おかしい現象
誤字を見つけて修正していたら遅くなりました。
申し訳ありません。
入学式では、アンドリュー皇太子殿下が入学制代表を挨拶をしたり、ただただ長い話をする学園長の祝辞を聞いて終了する。
席は自由だったため、マリーとミリアム嬢が私の両サイドに座っておりそのまま一緒に教室まで戻ることにした。
「ユリ様にいただいたこのコサージュ制服にぴったりで学校に来るときに色んな人が私を見て素敵って言ってました」
「本当に、それはよかったわ」
「ユリ様は試作品といわれてましたけど、本当に素敵なプレゼントをありがとうございます」
「ユリ様は服装品を作られるんですか?」
「はい、幼い頃からの趣味なので」
「売っているものと遜色ない出来にみえます]
「ありがとうございます」
作ったものや考案したものが褒めてもらえるとやっぱり嬉しく思う。
そんな話をしていると教室につき黒板に書かれている席に着く。
ミリアム嬢とマリーは席が近いみたいだけど、私は少し離れた席だった。
席について周りを見て驚く。
私は、題名も思い出せないあの小説のモブにすらなれなかった人物のはずなのに。
私の席の周りは、主要人物たちが座っているのだろう。
「初めまして、ですよね。アイリーンと申しますの。よろしくお願いいたしますわ」
隣から声をかけられてそちらを見ると、そこにはアンドリュー皇太子殿下の婚約者であるアイリーン公爵令嬢がいた。
私が驚いて固まっていると下から顔を覗き込まれる。
「あっ…。は、はじめましてで間違いございません。ユリと申します。アイリーン公爵令嬢様にお会いできて大変嬉しく思います」
「そんなに畏まらないで、クラスメイトじゃないですか」
口元に手を当てながら優雅に笑う彼女は私の髪を結っているリボンを見て目を細める。
「髪を結ってらっしゃるリボンの刺繍とても素敵ですわ。そちらは.サントス伯爵家の家紋ではありませんか」
私の黒髪でも浮かないように選んだモスグリーンのリボンには白い糸で我が家の家紋の雪の結晶とスノードロップの花が縫われている。
そんなに知られた家紋ではないのに、こういうところまで気が利くのが本当の令嬢なのかと驚いてします。
「は、はい。我がサントス伯爵家の家紋です」
「まぁ、ではシュナ様の商会に服装品をたまに出されている姪御さんというのがもしかしてユリ様ですの」
両手を包み込むようにぎゅっと握られて興奮した様子で私の事を見るアイリーン様に戸惑ってしまう。
シュナ叔母様が私の事を話しているお客様は、叔母様の眼鏡にかなった方。
私の事は基本的に秘密ということになっているから。
「えっと、その…。はい、そうです」
「私、ユリ様の大ファンですの!この後、お茶をいたしましょう!」
身体を思いっきり前に出してきて、私の事を逃がすまいとするアイリーン様と私の間にぬっと人影が現れた。