戦いの後の静かなひととき
朝日の光が診療所を柔らかく照らす。
ギルドとの戦いは終わり、町には穏やかな空気が戻っていた。
リリアは傷ついた仲間たちの手当をしながら、小さく微笑む。
「みんな…無事でよかった」
クロードは静かに隣に座り、彼女の肩にそっと手を置く。
視線が交わるだけで、胸の奥がじんわり熱くなる。
カイルとセリナは遠くで笑いながら、今日の戦いのことを軽口で話している。
その無邪気さに、リリアは思わず笑みを返す。
――こんな日常を、ずっと守りたい。
屋上に上がると、風が心地よく吹き抜ける。
月明かりがまだ残る空に、星が静かに瞬いていた。
リリアはクロードの手を握り、ふと小さく囁く。
「ありがとう…守ってくれて」
クロードも微笑み返し、そっと指先を重ねる。
戦場では交わせなかった言葉が、今、静かに胸に響く。
二人の距離は近いけれど、触れるか触れないかの絶妙な距離感。
胸の鼓動が高鳴り、心の奥に温かさが広がる。
リリアは空を見上げ、小さな誓いを立てる。
――この世界を、仲間を、この温かさを、絶対に守る。
風に揺れる髪と、そっと寄り添う影。
戦いの後の静かなひとときが、二人に小さな幸福とキュンを残した。