そうにみる少女に、アイリスさん。


「1、2、3――パチン」


俺が指を鳴らすと石板が重力に逆らうように中に浮き、乗っていた俺も浮かぶ。


まぁ、理屈は簡単。

物質操作アーキテクト 』で石板に干渉し浮かせるだけである。


「わぁ!!すごいすごい!お兄ちゃん私も乗りたい!」


だが知らない人からしたら摩訶不思議な現象で、興味も引けるってわけ。

少女も泣きそうだった表情から変わって笑顔になっていた。


「すごい浮いてる!」


「そうでしょ?魔法の絨毯なんだ」


少女を石板に乗せて同じように浮かべる。


「ありがとう、助かった、」


小声でアイリスさんが俺に呟く。


「いいですよ、慣れてますから。それよりもこの子の保護者を探しましょう」


「う、うん」


俺は少女と手を繋ぎ、アイリスさんとこの近くの高台に向かった。


「ここからなら見えると思う」


「そうですね…ってあの人じゃない?」


商店街の通りにキョロキョロと何か探している女性が一人。


「あ!お母さん!」


ビンゴ!


そうして俺たちは急いでお母さんの所へ行き、少女を受け渡したのだった。


「ふー、一件落着!」


「あなたって能力持ってるの?」


「あ、言ってなかったっけ、?俺としたことが…」


「…それに子供扱いも慣れてるのね」


「……それは妹がいたからかな、」


「?いたってどういう――」


その問いに答えようとしたが、突然喉の奥がキュッと締まり声にすることができなかった。


「ごめん、何も無い。時間もないし行こっか」


無言になってしまった俺に何か悟ったのだろう。


「うん。行きましょう!アイリスさん」


「…さんを付けなくてもいいわよ、アイリスで。敬語も必要ない、年上でしょあなた」


思ってもいない提案に思わず笑ってしまう。


「あはは、了解。俺にもカケルっていう名前があるんだけど?」


「はぁ、はいはい。それじゃ行こっか、カケル」


俺はなんとなく、このアイリスっていう人のさがをわかったような気がした。


こうして俺たちは急いで説明会に向かったのだった。


次回第八話 『トラブル発生』です!

お楽しみに〜

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