第四話 無茶ぶり特訓
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【能力鑑定:クロノカケル】
一:『変幻自在』
【系統】:授与スキル―特殊系
【基本能力】:構築/物質操作
【始原の加護】
:『効率化』⋯このスキルの神素消費量50%削減
: 条件未達成
: 条件未達成
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※第三話の再掲
俺は『変幻自在』という能力を持っているらしい。
「基本能力」という欄には『構築』『物質操作』と書いてある。
なるほど…、つまりさっき現れた石の正体はこの『変幻自在』の仕業だったってことか。
「どう、見れた?」
思考に没入していた意識が、急に現実へと引き戻された。目の前には、こちらを覗き込むサーラさんの顔。その近さに俺は思わず頷き退いた。
この人の性格や振る舞いは置いといて、外見は超美人なので、あまりに近いと女性経験の少ない俺としては心臓に悪いからやめてほしい。
「よかったよかった〜。それでどんな能力だったの?」
俺は端的に先ほど見た能力の概要を説明する。
「なるほど、『特殊系』の『構築』か〜。当たりよりのはずれよりの当たりかな」
「どっちなんですかそれ…」
「『構築』って無から有を生み出すよね?その時に大量の『神素力』を消費するから、常人にはあまり連発ができないってわけ」
『神素力』?魔力とかと同じ部類なのだろうか。
「その、『神素力』っていうのと『特殊系』ってのはなんなんですか?」
その問いにサーラさんは意外にも丁寧に一つ一つ答えてくれた。
しっかりしてるのかしてないのかよく解らない人である。
まぁ聞いたことを簡単にまとめると・・・
『特殊系』・・・この世界の能力には二種類あり、『神祖系』とこの『特殊系』だという。あまり詳しくは理解できなかったが、『神祖系』のほうがレアで俗に当たり能力だと言われてるらしい。
『神素力』・・・この世界を構成する物質の一つで、魔法・能力の動力源。
おそらく魔力と同等とみなしても良さそうだ。
だいたいは理解したが、一つ疑問点がある。
能力欄の一番下にある『始原の加護』っていうのが分からない。
まぁ…サーラさんも特に言ってないしいっか!
「なるほど、ところでサーラさんも能力とか持ってるんですか?」
純粋に疑問だったので聞いてみた。
おそらく、というか確実にあの強さなら持ってると思うが。
「ん〜〜ひ・み・つ?、、、ってそんな軽蔑した目で睨まないでよ!」
頰に指を当てて可愛らしく誤魔化そうしているがバレバレである。
「もぉ冗談だって。私は火の神祖系スキル:『一燈照隅』を持ってる
よ。ちょっと仕事上、権能までは言えないけどね…」
そういえば何ちゃら騎士団の騎士団長なんだっけ。
確かに、自分の能力をむやみに言いふらすのは命取りだ。
・・・って、俺普通に言っちゃったな…。と後悔しても後の祭りである。
「と、そーゆーわけでカケル君は持っている側なので・・・」
サーラさんが手を叩き笑顔でこちらに近づいてくる。
何だろうか、笑顔なんだが、笑顔の奥底で何か企んでいる顔が垣間見える。
嫌な予感しかしない。
「ちょ、ちょっと考え直しません??ね?」
「まだ何も言ってないよ〜ふふふ」
俺が制止するがこの人を止められるわけもなく・・・
「カケル君には『サーラ式特別特訓』を受けてもらいます!」
「はぁ…」
おそらく…平穏なものではないだろうと落胆する俺であった。
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てな訳で、『サーラ式特別特訓』というのが始まったのだが…
これが何なのかと言われたら、一言:魔物狩りである。
「ちょっとサーラさん!?いきなりこんなバケモントカゲ無理ですって!!」
現在、俺は全長三メートルはある巨大トカゲに襲われ逃げまどっていた。
皮膚の鱗は鉄のように硬そうで、強靭な爪に、伸縮自在の舌が猛威を振るう。
鞭なんて生易しいもんじゃない。空気を切り裂く鋭い音とともに放たれるそれは、さながら射出される肉の槍だ
「ダイジョーブ!万が一は私がいるから〜」
「何を根拠に?!」
いちようサーラさんの予備の剣は貸してもらったが…。
トカゲの舌が暴れまわり、その舌に直撃した木は木の枝が折れるようにあっさりと倒れている。
当たれば骨折・・・いや即死だろう。
ただ、以外にも俺は耐えられていた。
猛スピードの舌が横から俺を襲うが
「『構築』!!」
横に石壁、というより石の盾を構築し、加速している舌をギリギリ弾き返す。
返せれはするが、速度に加えて質量もあり攻撃が重いので注意しないとよろけてしまう。
「『構築』!『構築』!『構築』!『構築』!!」
俺は必死に、荒れ狂う絶え間無い攻撃を石の盾で弾く。
「サーラさん!このままじゃ俺粉砕されますって!!」
「うんうん、いい感じに能力の運用できてるね〜。あ、そこ、次は左から来るよ?」
俺の極限状態とは対照的にサーラさんはシートに座って優雅に水を飲んでいた。
いやピクニックしてんじゃないよ?!
「……」
・・・なんか、腹が立ってきた。
俺は怒りのままトカゲの頭上に石…いや岩を生成する。
その岩はみるみる大きくなっていって・・・やがてそのトカゲを覆うぐらい巨大な岩石へと変貌する。
どうせこのまま守っていても倒せないんだ。
ならば最終手段は『ゴリ押し』である。
トカゲがそれに気づき慌てて標的を岩石へと変えるがもう遅い。
「潰れろー!『怒りの鉄槌』」
一瞬の静止。直後、重力を思い出した質量がトカゲの頭上へと牙を剥く。
ドォォォォンッ!!
鼓膜を震わせる轟音とともに、地面が激しく波打った。逃げ場を失ったトカゲは、断末魔の叫びを上げる暇もなく、圧壊したのだった。
「やばい、やりすぎたか…」
そこにサーラさんが拍手しながらやってくる。
「ナイス〜カケル君!すごいね、まさか倒せるまでとは思わなかったよ…ってごめんってぇぇ、許して?」
俺は多分今までにないぐらいに睨んでいた。
まぁ…さっきので怒りが飛んだ気がするからいいけど…。
「はぁ、いいですよ…。能力について分かったこともありますし」
「ありがとう〜それならよかった。てかカケル君って神素量多いわけじゃないのに、さっきの岩石作ってもピンピンしてるのすごいね」
俺って神素力の量多くないんだ…、と突然の告白に少しショックを受けた俺。
ていうか分かるもんなのだろうか見ただけで。
まぁでも確かに、『構築』には大量の神素力を使うって言ってたもんな。
けど別に疲労…はあるにはあるがそこまでだし、特に異常はない。
あ、そういえば【始原の加護】の欄に『効率化』って書いてあったよな。
もしかしたら、それのおかげなのかもしれない。
ん〜言うべきだろうかサーラさんに。
いーや!サーラさんも自身の能力を隠してるんだから俺も隠していいよね。
漫画の強敵も自身の権能とか隠してるもんだしな、うんうん。
「まぁ…そんなこともありますよ!」
「ん、?なんか隠してない?カケル君?」
サーラさんが疑いの目で俺をみる。
あ、圧がすごい…。
「も、もちろん」
俺は頑張って平然を取り繕う。
「…ま,いいけどね。それじゃ次行こっか!」
「まだあるんですか…帰りたい…」
・・・のちに、このことがバレてサーラさんにクソ怒られるのだが、この時の俺は知る由もなかった。
次回第五話 『神素流燿法』です!
お楽しみに〜




