やらない理由は、ちゃんとある
夫は、洗濯物を干さなくなった。
理由は、はっきりしている。
「文句を言われるから」
それだけ聞くと、
かわいそうにも思える。
でも、
理由には経緯がある。
しわは伸ばさない。
袖は中に入り込んだまま。
ハンガーは斜め。
服のサイズと、ハンガーのサイズは合っていない。
最初は、何も言わなかった。
私が直せばいい。
そのほうが早い。
そう思って、
黙って直していた時期もある。
でも、
洗濯は一日一回じゃない。
回すたびに、
干し直す。
確認して、
直して、
また確認する。
それなら、
最初から自分でやったほうが早い。
一度だけ、言った。
「しわは伸ばして干してほしい」
「乾ききらないことがあるから」
すると、夫は言った。
「俺のやり方に口出すな」
「こうしたほうが早く乾くんだ」
でも、
乾いていない。
結局、
私が直す。
それが続いて、
私は言った。
「もう、やらなくていい」
すると今度は、
「やるなって言われるから、やらない」
……そう、
それでいい。
やらなくていい。
そのほうが、
私の時間が確保できる。
たまに、
皿洗いはやってくれる。
やってはくれる。
でも、
シンク周りはびしょびしょだ。
何度お願いしても、
ふきんで拭かない。
水が飛び散ったまま、
終わり。
もう、
これはあきらめた。
全部、
「できない理由」がある。
注意されるのが嫌。
直されるのが嫌。
自分のやり方を変えたくない。
だから、
やらない。
やらない理由は、
いつも立派だ。
でも、
その分、
私がやる。
そして私は、
息子たちには言う。
「しわは伸ばす」
「袖は出す」
「最後は、拭く」
できないままで、
やめる大人にはならないでほしいから。
受け入れたら、
成長する。
それを、
私はもう知っている。
だから、
期待はしない。
代わりに、
教える。
未来のほうを向いて。




